認知症サポーターのミサンガなのら

グワシ!

 4月27日に認知症サポーター養成講座に行って参りました。

 もともとカウンセリングや心理学を学んできたこともあり、認知症にも興味はありましたし、認知症とうつ病はよく見分けがつかないことがあると聞いていたので、個人的にはそのところをじっくり聞ければと思い、参加いたしました。

現在認知症は85歳以上では4人に1人で、日本では169万人いるそうですが、この二十年間で倍増する可能性もあるそうです。

 意外に思われる方もおられるかも知れませんが、認知症の症状が出てくると、周囲が気付く前に本人が気が付くことが多いそうです。

 認知症の人への対応の心得として“三つの「ない」”というのがあるそうです。①驚かせない②急がせない③自尊心を傷つけない、というのがその三つですが、特に3番目の自尊心を傷つけないというところは重要であると思います。

 一般的には本人は自分の症状には無自覚である、といったイメージもあるかもしれません。また本人は気付かないから意外と気楽で、逆に周りの方が大変だと思う向きがあるかもしれませんが、それは大きな誤認であるということを今回の講座で学びました。

 どうしても反応がないと、何も分からないと思って無礼なことをすることもあるかもしれませんが、それは大間違いです。正に「己の欲せざること人に施すなかれ」(by 魯出身の偉大なる大男、いわゆる孔子)の精神で接することが大切です。
他にも①驚かせないというのは、例えば後ろから急に声をかけたりしない等気をつける、②急かさないというのも相手のペースに合わせる等、相手のことを思いやり、自分ではなく相手の基準は何かと思いを巡らせるところなんぞはカウンセリングとも類似点があります。

 まあというか普通に誰に対してもそういう対応の出来る人が大多数の世の中であればいうことは無いのですが、良いわやすし、怒るでしかし…いや、言うは易し、行うは難し、で私自身も気をつけていかねばなりません。常に磁界の静止、いや自戒の精神が大事です。

さて気になっていたうつに関してですが、認知症の初期にうつ状態を示すことがあり、その原因には「もの忘れなど認知機能の低下を自覚し、将来を悲観してうつ状態になる」というのと「元気や、やる気が出ないこと自体が脳の細胞が死んでしまった結果である」という二つの考え方があるそうです。

 考えてみると奇しくも他の問題にも同じような議論はあり、例えば「引きこもり」の場合を当てはめてみると、「引きこもって、社会とのつながりが希薄になり、将来を悲観してうつ状態になる」というのと「元気や、やる気が出ないこと自体がうつ状態であり、その結果引きこもる」といった二つの考え方が出来ます。

 ざっくりと分けてみると前者は環境とそれに対する本人の認知の仕方によって病気や病的状態になるといった考え方、後者はそもそも始めから病気であり、それにより症状が現れ、周囲の環境も変化していく、という考え方に近いと言えます。イメージ的には前者は外から内へ、後者は内から外へ、といった感じになるでしょうか。

 うつに対しても対応も変わり、前者の考え方に沿えば、機能の低下によって絶望することがうつが原因ですから、作業療法、認知行動療法、カウンセリングなどを組み合わせ、機能の低下を防ぐ(遅らせたり)、そして機能の低下による心理的ストレスを軽減するといった方向になるでしょう。

 後者ではうつ状態になるのは脳(脳内物質)の働きに原因があるという考え方ですので、うつに対しては主に薬物を使って対処していく可能性が強いかと思います。

 私は、環境と心は相互作用しあう(お互いに強化しあう)という考え方ですので、ニワトリが先か卵が先か、といった議論よりは、両方の特徴を踏まえ、そして何よりも、個人個人の状況に沿った対応を複合的に行うことが、認知症でもまたその他のケースでも大事になるかと思います。

ただ今回の認知症サポーターの講座としての目的は、具体的な対処法を考え、行うことではなく、認知症を理解した認知症の応援者となるということでしたので、不遜にも私ごとき羽虫の様な人間があーだこーだ考える必要は今のところ無いのかもしれませんが、ただこれを機会に認知症に対してもアンテナをはっていければと思います。

サバラ!