平成24年度 夏期集中講義「兵庫の里山・里海」

こんにちは、全県キャンパスコーディネーターの三村です(*^^)

8月28日(火)〜8月31日(金)

全県キャンパスプログラム夏期集中講義「兵庫の里山・里海」が開講されました。

姫路新在家キャンパス・ゆりの木会館2階会議室にて
理学部・環境人間学部・工学部・経営学部などから24名の学生が受講しました。

環境人間学部の熊谷先生・豊田先生がご担当されました。

この講義では、兵庫県の山・川・海にかかわり活躍している方々をゲストにお話しいただき「里」をキーワードとして自然環境の保全の意義と課題について学びました。

「里」という観点から
①「人との関わわり」 ②「産業」 ③「生物多様性」という3つの視点に着目して
自然環境への理解を深めました。

8月28日
 1時限目のオリエンテーションでは、「里」についてのイメージを学生から一言ずつ発言してもらい、「人とのかかわりが強い」「暮らしとかかわっている」「生き物との共存」「自然豊か」などの共通点を共有しました。

20分ほどの「日本の里山」のDVDを鑑賞し「里」についてのイメージを膨らませました。

4名の6グループわけをし、グループごとの自己紹介の後、

「講義の進め方」「まとめと評価」についての説明などを行いました。

2時限目は、熊谷先生の幼少時代から今に至るまでの「里山との関わり」についてのお話をもとに、豊田先生との対談形式で講義が行われました。

その後の学生によるグループワークショップ発表では、「蛍は綺麗な水には住めないころの気づき」「富栄養化について」「海の栄養が偏る原因」「荒れた山を里山にする課題」「環境保全」についてなどの意見が出されました。

3・4時限目には、姫路市家島町男鹿島で漁業をしながら「海の家 中村荘」の民宿を営む中村有作さんに「瀬戸内海の漁業と環境」「身近な海の保全を考える」について講義していただきました。

家島の漁業の3分の1は「海苔の養殖」 で、「船曳網」「底びき」や「いかなご」も。
働く場があるので、そこに残って生活する。
海の魅力を伝える仕事をしている。
集まることのできる環境、何らかの魅力が必要であるなどについてのお話をしていただきました。

学生からは
「観光については?」(夏の方が多い)
「海の栄養分が減っている、その理由は?」(森からの栄養源の窒素で保たれる。)
熊谷先生より窒素循環について説明していただき、「里山・里海」のテーマと関連づけて学生、先生たちを交えたディスカッションへと発展しました。

リフレクションシートのまとめで、学生から「森・川・海」「生物多様性」を視点に入れての発表の時間を持ちました。

8月29日
1・2時限目は、兵庫県立西はりま特別支援学校教諭の横山正さんに「千種川の自然と保全活動」「里山と里海をつなぐ川」について講義していただきました。

「千種川圏域清流づくり委員会」ってなぁに?
1・千種川はどこにある?
2・どんな川?
3・「流域」ではなく「圏域」という言葉の意味は?
4・「千種川圏域清流作り委員会」はどんなグループ?
5・どんな活動をしているの?
6・どんな川にしたいですか?
7・千種川のアピールを。

地域で暮らす住民、河川を管理する行政が「千種川をもっとよく知る」ことが大切であるようです。
(私の心の残ったこと)
福島の子供たちが千種川遊びに来た時のキャンプのアルバムやお話し(放射能で外に出られず色白)、そして母親からの手紙に涙しました。そういう形の支援も素晴らしいことだと思いました。

3・4時限目は、大阪ガス(株)姫路製造でのフィールドワークと兵庫県立自然・環境科学研究所 服部保教授の講義「里山林の基礎」「生物多様性への取り組み」でした。

フィールドワークは敷地内にあるビオトープ見学・緑地視察(西はりま森ゾーン)・構内見学などをバスで移動しながら行いました。
敷地の20パーセント以上を緑地ゾーンに、絶滅危惧種20種以上を植樹しているとのお話しでした。

講義では、里山の現代的価値について、里山放置林の現状について、生物多様性の保全についてなどのお話ししていただきました。

環境・防災・文化機能をもとに、新しい森づくりを考えていくことが重要である。
エネルギー革命によって、里山を利用しなくなった時代、兵庫県は新しい方向での里山づくりを考える必要がある。
国内で炭の利用は、池田炭(茶道)備長炭(高級料亭)で僅かである。

また、県レベル・市レベルだけでなく、企業も「生物多様性意識」を持っている(CRS活動(企業の社会貢献)など)地域の問題を軸として就職への視野も。

学生からの質問
Q:企業の環境保全について、CRS(企業の社会貢献)について
20パーセントの緑地化、放置林をもとの里に戻す費用、期限は?
A:その後を維持する管理費が問題となってくる。保全の難しさ、どうしたら?が課題となってくる。
 (県 みどり税 @800⇒里山管理)
Q:学生がどのような形で「生物多様性」に参加したらよいか?
A:市民活動は老齢化しているので、そこに(例えば「土木ガール」)
Q:「生物多様性」のデメリットは?
A:労力以外のデメリットは考えていない。
 保全活動は、行政より早く動けるのが企業の強みである。
の他たくさんの意見が出されました。

8月30日
終日、フィールドワーク「里山の環境と整備」の授業です。
姫路市香寺町にある熊谷先生の里山ガーデンにて、兵庫県立農林水産技術センター森林林業技術センター山瀬敬太郎さんに講師に来ていただいての里山探索と、振り返り学習(姫が丘スカイホール)を行いました。

里山探索のポイント
1・砂防について:必要性と問題点
2・2004年8月の台風により被害及び最近の集中豪雨被害
3・柴と薪の体験、燃料
4・ツリーハウスや遊具の整備と里山の環境学習
5・子どもの隠れ家つくり
6・管理の大変さと理解
7・里山での植生の理解、名札付け

学生からは
「うらしろ」の裏が「ろう」、植物の名前に由来が興味がわいた。
里山の常緑樹と落葉樹を区別しての柴の整備について学べた。
整備されていない所は暗い。
里山が教育の自主性を育てる現場となっている。
里山の手入れは大変で地域の人の理解が必要である。
子どもに理解してもらうには、親の理解が必要である。
里山での遊ぶ場のルール作りが必要である。
柴かり利用の現状はどうなのだろう?などの感想が聞かれました。

学生の質問
Q:熊先生の里山は何の木を主体として残していますか?
A:「山桜」「コナラ」「ツバキ」
Q:ナラ枯れからも守るには?
A:単木的に守る。虫の侵入を防ぐ。
Q:食べれる木の実は?
A:アケビ・夏ハゼの実など。
 舌がビリビリするのはやめておいた方が良い。
 実の利用(信州・東北⇒果実酒)(葉⇒彩り)
Q:「名称」は五感で感じられる他には?
A:名前の由来 「ヘクソカズラ」⇒臭い 「コウヤボウキ」など

8月31日
1・2時限目は学習のまとめとグループ発表準備の時間でした。
「フォンランド」のDVDを鑑賞し、森と共存している様子のイメージを膨らませました。

3時限は各グループで作成した壁新聞を使っての発表を行いました。

4時限目は、兵庫県企画県民部 地域振興課 副課長 兼 エネルギー対策室主幹 松田竜一さんにまとめと寸評をしていただきました。