平成24年度全県キャンパス講義「兵庫のものづくり」①〜⑤

こんにちは、コーディネーターの三村です。

全県キャンパスプログラム通常講義「兵庫のものづくり」第6回〜10回目が姫路書写キャンパス4401教室 にて 5時限目(16:20〜17:50)に開講されました。

11月6日 第6回目

三菱重工業株式会社冷熱事業本部 大型冷凍機部 サービス課 主席チーム統括
 田井東 一馬 氏を講師にお迎えして
「地球環境を守るターボ冷凍機」というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要

・会社、工場の概要、製品について
・ターボ冷凍機が使用されている会社、施設
・国内のターボ冷凍機の市場動向と当社シェア
・ターボ冷凍機の原理
・ターボ冷凍機開発の変遷“高性能へのあくなき追求”
・熱交換器の高性能化
 (機械 Kさん)

・ターボ冷凍機とは…遠心式圧縮冷凍機(大容量の空調用熱源機として使用)12℃の水を7℃に冷やすための機械
・お客様は?
 ①産業用途
 ②商業用途
 ③業務用途(例えば、工場空調、一般ビル空調、地域冷暖房プラントなど)
・目標「世界に高効率ターボ冷凍機を普及させる」
・ターボ冷凍機の原理〈蒸発潜熱の利用〉
・ターボ冷凍機は化石燃料「54」に対して発電効率や送電ロスを含めても冷熱「135」になる。
・今での吸収式冷凍機を化石燃料「100」に対して冷熱「135」
・化石燃料換算ではターボは吸収の約半分
・操作盤の高性能・高機能化…高度な制御で緻密な不可追従を実現!
・学生時代を振り返って…ビール瓶、ノートパソコンの箱、缶コーヒーと窒素、アルミ、薄型の紙ティッシュなど (電気 Nさん)


●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?

・私は父が三菱重工社員ということもあって、三菱重工のことについて、もっと知りたかったので、とても勉強になりました。将来は三菱重工に就められるようにと今まで常々思っていたので、今回お話しを聞くことができて、これからの学習意欲向上へとつながりました。また教科書に載っているものを学習することだけが勉強ではなく、勉強する姿勢など身につけて新たなものを考える力こそが大切であるということを知れて、これまでの発想とは少し違っていたけれど、言われていると確かにそうなので、その気持ちを心に置き勉強していきたいと思わされました。またビジネスでは土俵を変える、つまり発想の転換によって得られる利益を考えることの重要性を知り、今後身につけることは沢山あると考えさせられました。さらに、色々なことに興味を持つことをこれから重視していきたいと感じました。(電気 Nさん)

・ただ技術を求めるだけでなく、どのようにすればコストが削減でき、より効率よく商売ができるのかなど、環境、エネルギーなどに注目した講義が聞けて良かった。将来開発に携わった時には技術の面だけでなく、このような面からも携わっていきたい。
また、学生のうちに今回の缶の話のように、色々なことに興味を持って知識を増やしたり考える力を身につけられたらいいと思う。(機械 Kさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど

・ターボ冷凍機が効率がよいと、コストが安くなるから良いのかなと思っていたのですが、効率が良いとエネルギーをあまり使わなくて済むことによって、エネルギーを作る燃料の使う量が少なくて済み、CO2の排出量を削減することにつながり、最終的にECOになる!ということを知ることができました。今まで思っていたこととはなかなか異なっていて、特に印象的でした。また学生時代を振り返っての所で、缶コーヒーの話がありましたが、それぞれ形状が異なっていたり、素材が違っていたりして、素材について例をあげると、窒素によって味が変化してしまうためという理由があり、それぞれが今のようになる過程には色々な理由を含んでいて、奥深いなぁと思いました。また今日の講義で三菱のことが色々と知られて良かったです。(電気 Nさん)

・僕が夏に行ったあのスカイツリータウン地区の冷房機が三菱重工業さんの製品だったということに驚きました。ターボ冷凍機が世界で9700台も使われているのに、日本が700台しかないということも印象に残りました。しかも省エネで従来の吸収型よりCO2の排出量が半分というところに、三菱重工業さんの技術の凄さと進歩を感じました。(機械 Kさん)

●学生の質問

・フロンの開発研究も三菱重工が行っているのでしょうか?(機械 Uさん)
・ターボ冷凍機の価格を下げる具体案(機械 Tさん)
・海外に工場を移すのが遅れた要因は?(機械Oさん)
・冷凍機ひとつで、どのくらいの広さを冷やせるか(機械Hさん)

11月13日 第7回目

株式会社 ダイセル 事業支援センター 人事グループ 主席部員 泉谷辰雄氏を講師にお迎えして「ダイセルのものづくり」というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要
・ダイセルの会社概要と歴史
・プラスティックの発明・課題と革命
・プラスティックの製造の工程と工場
・化学的なプラスティックの解体
・酢酸セルロースの科学的な性質と利用法
・ダイセルの事業概要 (電気Aさん)

・セルロイド、酢酸セルロースを出発点として、様々な事業を展開。
・セルロイドの不燃化の研究として、燃えやすい硝酸セルロースから酢酸セルロースへ。
・高分子改質は行っているが、天然高分子素材の機能、風合いが残される。
・置換基や酢酸化度を変えて様々な高分子材料を創る。
・ダイセル式という誰もがベテランの技術を活用できる仕組みを構築し、全体最適な運転を実施。
・ダイセル式の結果、生産性の増加、作業負担の減少など国際競争力の強化に大きく貢献。(機械Sさん)

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?
・自分の専門とする分野だけでなく、色々な分野に興味を持つことは重要で、幅広い知識が必要とされることが分かった。また現在は、日本国内だけで企業を運営していく事は、非常に難しく外国への進出が必要不可欠になっており、グローバルコミュニケーション能力が必要とされていることを知り、外国語の勉強によりいっそうの力を入れようと考えました。(電気Sさん)

・「指示待ち型」が増えていると聴いて、まさに自分だと考えた。また幅広い基礎学力(発想力、応用・展開力)が必要であると聴くことができた。これを踏まえ、これから大学で学習するにあたって、教授の話を聞き、その通りに実験を進めるだけでなく、どのようにしてそういった結果が出るのかということを考える力、自主的に実験をしたり、発案する力が必要不可欠であると考えた。また大学院に入り、オリジナリティあふれる研究をするためにも必要な力だとも考えた。(機械Mさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど
・ダイセル式は、少人数で構成され、上下関係もよく、非常に効率の良い方式だと感じました。またその少人数の中での友好関係もよく。離職率が1%を切っているということは、今の転職がすごく多い時代において、素晴らしいことだと感じました。さらに新入社員の教育にそれ専用に施設が作っていることも印象に残りました。(電気Sさん)

・私がとても印象に残ったことは、セルロイドがとても幅広い分野で使われていて、すごく役にたっているということです。セルロイド一つから火薬が作られたり、ピンポン玉が作られたりと、とても用途が多いことに驚きました。またダイセルには機械系の人だけでなく、電気系の人も多く働いていることを知って、電気という分野は様々な所で発揮できるんだなと感じました。他にもものづくりにはコミュニケーション能力や実行力がとても必要であると感じました。(機械Mさん)

●学生の質問
・株式会社ダイセルの強みは?また。それを支えているものは?(機械Tさん)
・活発な海外進出を展開しているダイセルさんであるが、文化も生活水準もそれぞれ異なる地域において「自分たちの強み」と「それぞれのニーズ」どちらに重きを置いているのですか。(電気Sさん)
・社会人基礎力を身に着けるために必要なことは?(機械Iさん)
・どうやってセルロイドや酢酸セルロースを利用した様々な製品を思いついたのでしょうか?(物質:Sさん)

11月20日 第8回目

ハリマ化成(株) 取締役兼執行役員 中央研究所長 岩佐哲氏を講師にお迎えして“自然の恵みと「ものづくり」”というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要

1・ものづくり 
 日本のものづくりは岐路に立つ一方で、兵庫県はものづくりが盛んである。現在は世界でも活動している。
2・パインケミカル
 工業的あるいは学術的に松脂(ロジン)以外の松由来の科学物質も含めた分野。
3・ロジンの用途
 科学的な反応を経て、○○剤としてのみでなく、医療や音楽の世界などにも利用されている。
4・ものづくりを支える研究開発
 研究開発は企業が生き残るための唯一の基本的手段であり、重要な役割を担っている。
5・ものづくりとグローバル化
 資源もエネルギーも乏しい日本にとってグローバル化は大事だ。今日では熱意を持った人が求められている。
6・まとめ
 大学生活を育む「知識」×「個性」で日本に積み上げられた課題を解決してほしい。 (電気Fさん)

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?

・今回の講義を聞いて、今後は世界と競争するのではなく協奏することが大切であるとわかった。私は今まで、「世界を相手に」や「世界で一番に」というようなことを研究目標に揚げることが一番であると考えていたし教わっていた。しかし、今回の講義で、世界と対立しながらではなく、手を取り合いながら製品を開発していくことが大切であるとわかった。(電気Mさん)
・松脂(ロジン)を含めた「パインケミカル」は、全く聞いたことのない化学物質などであったが、このように新しい物質に注目をし、そこからいろいろな用途を開発していくことは、ものづくりの一環であり、自分もそのようなものづくりをしたいと考えている。(電気Tさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど

・印象に残ったことは、国の債務残高が667兆円もあるということである。債務残高が高いとは聞いていただ、ここまでの数字とは思っていなかった。円高や少子高齢化、電力供給と一つ一つを解決していかなないと日本の未来はないと言われていましたが、改めて債務残高を聞くと私も未来はないのではないかと感じた。これから「知識」と「個性」を活かせる人材となりたい。(電気Nさん)
・パインケミカルという分野、そして松やパルプ製造の工程で得られるロジンが思いもしなかった様々な身のまわりの生活で見かける製品の使われていることを知って驚いた。またコミュニケーション能力や主体性、協調性は企業が求めるものの上位にあったが、専門知識は低い順位にあったので意外だった。なぜ海外へ投資するかという理由でリスクを横断的に分散するためという理由は考えたことがなかったので、海外へ進出していき、国内の雇用や技術の衰退することへの不満が少し減った。(電気Fさん)

●学生の質問

・ガムロジンとトールロジンの用途の違い(応用Wさん)
・原材料の不安定さについて(機械Uさん)
・ハリマ化成が松に着目するようになったのはなぜか(機械Tさん)
・海外に工場を作る際の大きなデメリットは(機械Iさん)
・トランスナショナルナル企業にする時の大きなメリットはなにか(機械Kさん)

11月27日 第9回目

県立大学OBで、エーザイ株式会社 エーザイプロダクトクリエーションシステムズ ネクストジェネレーションシステムズ機能ユニット 細胞技術グループ 福島一幸氏を講師にお迎えして“グローバル社会を生き抜く力 = science力”というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要

・医薬品と医療業界について
・医療開発と流れについて
・普段、会社などで、どのようなことをしているのか
・医療連携、薬工連携についえ
・最後に、大学、工学部について (機械Iさん)

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?

・研究で再現性が高く効率的な実験などが必要ということは、工学部の研究も同じだと考える。工学も信頼の上で成り立っている産業なので、自分も研究をするとき、再現性が高く効率的な実験を行い、信頼を得られるような実験結果を発表できるように、どうすればよいか考えていきたい。(機械Tさん)

・県立大学の応用化学科からエーザイという医薬品の会社に就くことができるなんて思っていなかったので意外で、電気系でもこのように思ってもみなかった所に就職できることもあるのかもしれないと、将来の進路の幅広さが出て、今後の勉強意欲の向上に繋がった。また将来の進路は、狭く考えるべきではないと思えた。さらに学生時代の研究と全く異なる研究をするのは、何とかなるし、むしろ工学部魂みたいな新しい評価系を構築したりとか、新しい技術を導入したりとかの気持ちを持つことの方が大切だとわかったので、今後の勉学では、そのような心意気とかを学ぼうと思えるようになった。さらに大学では人脈を広げたり、社会での仕組みを少し知れたり、思ってもみなかったことを学べると知り、それらも学びたいと思えた。(電気Nさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど

・新薬の開発のためにかかる莫大な時間、開発費にはとても驚いた。またそんな手間をかけて作り上げた新薬が日本ではあまり売れないという現状があり、医薬品市場の4割という割合がアメリカで占められているのは、少し残念だなと思った。製剤化の研究において、パッチ型というのは、とても画期的な考えだと思った。(機械Nさん)

・新薬の研究には9〜17年もかかるということに驚いた。そして、新しい物質などを開発、発見しても、最終的に薬になるのは2500万分の1ほどになってしまうということに驚いた。(電気Tさん)

・医薬品業界でも中国がシャアを伸ばしていて、日本のシャアが小さくなってしまっていることに驚きました。また薬学の技術と工学の技術が合わさって薬工連携で新しいユニークな技術を作っていくことを知り、最終的には、どのような分野の人達も協力していかなくてはならないのだなと感じました。(電気Sさん)

●学生の質問
・医薬品の研究開発には、多額の資金と長い年月がかかるとあったが、その資金を回収するのに何年かかるのか?(機械Tさん)

12月4日 第10回目

シスメックス株式会社 執行役員 浜口 行雄氏を講師にお迎えして“シスメックスのものづくり”というテーマでご講義いただきました。

●講義の要旨や概要

・会社概要 
シスメックスの拡がり、拠点、生産体制、eアシスト、
Smart Pro、供給先、長期ビジョン
・医療と検査
・各国規制の対応 (物質Oさん)

●講義内容は、あなたの将来について、どのように役立つかと考えるか?

・「先進テクノロジーと独自の強みを活かしたソリュージョンを提供しなければいけない」と言っていたことに対して、どちらか片方だけでは今の社会では生き残っていけないことを改めて確認した。独自の強みを生み出すために学生のうちから正確性・充分な知識を身につけるべきだと考えた。また語学力を身につけることも重要な点であり、学生の間に身につけるべきだと考える。(物質Oさん)

●本講義で印象に残ったこと、感じたこと、講師に質問したいことなど

・講義の中で3Dアニメーションで機械の設計図を少し見たが、立体的にわかり、様々な方向から確認できるため、とてもわかりやすく、確実にミスが減少するであろう、とてもよい手段だと思った。語学力については、様々な会社から身につけるべき能力としてあげられているので、これからの社会では話せてあたりまえなのだと思った。(物質Oさん)

・医療機器は、世界の国々によって規制(regulation)が違っているが、シスメックスは、海外での販売数も多く、これらの規制をパスできるような製品を世界中で作れるシステムは、すごいと思った。3Dのマニュアルを使用していて、詳しく組み立て方法を説明されているので、そういった技術のない人でも、素早くミスもなく、大量生産が可能になっていて僕でも簡単に作れそうだった。(物質Aさん)

●学生の質問

・3Dムーブマニュアルやeシスト、smart proなどの特徴的なシステムを作ったきっかけは?(機械Tさん)
・すべての国のレギュレーションにあらわしているか、輸出している国のレギュレーションにあらわしているか?(機械Uさん)
・Smart Proの管理部門で不備があった場合はどうするのか?(機械Kさん)