平成24年度全県キャンパス講義「兵庫のものづくり」①〜⑤

こんにちは、コーディネーターの三村です。

後期に入り、全県キャンパスプログラム通常講義「兵庫のものづくり」が始まりました。

姫路書写キャンパス4401教室 にて 5時限目(16:20〜17:50)に開講されています。

この講義では、兵庫県立大学が公立大学である特徴を生かし、地域と連携した教育活動を全県的な規模で展開することにより、学生の教育効果を高め、自主的な学習を促進するとともに、地域社会における「ものづくり」の現状の理解を深め、あわせて地域の活性化にも貢献することを講義目的及び到達目標としています。(兵庫県立大学シラバスより)

10月2日 第1回目
前半は、工学部教師による「兵庫のものづくり」の講義方法・成績評価法、レポートに関する注意事項、会社・工場見学会についてなどの概要を行いました。

後半は、トータルマナー研究所 所長 河本栄味子さんによる「マナー講座」を行いました。

社会人として知っておくと良いこと、とても役立つお話です。
この講義は2回目より企業の方を講師にお招きします。また会社・工場見学会も予定しており、講義を受ける姿勢、企業訪問のマナーを一年生の時から体験します。
県立大生として、相応しいマナーで講義を受けて欲しいと同時に、お越しいただく講師の皆様の貴重なお話を今後に活かしてほしいと思っております。

●講義の要旨や概要
・今後、外部の方の講義を受けるうえでのマナー講座
・質問をする時の方法や注意点、良い質問とは何なのか。
 質問を擦る時の正しい手の挙げ方。
 話し手の力を引き出せるような聞き手になる。
 質問には、相手が答えたい質問と答えたくない質問、自分と聞きたくない質問があるということ。
・お辞儀をする時には、きちんと立ち、腰から折り、体をあげるのをゆっくりするとより丁寧である。
・発声の仕方、練習
・服装、挨拶、時間厳守の大切さなど

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?
・今後の大学生活や社会へ出た時に、初対面の人や上司の方との会話をする場合に、相手に信用してもらえる人間になれるのではないかと考えられる。(物質Aさん)
・相手の話を全身で聴くこと、自分の考えをはっきり伝えること、態度、行動はその人自身の評価にもつながることはもちろん、面接の時にも注意される点なので、人間としてもとても重要な点だと考える。“相手も答えたい、こちらも聞きたい”というより良い質問をするために事前に調べることも重要だと思う。(物質Oさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど
・今まで当たり前だと思っていたマナーを自分ができていないことに気づかされた。今日学んだ挨拶や聴く態度などをいつも心にとめておきたい。また相手の気持ちになって考えるということも、どんどん行っていきたいと思う。(物質Yさん)
・目と耳と心で「聴く」ということが大事だと聞いて、自分がいかに「聴く」ことができてないかということを思い知った。またこの全身で「聴く」というのは自分にとって堅苦しさを感じたので、普段から気をつけることで自然に全身で「聴く」ことの出来る人間になろうと思った。これらのことは将来の就職活動や講演会などにも使えるので、今から気をつけたい。(物質Yさん)

●学生の質問
・「ありがとうございました」をいうタイミングは?(機械Tさん)
・ピンポイントの質問をするには、どうすればいいでしょうか?(相手も自分にとっても良い質問)(機械Iさん)
・他人とお話しする時、あがってしまうので、何か良いアドバイスは?(先手必勝、主導権を握る。)(機械Mさん)
・立って挨拶する時の手の位置について、男女での違い。(見た目による印象) (機械Tさん)
・相手の話を聞く時に目つきが悪いと注意をされたのですが、それはマナーが悪いということでしょうか?(生まれたての赤ん坊、子猫、子犬が目の前にいるのをイメージすると優しい目つきに)(機械Kさん)

工学部1年生約260名が履修しました。

10月9日第2回目

富士通テン株式会社 元常務取締役 福山 重樹 氏を講師にお迎えして、
「富士通テンのものづくり−車載AVNの進化−」というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要
・企業の定義とその概要
・富士通テンの成り立ち、社のコンセプト、業務内容など。
・主要製品の紹介
・コンセプトを達成するための技術
・技術者としての心得

・研究をする際には同じグループ内の協力が不可欠になってくる。
・機械設計者、電気設計者、ソフト設計者に分かれて開発している。
・AVNを富士通テンが初めて開発した。
・AVNは進化し続けるTENの最高商品。
・AVNには高画質、安定受信、高音質などが搭載されてユーザーに満足されている。
・コラボレーション支援システムを利用して世界とコミュニケーションをとっている。
・品質とは工場ではなく市場で作られるもの(お客様に商品を通じて喜びを与える。)
・スキルも大切だが姿勢というものが一番大切になってくる。

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?
・工学部電子系の学部に入学しているので、製造に関わる場所は今後の進路に大きく関わってくる。今回の講義は車載ANVを製造する会社を題材にしたものであったが、将来の選択肢の多くを占めるであろう事の具体的な例を知ることができ、非常に有意義であった。(電気Aさん)
・自分は技術者としての専門的な知識を学ぶ目的で大学に入ったが、技術的な問題とは別に、技術者として取り組む姿勢を考える上で、コア・コンピタンスや自分の研究を相手に短くまとめて伝える能力について重要性を知ることができた。今後専門的な分野の勉強が進めるにあたって、技術者としての心構えを持ち、取り組むことは非常に重要である。(電気Uさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど
・技術者として求められるスキルは“技術者として”だけではなく、集団で、社で、企業で必要なスキルが多く含まれていると思われた。私たちが今後社会に出るにあたって、どんな意識を持って、どんな姿勢で仕事にのぞむべきであるか、ということを考えさせられた。専門スキルだけではなく、ヒューマンスキルをみがく努力が必要であると思われた。(電気Aさん)
・日本の企業の半数以上は海外へ進出しているということで今後はよりグローバルな世界を見据えた企業活動が必要となってくることがうかがえた。また富士通テンの製品技術の中では直射日光補正機能が自分にとってあってほしいと思った技術を開発されており、素晴らしいと思った。富士通テンの製品について興味を持つことができた。((電気Uさん)

●学生の質問
・「毎年AVNが進化してきたとあったが、「次はこんな商品を作ろう」「こんな機能を追加しよう」というアイディアはどうやって生まれ、どうやって決定するのか?(機械Tさん)
・ミリ派リーダーの詳細および用途(機械Tさん)
・海外拠点との時差をどのように活用するのか?(物質Wさん)
・カーナビにおいて携帯との連動やブルートゥーズ(Blue Toos)システムは必要なのか?(機械Iさん)
・社是「誠は天の道なり」福山さんはどのようにお考えか?(機械Mさん)
・海外に工場を作るにあたって、何を重視していますか?(機械Uさん)
・技術者に必要とされるスキルで一番大切なのはヒューマンスキルか?(機械Kさん)

工学部1年生約210名が履修しました。

10月16日 第3回目
新日本製鐵株式会社 広畑製鐵所 生産技術部 部長
 亀井 浩一 氏を講師にお迎えして、
「産業基盤を支える製鉄 」というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要
・鉄鋼材料の幅広い用途
・鉄鋼の低コスト・高強度なメリット
・世界における鋼材の重要性と豊富な埋蔵量
・鋼板の製造工程
・自動車に用いられる最新技術とリサイクルの取り組み
・経験からの教え(PED、目標達成、雰囲気づくり)

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?
・自動車や鉄道、さらには家電やスチール缶まで、幅広い用途に用いられている鉄鋼材料の重要性について再び認識することができた。電力施設においても鉄は非常に重要な材料であるので、その性質を知ることで今後の自分の勉強にも役立つと考えられる。また講師の方の大学時代の経験が自分にとっては大きな参考になった。勉強だけでなく、部活やアルバイトの経験も大切である。(電気Uさん)
・“PED(prediction予想 experiment実験 discussion議論)を大切に”というお半死があったが、これはこれからの大学生活や就職してからも必要なことだと考える。1回生の間は議論があまりできないかもしれないが、後期に入って実験が始まったので、まずは予想して実験に臨むことが必要だと考える。またPEDは社会に入ってからも“なぜこうなったのか、どうすべきか”を考えていくのに役立つはずだと考える。(物質Oさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど
・自動車産業は現在の産業・経済を支えている重要産業である。そこで自分が注目したいのはこれからの自動車である。現在、開発が取り組まれているのは電気自動車であるが、自分は電気というエネルギーを使うのもエコといえるか疑問である。今後研究が進み、最終的に目指すべきところは“自分で動力エネルギーを作り走る車”ではないだろうか。そこの基盤を支えるのが鉄産業であり、電気産業であり、自分たちのような工学部であると思う。(電気Tさん)
・産業において、物を作ることだけが大事じゃないと思った。限りある資源を無駄にせずに、リサイクルしたり、製造工程で発注した汚染物質などの処理も大事だと感じた。環境のために、きちんと処理することは当たり前のことですが、当たり前のことをもっと真剣に取り組むべきだと思った。(物質Tさん)

●学生の質問
・電磁鋼板などの特殊金属は、どのくらいの量製造されているのか。
また、中国のメーカーでは、このような特殊金属(鋼板)を作ることが出来るのか?(物質Sさん)
・スラグの処理について(機械Tさん)
・熱間圧延工程で摩擦熱はどうしているのか?(機械Kさん)

工学部1年生約200名が履修しました。

10月23日 第4回目

(株)アシックス スポーツ工学研究所機能研究部フットウエア機能開発チーム
マネージャー 磯部真志氏を講師にお迎えして、
「スポーツ用具の設計最前線 」というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要
・機能構造。材料によるフットウエアなどの研究開発。
・シューズの設計には、動作分析として「力」「動き」「変形」「形」を計ることと、機能発発現のための構造設計を行っている。
・求められるものは、使用者が快適に使えることと、使用用途に合わせた軽量性などの8大機能を駆使して、一般向けの靴から専門的な靴まで用意すること。
・体も部位によって、変形する大きさが違うので、靴も場所によって、素材や形状を変えて対応させることが重要。

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?
・ シューズを作るには、シューズの形や素材だけを考えて作るのではなく、実際に使用する人々の足の形や力の加わり方からもデータも得てものづくりをすることで、あらゆる人にも対応して履くことができる靴を作っていた。
僕は電気系学科なので、将来は新エネルギーの開発に携わりたいと思っているので、その土地、条件に合った最適な発電方法、また環境か周りの人に悪影響を及ぼさないような構想をたてないとおけないとわかった。(電気 Aさん)
・モーションプレーヤーのスライドでは、さまざまな圧力と時間の関係がグラフになっていたが県立大学で行われている情報科学の授業はあらゆる数値をグラフ化する技術を養う上で、大いに役立つかと思った。シューズ作りといっても設計の技術だけでなくコンピューターシュミレーションなどの様々な実験過程を知ることができたが、ゴムなどの物質的な観点からも関わりを持つことが出来るということがわかったので、今後の就職の選択肢の1つとして考えた加わることができた。(物質 Nさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど
・シューズというものは、誰もが使うがゆえに、逆にものづくりの分野としては難しい仕事だと感じた。全ての人がみな同じ足の形をしているわけではないので、その人が欲している機能を備えたシューズか皆が欲している共通の機能を持った靴など幅広く対応する必要があり、大変だがアシックスは細部に至るまで(材料だけでなく形状も)研究・開発しているところに企業の威信を強く感じられた。(電気 Aさん)
・人間の走るという動作をスローカメラで細かく分析して、フォースプレート用いて、その部分にどれほどの力がかかっているのか調べて、その上でより良い製品を設計する。Asicsは、ものづくりのまさに鏡であるように感じた。いかにユーザーの要望に応えるか、そのことをとことん突き止めていく方法や姿勢を学ぶことが出来たと感じた。今回の講義は自分がどんな企業に就職しても活用できることを学べたと思う。(物質 Hさん)

●学生の質問
・新しい製品を企画してから様々な手順を経て商品化されるには、どれくらいの時間がかかるか。
・一年間通して、いくつかの製品がつくられているか(機械 Kさん)
・ソール部分の材質やリサイクル活動について。
・ハンドボールシューズの性能について。(機械 Oさん)
・アシックスでは、どのような人材を求めているのか。(機械 Nさん)
・子ども用シューズの工夫。(機械 Tさん)
・アシックスでのソフト開発は、どのように開発され、どのように役立っているのか。(機械Iさん)
・シューズを作っていく最終的な問題としてコストを抑えるのとより高性能を求めるのか、どちらを優先していますか。(機械Iさん)
・値段の違いの主な要因は何ですか。(機械Kさん)

工学部1年生約200名が履修しました。

10月30日 第5回目

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 デバイス開発センター
OLEDプロセス開発グループ プロセス開発チーム
寳角(ほうずみ)真吾氏を講師にお迎えして、
「次世代を照らす光」というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要
・自己紹介 趣味、大学での経験、海外経験
・照明の紹介 様々な分野の照明、照明の色と色温度
・有機ELの紹介
・プロセス開発の世界
・封止とは
・全力で大学生活にのぞめ!

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?
・就職した際に、自分が大学でやっていた研究と同じことができるのは、非常にまれであるという話があったが、その時には不安になる必要はなく、大学で学んだ基礎知識を生かして、物事を柔軟に捉えて考えて行くことが重要であると学んだ。ものづくりは苦労の連続であり、いつでも課題、要求に直面するが、それを次々に超えていかなかればならないということを学んだ。私が将来ものづくりに携わったときに参考にしたい。(物質 Hさん)
・広い視野を持って、専門の学問の知識を習得すると、それは今後とても役に立つという話は、とても印象的でした。ナノテクノロジーと照明は一見まったく関係ないように思えるのも、根幹はつながっているという話から、今は魅力を感じない講義もしっかり勉強しようと思いました。(物質 Kさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど
・幅広い知識や一致団結して一つのものを作りあがるという能力が必要であると感じた。大学生活でも、勉強に励んで、友達を多く作り、知識やコミュニケーション能力、協調性を身に着けようと思った。(物質 Hさん)
・大学、研究室で学び過ごしたことが今後の自分のスキル(実力)になっていくんだと感じた。英語は話そうとする姿勢がとても大切。今やっていることが将来の仕事につながっていく。これから技術はさらに進歩すると思うが、その一端を担うという気持ちで勉強していきたいと感じた。(物質 Nさん)

●学生の質問
・LEDよりも有機ELのほうが優しい光に感じられる理由。(解:点でなく面が発光しているから。)(機械 Tさん)
・有機ELの寿命(機械 Tさん)
・技術者にとって、経営はどう大事なのか。(機械 Iさん)
・自由が丘の有機ELの写真について(機械 Uさん)
・なぜLEDで紫色は出しにくいのか。(機械 Kさん)
・これからの分野で花形となるような分野、テクノロジーは何だとお考えですか。(機械 0さん)

工学部1年生199名が履修しました。