1月のラウンドテーブル(コラボ地域懇談会)の話題要旨

①コラボ地域懇談会・ラウンドテーブルの話題要旨
 (熊谷実行委員による記録)

[日時・場所] 平成27年1月24 日(土)14:00〜16:20、3階 第1会議室
[参 加 者] 男14名、女7 名、(初参加 6名)計21名
[話題要旨]
 1.車の自動運転について(動向等の話題提供)
 2.認知症サポーター養成講座について(出前講座の案内)
 3.在宅医療に向けた取り組みについて(大阪大学の研究事業の実施説明)

1.車の自動運転について
技術開発の進展によって近い将来には車の自動運転が生活の場に入ってくることが予想される。

・車の開発技術が進んでおり運転能力が衰える高齢者でも車での移動が可能になるが、
 実現には運転に関わる諸々の社会整備が必要であり、その動向にも関心を持っている。
 →例えば、事故発生時の責任と保障(補償)体制、自動運転を可能にするまちづくり等。
・現在、コンパクトシティへの取り組みが検討されているが、移動手段の問題は解消され
 地域で離れて住める状況も考えられる
 (公共施設、病院、デイケア施設、店舗等と住まいの場所)
・これからの都市計画もまちのあり方も変わってくる。アメリカでは実験用の特別区もある。
・現実的には、まずEV(電気自動車)の普及が先にあり、安全運転の補助機能として
 普及が進み、その普及の中で具体化が進むのではないか
 (社会での実用化には相当の時間が必要では)
・東町ではマンションの建て替えが進んだことで地域が細分化された形になり、地域内に
 新たな通行路が出来て歩車分離が崩れている実状がある(横断歩道が新設された)

2.認知症サポーター養成講座について(千里地域包括支援センターからの案内)
豊中市が奨めている「認知症サポーター」の養成講座が開催される。

・認知症になっても「安心して暮らせるまちづくり」の一環である。
・認知症サポーターとは、認知症になった人やその家族を見守る「応援者」であり、福祉の
 まちづくりを一緒に進める企業や団体、市民への普及活動の一つである。
・この講座は豊中市高齢者支援課地域支援係で受け付けて出前講座として依頼先で実施する。

②未来医療人材養成拠点形成事業「地域に生き世界に伸びる総合診療医養成事業」千里コラボ ラウンドテーブル 議事録
(大阪大学による記録)

開催日 2015年1月24日(土)14:30〜16:20
場所 千里コラボ 第1会議室
参加者 大阪大学・加賀教授(工学系)、楽木教授、小黒助教(医学系)を含め
男14名、女7 名、計21名

1)事業の概要説明
・事業責任者 樂木宏実教授より事業の説明を行った。文部科学省事業として総合診
 療医養成事業が1年半ほどまえから開始され、拠点校として選ばれた大阪大学では、
 千里ニュータウンの高齢化問題に対応できる総合医の養成を目指している事。
 事業の方向性が現場のニーズと解離しては意味がないため、住民の皆さんから、現
 場の問題や事業への要望などを聞きたい。

・本研究の狙い
 ニュータウン内のコミュニティを活かした高齢者医療の支援づくり
 総合診療医と連携した在宅医療や認知症を地域で支援できる社会システムの構築
 地域における在宅医療教育の具体化(在宅診療医の養成と実践の仕組み、他
 まちづくり活動としての在宅介護ネットワーク構築の検討

・本研究の背景
 千里ニュータウンは50年以上経過し、65歳以上の人口が全国平均を上回る高齢化
 問題に直面した地域であり、今後他の地域に普及させる場合のモデル地域に成り得る。
 2025年問題に代表されるように高齢者人口が爆発的に進行しており、「まちの活性化」
 だけでは十数年後の老年世帯の医療問題には対応できい状態になる。
 ニュータウンの再生には、地域包括ケアを視点にした地域医師の教育をも担える
 リーダーの養成が急務である。
 地域と連携した「予防・医療・介護の体制構築」と「総合診療医の供給」が必要である。

・地域との連携体制
 地域の医師会と行政(市役所)、地域のまちづくり組織と交流し、各々から見た現状と
 当事業への要望を聴取できる体制をつくる。

・診療医の養成
 現行の総合診療医に老年内科を加えた「老年・総合内科」を設けて継続的な教育
 体制を構築し、診療医師を養成していく(医学生の教育と現役医師の教育、在宅診
 療実習、地域高齢者への調査等)

・今後の取り組み予定
 地域密着型総合医コース(インテンシブコース)の普及講座を開始。
 千里ニュータウン住民との交流による実施教育(まちづくり組織との交流)の検討。
 行政(豊中市、吹田市)の高齢者支援課との連携による実施教育の検討。

・研究を進めるに際しての課題・疑問
 地域のまちづくりに医療をどう組み込んでいくか。相互の協力にどんな課題があるの
 かの把握。
 進歩し続ける医療を在宅医療にどこまでどう広げていくのか。
 この研究を社会の実状に沿わせてどう適用し貢献できる形にするか。

・地域との交流
 研究には現場の諸状況を知る必要があり、医療・介護・福祉、生活(居住環境)等の
 実状を知って適切な連携策をみつける。
 研究事業に係る地域との交流は今回がスタートであり、今後、継続して地域の現状や
 在宅医療に関わる地域の要望を聴いていく。

2)討議・質疑
・参加者から意見を出し合い全体での討議を行った。一部、参加者から医師への質問が
 あった。

・以下、主な質疑応答、意見 

Q)在宅医療は開業医の往診とどう違うのか。
A)在宅医療は病院の紹介で受ける形が想定され、これまでの開業医の外来診療の延長にある往診とは異なる形になる。

Q)病院、医院で医師と対話する時間が短い。癒しをあたえる医療が大切だし、そのような要求に答えサポートするのは家族や身近の人だと思う。身近な人が話を聞くシステムが今後に重要だとおもう。
A)地域包括システムにおける住民組織の関わりが大切と考える。医療で対応する範囲と住民組織で対応する範囲との違いをどの様に分けていくのか等が課題だと思う。

Q)地域の医師に対する教育は難しいと思う。すでに開業している医師に対して、専門外の分野を学ぶ必要性・意義をどのように理解してもらうのか?
A)何を学んだら良いのかわからないという医師が多いかもしれない。医師会と相談して聴講生を募りたい。意識の高い人は学ぶだろうが、高齢医師や、日常業務で忙しく繁盛している医師は学ぶ必要が無いと思うだろう。将来の自分のスキルアップを考えている医師に教材を提供する。

Q)在宅医療を受ける人は恵まれているのでは?周りには独居の人が多い、このような人は在宅医療を受けられるのか?医師が来ない時間帯に一人で生活はできないのでは?
A)現時点において、在宅医療が成功しているのは、家族の介護が多い人、お金がある人である。医者は高齢者の家庭の様子はわからないため、相談事例などは窓口である地域包括支援センターに相談してほしい。

【意見】地域で実際に相談窓口となっているは民生委員だが民生委員の数が少ない。自分の地域では住民1万人あたり、民生委員14人なので住民全体の現状が把握しきれない。しかも全部が集合住宅で誰とも顔を合わないで済むような構造となっている。65歳の一人ぐらいが1割であり、同じ団地で知らない人が多いし、いつの間にか無くなっている高齢者がいる。

【意見】在宅医療は同居する家族が居ることが前提になり、また相応の費用も必要と思われるので、対象者は限られるのではないか(家族が同居しており経済的に応じられる高齢者に限られる)

【意見】地域高齢化問題に対応する医師、看護師、その他の役職の役割分担が分からない。看護師さん、介護職員など、医師以外の医療職がかかわる部分があると思う。

【意見】永楽荘では震災をきっかけに防災を中心に様々な委員(PTA、民生委員など)が集まって問題を共有するシステムが出来上がっている。また自治会で班長制度を作り、それぞれが担当エリアの高齢者の様子を確認し、1~2週間に1回に報告するシステム:見守り隊がある。独居老人なども声掛けなどで様子を確認しており、もし認知症の疑いがあればケアマネさんに連絡するなどして対応している。

【意見】:一人の認知症老人が近所にいるがどのように介入したらよいのかわからない。そのような老人も整形外科などには通院しており、このような医師がなんとか専門医につないでくれないかと思っている。

【意見】:認知症の方への対応が分からない。
⇒地域包括支援センターの丸山さんから周辺症状(もの盗られ妄想など)への対応方法について説明があった。

【意見】:疾患の知識を持った人が少ない。疾患の知識をもった市民を増やして、地域コミュニティの中で疾患を持つ人を拾い上げることがいいなと思っている。

【意見】総合診療医、在宅医の養成は大切だが、より住民に近い部分での関わりがほしい
⇒学生による疾患講義などの可能性を説明した。

【意見】在宅医療は地域のコミュニティがベースになるが、地域にはコミュニティ格差がありその解消も必要になる。

【意見】まちづくりでのコミュニティ形成は、住民自身が必要性を感じていないのが実態である。在宅医療の普及には、地域にコミュニティの形成が必要なことを浸透させる方策も必要である。

③加福実行委員の感想
楽木教授が「医師やその卵は病気の市民や病気の臓器と対話、対面することが多く、
健康な市民と対話する機会が少ないのでこのような機会は貴重なのです。」と
説明されたのが印象的でした。