_殿(朝来市) 世界の合言葉は森 竹田城跡のナラ枯れ

林野庁によりますと、近年、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介するナラ菌により、ミズナラ等が集団的に枯損する「ナラ枯れ」が本州の日本海側を中心に大発生しているそうてす。

これまであまり注意していなかったのですが、知らない間にすぐそこにまで、被害が及んで来ていたのです。

このナラ枯れ、殿(朝来市)周辺でも、見られクヌギやミズナラやコナラなどのナラ類の樹木が、集団的に枯損する現象(森林被害)なのですが。

先日も竹田城跡の周辺の里山で、まだ緑が濃く紅葉の時期でもないのに、赤く枯れたナラなどを多く見つけました。

ナラ枯れは、甲虫カシノナガキクイムシが持ち込む、病原体ラファエレア菌によって、ナラ類の木が枯れる現象で。

カシナガの成虫は、夏に幹の部分に集団で穴を開けて内部に産卵し、同時に幼虫の餌となる同菌を媒介します。

菌が繁殖すると、木が吸い上げる水が通りにくくなり、2カ月ほどで枯死してしまいます。

被害木の状況は、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が、孔道を掘った木くずや糞などの混ざったフラスが残され、根に近い幹の周囲に、大量のフラスがみられます。

原因虫である体長数ミリの甲虫のカシノナガキクイムシ(カシナガ)は、もともと日本にいる在来種でした。

江戸時代以前から被害はありましたが、最近まで局地的にとどまっていました。

近年の爆発的な被害拡大の影には、里山を「一斉放棄」した人間の行動が、動植物界の生物多様性に混乱をもたらしたという事情があるようです。

この辺りもかつて、高木と低木、草が階層をつくる豊かな森林で、一帯には、もともとクヌギやミズナラやコナラなどの広葉樹が、うっそうと茂っていましたが、近年にカシナガが侵入して以降は、環境が一変しはじめました。

樹齢数10年の樹木がここ2〜3年で、一斉に枯れはじめています。追い打ちをかけるように、鹿が若い木々の若芽を食べ尽くています。

日本の大部分の森林は、昭和30年ごろまでは人々の生活と密接に結びついた里山でした。

燃料のまきや炭、シイタケのほだ木として利用するため植えられていたナラ類には、15〜30年で順序よく伐採されるサイクルがありました。

しかし、その後の石油エネルギーなどの台頭で需要は低下して。里山の木を切る人はいなくなり、里山はほったらかしになりました。

ナラ類は、幹が太くしわが入る老木になると、カシナガが取り付きやすくなります。同様の事情で各地の山々の木が一斉に高齢化したため、被害が急拡大したとみられています。

京都大学の芦生演習林での研究では、カシナガの被害にあった木には、シイタケ菌が育ちやすいという研究結果もあります。

人間が害虫と呼ぶ虫も、何らかの役割を持って存在しています。大切なのは山を資源として見直すことですから。枯死した木々を確実に有効利用していけば、カシナガの拡散、被害の拡大は防げるのではとも考えられます。

この小規模集落元気作戦に参加されている集落の皆さんの所では、ナラ枯れのような被害はありませんか?これからどんな対応していけば、里山の生物多様性を守ってゆけるのか、一緒に考えてみたいと思います。

どうかご協力をお願いします。