夏期集中講義「兵庫の子育て支援」

こんにちは、コーディネーターの三村です。

9月18日(火)〜21日(金)
全県キャンパスプログラム夏期集中講義「兵庫の子育て支援」が開講されました。

姫路市新在家キャンパス ゆりの木会館2階会議室 にて理学部・環境人間学部・工学部・看護学部・経営学部などから22名の学生が受講しました。

神戸親和女子大学 勝木洋子先生がご担当されました。

講義内容(レジュメより)
 県内の子育て支援は他県に先駆けて多くの施策を展開している。誰もが自己実現をめざしながら、次代の子育ての主役として、子育てにやさしい社会を考えていきたい。
 そこで本講では、幼児に接することなく親になることからくる不安や弊害を緩和するためのプログラムを演習し、「育てられている者」が「育てる者」になっていく体験学習もおこなう。
また、男性の子育ての視点、ワークライフバランスの視点、子育て中の保護者の視点などからゲストスピーカーを招き、楽しみながら子育てや子育て支援が出来るような環境を探る。

キーワード: 自尊感情の育成 学びの受容 次世代育成支援

9月18日(火)

1時限目は、勝木先生による「オリエンテーション」「子供子育てビジョン」「子育てワークについて」が行われました。
「オリエンテーション」では、6チームにグループ分け「ゾウ」「ゴリラ」「クジラ」「キリン」「カバ」「ラクダ」や講義の進め方・内容についての説明(ルールとプロジェクト学習)がありました。

子育ては、子供がどれだけ多くの大人と会うかが大事で、子育てとは学習である1985年を境に子供はどんどん減ってきた。第一次ベビーブーム、第二次ブームの人たちが子どもと産むと思われていた。(100歳以上5万人〈2012・9・15厚生省5万1376人〉姫路人口50万 日本人の平均寿命88歳)

ディスカッションでは、「子育てはいつまで?」「誰が子どもを育てるの?」「子育て支援って?」について7分間グループで話合い、発表。

日本人の初婚年齢の平均は30歳。(出産最後の子供が何歳になる時まで?)
社会福祉の場(保育士)では、0〜18歳。
働いている女性の方が出産率が高いのは、子育てのストレスが少なく、経済的余裕などが考えられる。

2時限目は、ファザーリングジャパン理事・神戸常盤大学短期大学部幼児教育学科 准教授 小﨑恭弘さんをお招きして「父親の子育ての学習と楽しみ方」をテーマにお話ししていただきました。
講義内容は、「父親の育児の注目される社会的背景」「日本の父親の現状」「子育てのアンバランスのもたらす弊害」「「父親の育児が社会を変える」「ワークライフバランスの導入」
「イクメンブーム!」でした。

社会の変化に合わせた多様な生き方を!
・社会構造の変化が様々に表れている。
・家族・子育て・働き方・生き方等のダイナミックな変化に対応する社会整備。
・広域行政として地域の文化と風土を作りあげる。
・「人権・環境・男女共同参画・子育て」の4つは、単独の施策では達成できない。
・これまで対象外とされてきた父親を、子育ての場に誘導することにより、社会変革に合わせた環境が出来上がる。

3時限目には、(財)兵庫県勤労福祉協会 ひょうご仕事と生活センター 主任相談員・(株)ダイバーシティ オフィス KITAO 代表 北尾真理子さんをお招きして、「ワークライフバランス ダイバーシティなどについて」をテーマにお話ししていただきました。
講義内容は、「ダイバーシティ(多様性)とは何?」「ダイバーシティの尊重と活用推進を阻むもの」「ダイバーシティの尊重と活用推進に向けて、個人が心がけるべきこと」「『出来ない』から『出来る』に!」でした。

「ダイバーシティの尊重と活用推進に向けて、個人が心がけるべきこと」は、各個人が、組織内に存在する多様な違いを互いに理解し、 認め、受け入れた上で、互いに足りない部分を補い合う 姿勢を持つこと
フェア(公正)vs.イコール(平等)の考え方を理解する
常に自分とは違う他の個性から学ぶ姿勢を持つ。<まず自分自身をよく知る>
自分がされて嬉しいことと、相手がされて嬉しいことは同じでない可能性を知る。<良質のコミュニケーションが大切> 
自分の中にある無意識の固定観念に気づき、役割に縛られない自由な発想を持つ。<意識改革 → 発想の転換と行動変容>

4時限目は、勝木先生の講義「ひょうご親学習プログラム ゆったりゆっくり親育ち」が行われました。

「3億の中の一番」のエピソードに、子育ての中でのほんわかした家族の一面とダイバーシティの原点を感じました(三村)。

9月19日(水)

希望学生は、妊婦体験もしました。

1時限目は、日本赤十字社 姫路赤十字看護専門学校 副学校長 柳めぐみさんをお迎えして、「臨床的に診る子どもの健康と育ち」をテーマにお話ししていただきました。

講義内容は「こどもの病気(風疹・麻疹・予防ワクチンなど)」「こどもの死亡原因(不慮の事故・溺死・交通事故・窒息)」「肺炎(ウイルス・細菌・その他:マイコプラズマ菌・真菌など)」「子育てをして良かったこと」などについて。

子育ての中でおこる不慮の事故や病気についてのお話しは、私自身の過去の子育てを思い出す場面が多く、例えば、誤飲(新幹線の中での大きな飴玉)あやうく転落(マンションの3階から)交通事故(反対側道路から私を見つけて飛び出し・小学校入学式前に自転車で車の下に)肺炎(マイコプラズマ肺炎)などなど、予防・対処法などを知識として知っておくとよいと感じました。
誤飲に関しては、乳幼児の口に入る直径3・9センチまでの物のローラーの「誤飲チェッカー」というものがあり、トイレットペーパーの芯(直径3・8)でも代用できるので、乳幼児のいる家庭では、手の届く所に、それより小さなものは置かない方が良いです。

2時限目は、関西学院大学非常勤講師 城田千枝子さんをお迎えして、「ひょうごの子育て支援の現状調査から 家族の絆を中心に」をテーマにお話ししていただきました。

「中高生の視点からみた家族の形、家族の存在、家族との関係性」「中高生における家族の絆の強弱感と自己評価 —自己肯定感と自立力−」「家族の絆の構築方法と理想とする家族の絆のあり方について」「青少年の家族観、家族関係」などについて。
自分の家族の絆を強めるために、どういったことをしたいか?についても考える時間でした。

3・4時限目は、勝木先生の講義
・WS 共感トレーニング「知る」「気づく」」
・WS 自己肯定感をはぐくむ

 「私たちは誰しもが対等で自由な関係の中で生きていきたい」「愛し尊ばれる存在でありたい」という自分を大切にすること(自尊心)や、一人ひとりが違う価値観を持ち「自分を大切にしようとする気持ち」を育てることが必要である。

・見学と取材の準備

9月20日(木)

フィールドワーク(午前)
姫路市飾磨にある津田このみ保育園 に保育の現場と部屋見学に行きました。
井上裕子園長のお話しをお伺いしました。
「園児も地域の子どもも保護者も職員も一緒に育っていこう」ということで、地域で安心して子育てできるように様々な子育て支援のサポートに取り組まれています。
母親クラブ・サークル活動
1ヵ月体験保育
ホームページ・ブログ・電話相談・面接相談
園庭開放・わんぱくルーム開放
ベビーマッサージ
完璧な親なんていないノーバディーズパーフェクトプログラム(みんなで子育てを楽しもう。)
言語聴覚士による『ことばの発達相談』
親子で遊ぼう in リバーシティ

フィールドワーク(午後)

加古川市平岡町にある東加古川子育てプラザに施設見学に行きました。

NPO子育てサポート☆キラリING理事長石堂美紀代さんに「みんなで子育て・楽しい子育て」をテーマにお話ししていただきました。
・子どもを幸せにするには、幸せな大人が隣にいること
・今なぜ子育て支援が必要か
・保護者とのかかわり
・みんなで子育て、楽しい子育て
・子ども自身が、心底「楽しい」という体験をする。

兵庫県教育委員会事務局 社会教育課 社会教育係 指導主事 近藤直樹さんに「ひょうご親学習プログラム ゆったりゆっくり親育ち」をテーマにお話ししていただきました。
「子育て支援の背景」「ひょうごの子育て支援」の講義のほか「ひょうごの親学習プログラム体験」を用いて実際にプログラム体験をしました。

9月21日(金)

1時限目は、生涯学習サポート兵庫 榎本嘉仁さんをお迎えして、「被災地における子育て支援」をテーマにお話ししていただきました。

2時限目は、生涯学習サポート兵庫 山崎清治さんをお迎えして、「被災地へ子育て支援者を送るNPOの使命」をテーマにお話ししていただきました。

「3・11何をしていたか・・・」「どんな災害支援活動があるのか?」などについて考え、「忘れない」ということを心に刻みました。

3・4時限目は、グループ発表の準備と発表の時間でした。

キリンさんグループ「子育て支援〜施設見学を通して〜」津田このみ保育園、NPO法人子育てサポート☆きらりing施設見学での、子どもや親が利用しやすいような工夫点やイクメン支援について。

カバ「障害をもつ子供に対する支援」出生前診断のグループディスカッションで「子供や親の負担を考えると中絶するかもしれない」という意見を聞いた。
・金銭的な負担は余計にかからない
・発達の遅れもその子の個性
・大人たちの偏見が子育てしにくい世界を作ってしまう
 
ラクダ「イクメン」
イクメンの現状、アンケート調査を実施。
政府の調査では、3割の男性が育休を取りたいと思っているが、今回の調査では約7割の男性が育休を取りたいと答えた。この差が生じた理由として、同世代の男性は、まだ社会の厳しさを知らないこと、理想と現実のギャップがあることが考えられる。
・なぜイクメンや男性の育児者が増えないのか
育児は女性がするものという固定観念が消えていない
男性が会社で育休を取りにくい環境に置かれていること
男性が昼間に働いていないと不審に思われるような実態があること
・どうすれば増えるのか
育児は男女が協力して行うものということをもっと啓発する
会社員でも男性が育休を取りやすいように、会社への呼びかけを行う

ゴリラ班「子育て支援〜見学を通して気づいたこと〜」
・学んだことを自分の生活に生かす
・子育てボランティアを積極的に行いたい
・自分の子育て方針を大切にしたい

ゾウ組 「私達が考える子育て支援」
・働く女性の子育て
・幼稚園と保育所の違い
・少子化なのになぜ待機児童が多いのか?
・待機児童を減らすために など。

クジラ班「イクメンが家族を救う」家族の絆やイクメンの現状について。
父親が育児参加すること自体が父親の幸せ、妻の幸せ、子の幸せにつながる父親の居場所が家に作られる。