「OSTをどう料理するか」より—事例検証

前回に引き続き、「OSTをどう料理するか」と銘打たれた研修会の内容を紹介します。

 さて今回の研修会で扱われた事例は、ICC関西主催の一泊二日で行われた国際協力コンソーシアムvol,5の中でのディスカッションで、「私たちの世界を豊かにするための将来の課題と機会とは?」というメインテーマに据えて話し合いがもたれました(ちなみに私自身は参加していません)。

 段取りとしてはこの研修会で事例を報告した鈴木ファシリテーターが担当したディスカッションの前に、別の講師によるファシリテーター講座が行われ、その講座で得たスキルを用いて、ディスカッションに挑むというものでした。

 その講座を担当されたのは中田豊一氏という方で、国際ボランティアや国際調査、研究、コンサルティングのスペシャリストだそうです。

 鈴木氏によると中田氏の講座は素晴らしく、参加者に感銘を与えたそうですが、そのことがその後のミーティングにも大きな影響を与えたのではないか、とのことです。

 ではどの様な影響を与えたのか推測するための、鈴木氏の話をもとにその講座の内容を見ていきます。

 講座について大まかに説明しますと、発展途上国等の外国に行き、本当のニーズや要求を探り出す質問法を伝授されたそうです。

 質問の中には感情をきく質問、観念をきく質問、事実をきく質問があり、この最後の事実をきく質問が本当のニーズを探り出すために大切だとのことです。

 具体的にはひたすら“もの”について質問をするということです。そのための方法としてはまず“なぜ”(why)という疑問詞を使わずに“何が”(what)、“どこで”(where)、“いつ”(when)の様に具体的な事柄を明確にするような質問をするということです。

 確かに“なぜ”と質問すると答えが抽象的、哲学的になり、問題解決のためには遠回りになる可能性があります。例えば、なぜ私は勉強が苦手なのか、と問うよりも、何が私を勉強を苦手にしているのか、を考えた方が早く原因を探り当てることが、具体的な解決策がでる、といった感じです。

(‾Д‾)Tell me why|

 この講義も興味深く、個人的には受けてみたいと思いますが、ただ今回の事例では“why?”という疑問詞を封じられたことを、参加者がディスカッションの中でここぞという時に思い出し、普段慣れないやり方で質問をしようとして、逆に質問がしにくくなったかもしれない、とファシリテーターの方は指摘されました。

 もしも主催者側の主目的が新しい技法を参加者に教え、それを練習させることであったならば、ディスカッションは従として、OSTという新しい方式をとるのではなく、より慣れた形のディスカッションやフリートークなどでその新しい質問法に慣れさせる方が分かりやすかったかもしれず、逆にもし自由闊達に議論させることが主目的であったなら、日を分けて二つの講座をした方が良かったかもしれません。
参考:WWViews in japanの主目的と実際の(可能性としての)効果

 では次回は実際行われたOSTの様子を見ていきたいと思います。