カリフォルニアの「特別支援教室」?

本日締め切りの「シャドウイング プロジェクト」の宿題を
なんとか提出してきました。
「シャドウイング プロジェクト(shadowing project)」っていうのは、
今回の宿題の場合、
障碍のある子どもたちに関わるプロフェッショナルの仕事ぶりを観察し、
その技術をぬすむ、というもの。
大学の宿題という名目があると取材もしやすいので、
チャンス! とばかり、2カ所も行ってしまいました。
(なんてまじめな生徒だ!(笑))

今回はそのうち、中学校の「リソースクラスResource Class」について、
お伝えしたいと思います。

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ここ、カリフォルニアでは、
学校内に2種類のスペシャルニーズクラス(special needs class)
が設置されています。
●「リソースクラスResource Class」
 ……軽度の学習障碍のある子どものためのクラス
●「スペシャルデイクラスSpecial Day Class」
 ……重い障碍を抱えた子どものためのクラス

ただし、私が取材に行った中学校には、
(多分予算の関係で)「リソースクラス」しかありませんでした。
こういうケースでは、
学校は「スペシャルデイクラス」へのアクセス権を親に保証することが
MUST(義務)づけられていて、
もし、ニーズがあれば親がこの中学校に連れてきた子どもを、
同じ学区のもう一つの中学校にはある「スペシャルデイクラス」へ
学校の責任で送り届けることになってます。
ちなみに、この学校では、
現在生徒530人のうち、23人が「リソースクラス」、
2人の生徒が隣校の「スペシャルデイクラス」を
利用しているとのことでした。

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さて、その「リソースクラスResource Class」ですが、
このクラスを利用している子どもは、
日本の基準に照らすと、通常クラスに在籍している「フツーの子」、
ただ単にちょっと勉強が苦手という子どもたちです。
つまり、「リソースクラス」というのは、
そういう子どもたちが通常授業についていくためのクラスなんですね。
こちらではそういう子どもをきちっとエバリュエイト(判断・評価)し、
「学習障碍がある」とラベリングして、
毎日、レギュラークラスの代わりに1、2時間、
このリソースクラスに通ってもらう。

学習コンテンツは大きくふたつ。
一つは午前中のリーディングのクラス。
レギュラークラスで国語(英語)を受けずに、
このクラスで個別のテキストで勉強するというもの。
(参加人数は11人)。
二つめはレギュラークラスで出された宿題を2人の先生が
見てくれるというもの。
こちらは5~7人ずつがクラスに来て、1時間指導を受けます。

で、その間、レギュラークラスの授業に出ないで大丈夫なのか?
と日本人の私はつい思ってしまうんだけど、
こっちは「1年1組は1時間目が数学です」って
カリキュラムじゃないんですよね。
ひとりひとり、必要に応じて、時間割が決められていて、
生徒が数学、社会、と科目ごとに教室を移動する。
要するに、リソースクラスを利用する子は、
理科は取らずにリソースクラスに来るとかするようなんです。
実際、今、高校に通っている英語不自由娘も、理科の代わりに
英語(ESL)を2コマ受けてますが。(笑)

ところで、
子ども本人や親はリソースクラスに通うことに抵抗感を持つことは
ないのかなあ…と思って聞いたところ、
そこにはアメリカ教育システムのカラクリが!

こちらはテストはもちろん、
宿題や出席、授業態度に至るまですべてが点数化され、
その得点によってグレイド(成績)が決まるんですが、

たとえば、私の児童発達のクラス(3ヶ月コース)のケースですと、

◆コミュニティリソース・リサーチレポート&プレゼン…25点
◆障碍のある子のペアレンツに取材レポート…25点
◆シャドウイング プロジェクト…50点
◆障碍別リサーチレポート&プレゼン…40点
◆障碍施設ボランティア(8~12時間)…25点
◆小テスト2回…各25点
◆期末テスト…75点
◆出席、参加態度…10点

ハードスケジュールもさることながら(涙)、
計300点で、270点以上がA、240点以上がB、
それ未満は落第になります。
中学、高校(おそらく小学校)も同様のシステムで、
日本と違って大学入学試験のないこの国は、
学校の成績いかんで大学への入学やメジャー大学への転学が許可されるため、
落第点があると(良い)大学へ進学できない=将来が約束されない。

従って、親も子も、無理してレギュラークラスに固執して
単位を取れないよりも、
リソースクラスで点数を稼ぐ方が賢い、と考えるそうなのです。
ああ、なんて合理的。
それとおそらく、みんなクラスがバラバラだから、
「あ、○ちゃんは今、リソースクラスに行ってるんだな」とか
いちいち思われなくてもいい、というのもありそうです。

私が観察したのは午後の6~7時間目で、
みんなそれぞれの宿題をやってました。
レギュラークラスの宿題はすべて、
ウエブ(グーグルカレンダー)上にアップされるので
リソースクラスの先生はそれで内容を確認できます。

クラスの環境は添付の図の通り。
レギュラークラスでは個々の机がありますが、
リソースクラスではグループ用のテーブルだけで、
クラスの雰囲気はとてもアットホーム。
宿題が終わったら、友達とゲームをしてもいいようで、
集中力が続かない子が多いから、
それがひとつのインセンティブになっているのかなとも
思いました。

でね。
日本で始まる「特別支援教室」って、
もしかしてこの「リソースクラス」がモデル?
なんて今頃思ったりしてます(^_^;)。
もちろん、基本的教育システムがちがうから、
全く同じってことはありえないでしょうが、
今まで通常クラスでついていけなかった子たちが、
必要に応じて「特別支援教室」に通うんですよね?
しかも500人中30人が必要と目されているという話ですから、
ますます、そうなのかな、と。
もし知ってる人がいたら教えて欲しいです。

ああ、また今回も長くなってしまってすみません。
次回は大学内の保育園で見た、
軽度発達障碍のある子と先生のかかわりをレポートさせて
もらいますね。