5月度 第60回コラボ大学校

5月9日土曜日、第60回コラボ大学校を開催しました。
テーマ:向こう三軒両どなり 隣は笑い合う人ぞ 
〜即興演劇のお話とその効用〜
話し手:カクテルホイップ 北川 優子さん、上堂薗 由香里さん

受付で、「何か単語をひとつ書いてください」と書かれたメモ用紙と水性マーカーが、講演関連資料等とともに参加者へ渡されます。
軽快な音楽が流れるなか、カクテルホイップのお二人が登場。オープニングの風船を膨らませるパントマイムのあと、ひらがな50音カードを1枚ずつ引いて客席へ見せ、いきなり即興演劇が始まりました。
「さ」 さあ〜始まりました
「よ」 ようこそみなさんお越しくださいました
「り」 理解不能なこともあるかと思いますがよろしくお願いします

参加者に書いていただいたメモ用紙を回収し、次の演目へ。
これらのメモを1枚ずつ引きながら演技していきます。
「ラグビー」 女の子だけどラグビーやりたい
「お菓子」 おかしいって言われるやんか
「天気」 天気のいい日は試合やねん
「風」 風が吹こうが槍が降ろうが母は応援する
「アボカド」 アボカドサラダのおかげでこんな身体に
「タブレット」 あんたの勇姿をタブレットにおさめたで
「母の日」 母の日のプレゼントやねん
お二人はメモに書かれた言葉を見て、その場に合ったセリフでストーリーを紡いでいきます。
これが即興演劇のひとつ《ペーパーズ》です。

即興演劇はインプロビゼーション、略してインプロと呼ばれていて、観客よりいただいた言葉等をもとにつくる演劇です。設定など何も決まっていないため、いっしょに演技を行う相手をよく観る・よく聴く・しっかり感じることがたいせつで、コミュニケーションを学ぶ手法としても注目されています。
インプロの始まりは2つあり、1つは1940年頃のアメリカで移民の子どもたちがお互いに楽しみながら理解し合うため、日本の「かごめかごめ」のようなゲーム性の強いものを演劇に取り入れ、プログラム化されたもの。もう1つは1950年頃のイギリスで、役者が舞台で評価されることへの緊張や恐怖から心と身体を解放するために行うトレーニ ングとして始まったもの。インプロ出身の有名俳優も多く存在し、大阪発祥の大手芸能プロダクションでもインプロショーが行われているそうです。

参加者にインプロを体験してもらいました。《ペーパーズ》ではなく、どの列が一番先に到達するかを競う手遊びゲームです。両手のひらを開いた状態で自分の顔の方に向け、左手親指から順に閉じて右手は小指から閉じていき、両手がグーの形になる。これを隣り合う人とウェーブができるようにリレーしていきます。今度は右手親指から順に開いていき、最後は両手がパーの形になる。ウェーブができるようにつなげる。
手の動きが意外に難しいようでしたが、参加者の気持ちもほぐれてゲームが盛り上がりました。

カクテルホイップの結成は2008年。お二人は元々演劇とは無関係だったそうで、「ひめ」こと、ロングヘアの北川優子さんはサービス業で働き、後にUSJのツアーガイド研修でインプロに出会い職場のトレーニングでインプロを取り入れます。「サービス業ではお客様に想定外のことを言われることがよくあります。YES,AND・・・まずは相手の言葉を受け入れて、今ご案内できることをこちらから発すること」と、北川さんは話します。
「まめっち」こと、ショートヘアの上堂薗由香里さんは千里公民館主催の子育て講座を受講し、その中でインプロを知ります。「他人がどう思うかを気にしながら母子ともに強いストレスを感じつつの子育てから解放され、気持ちが楽になった」と、上堂薗さんは語ります。
インプロの手法は企業等の人材育成のほか、教育、医療福祉、生涯学習等さまざまな場面で使われているとのこと。

インプロのマインドは「楽しみ合う」「正しくなくてもいい」「目の前の人を輝かせ、笑顔にする」こと。
人生は即興です。日々いろいろなことを選択しながら自分が笑顔で前に進むことで、だれかを笑顔にできればと思います。との言葉で講演を締めくくりました。
質疑応答
Q:即興演劇は柔軟性がないと出来ないと思うのですが?
A:だれかを柔軟に受け入れることで、自分も柔軟になれると思います。

千里図書館司書の平井祐子さんより関連図書の紹介。インプロに関する本は数が少ないが、演技の仕方に関する 俳優向けの本や千里図書館ビジネスコーナーには「アサーション」(さわやかな自己主張)に関する本があるとのお話がありました。

次回コラボ大学校
日 時:6月13日(土) 14時〜16時15分
テーマ:『勇者たちへの伝言』『空の走者たち』〜小説で伝えたかったこと〜
語り手:増山 実さん
申込み:5月18日(月)から コラボ事務所にて
 (堤律子)