最近、今まで経験したことのない役割をする事が多い。
これもそうなのだが、今年からしみん基金KOBEの助成事業の審査員に選ばれたので、23日の公開審査会に参加した。

ちなみにこのしみん基金KOBEの審査は非常にユニークで、公明正大なシステムである。審査員がそれぞれ5ポイントを持ち、全団体のプレゼン終了後全員の前で、そのポイントを自分が選んだ団体に投票していくというやり方である。得点が多い団体から順に決定していって、助成総額に達したらそこで終了。
みんなの注目を一身にあびながらの投票は、いやはやめちゃくちゃ緊張した。

普段は助成金を申請する側なので、今回逆の立場に立てたことはまさに発想の転換が生まれ、非常に得るものが多かった。本当に勉強になったと実感。

さて、実はそれ以上に今回は大きな収穫があった。

審査会の前に全審査員が集まって打ち合わせを行ったのだが、
私の隣に座られたのは、近畿タクシー株式会社 代表取締役社長 森崎氏。

もちろん初対面であるし、社会的立場からいっても私からお話をもちかけるのもどうかと
いう思いもあり、当初はほとんどお話もできなかったのだが・・・

ふと、森崎氏がキッズケータイをもっておらることに気づいた。
思わず「可愛いケータイをお持ちですね。」と話しかけさせていただいたところ、
とても気軽に、キッズケータイを持つようになったきっかけなどをお話くださった。

森崎氏が携帯を選ぶ時に「使いやすく、わかりやすく、シンプルな機能のものを」と
伝えたところ、ショップの店員が出してきたのはシニア用携帯だったそうだ。

さすがに、「シニア用携帯はちょっと」と伝えたところ、次に出してきたのが
このキッズケータイだった。

森崎氏は一目見て気に入られたとのこと。
「FOMAの設計コンセプトは『ビジネス』。だからどの会社の物を選んでも同じようにしか見えない。でもこのケータイは設計コンセプトがまったく違う。色もビビッドできれいだし。」

「なによりもね、河口さん。このケータイを持つことでどれだけ人と話が生まれ、広がったことか。」
「発想を転換するとか、新しい発想でとか言うけれど、それは突拍子もないことをするということでもなければ、何も無いところから生み出すと言う事ではないと思う。『視点をずらす』ということが重要。」
「変化は身の回りから起こる。そして人は意外と身近な変化に気づかない。遠いところばかり見ていてその変化のきざしを見逃す事が多い。」

ケータイがきっかけで、その後いろいろとお話をしてくださったのだが、森崎氏の言葉は
どれも非常に深く、強く印象づけられるものばかりだった。
ほんとは、その時「師匠!」とお呼びしたかったのだが、さすがに私も初対面で
それはあまりにも失礼であると思いもちろん口には出さなかった。

しかし事務所に帰ってから、近畿タクシー株式会社のWebを拝見させて頂いたところ、
ますますその思いは強くなった。
企業のCSRを地域の中で非常に明確に、具体的に実践されており、感動した。

さて私自身は、そしてさんぴぃす、ペルル、ちょこっとはどうであろうか。
関わった皆様やご支援頂いている方々に、これ以上ないと言えるほど
満足して頂いているだろうか。NPOだから・・・、とかスタッフが少ないから・・・
と言う言い訳ばかりではないだろうか。

あらためて、身の回りから一つずつ見直そう。変化のきざしを見逃さないためにも。(河口)