今日の参加者は、4組の夫婦と2人のお父さんの計10人であった。
常連の人ばかりである。

 参加された人の子どもの年齢は、20代前半〜40代後半までで、
20歳以下はいない。ひきこもりの子はみんな男性。

 40代後半の子の父親はもう80才近くで、20年以上ひきこもりの
息子と付き合って来られ、勉強もよくされていて、よくわかって

おられるが、「このままではダメだと思いながらも生活を変えれない」と言われる。
もう先がないと思いながらも、親も子も楽な方へ流れているような気がする。

 一方比較的若い子の親は、上記のような親達の話を聞いて、ひきこもりからの脱出
がいかに難しいかを痛感されている。「まだ若いなどとは決して思ってはいられない。

一刻も早く脱出させなければ」と焦っておられるように私には感じられる。これが子ども
にはプレッシャーになるのではと危惧するのだが。

 20代前半のひきこもって3年になる息子を持つ父親は、「ゆっくりとひきこもれるよう
まわりを出来るだけ居心地のいいようにしてやるのが最良だと思ってやってきたが、

もう耐えられなくなって来た。私の性格として、先の予測が付いて待つのは待てるが、
どうなって行くのかわからない状態で何もせず、ただ時間だけが経ってゆくのは耐え

られない。それでNPO法人の訪問支援をお願いした次第である。」とのこと。その
気持ちもよくわかる。うまく行くことを祈るのみである。

 ひきこもりの子の質も、私の子がひきこもり出した20年前とはかなり変わって来た
のかも知れない。今の子は苦労しなくても大概の物は手に入る。そういう環境の中で

育ち、世の中の価値観に付いて行けず、目的を持てずにひきこもっている子に、
「ゆっくり休んでいいよ。いつまででも待っているよ。」と言ってもそこから脱出する力が

付くのであろうかとも思う。もう10年位前に、ひきこもりの子の居場所を運営するある
NPO法人から、「「待つ」をやめるとき」という小冊子が出版されたことを思い出す。

 訪問支援の方の話を又聞きしたところでは、「ひきこもっている子は、自分のしたい
ことだけはする。自分の価値観を満たして満足しているので、そこから脱出するという

意欲は湧いてこない。それは世の中とつながっていないので、自分の価値観が世の中
の価値観とは違っているということがわからないでいる。したがって、子の価値観を

乱してやる必要があり、時には子どものいやがることもせねばならない。それは親では
難しく、第三者を活用すべきである。」とのこと。そうかも知れない。

子どもがそれにうまく乗ってくれればいいのだが。ヘタすると反発して、関係がより
こじれることになる可能性もあるので、慎重にならざるを得ない。

 「子どもは小さい時から、自ら考え、自ら判断し、自ら行動するように育てる。」
ということに尽きるのかな。他人の受け売りだが。 (石塚 記)