子どもがアダルト情報に惑わされないために 7

日本のアダルト情報の特徴は、
そこに映し出されている被写体(=多くは女性、最近は男性も多くなってきた)の
裸体や性は、誰かに支配されていたり、その人の意に反して行為が行われていたり、
それなのにその被写体はその行為を、頭とは裏腹に受け入れていく、
時には愛さえも芽生えるというストーリーが、
さも当然であるかのように描かれています。
そのようなストーリーばかりに触れていたら、
相手がどんなに嫌がっていても、抵抗しても、「こんなもんだ」と感じ、
相手の恐怖心などには思いが至らないのは不思議ではありません。

また、身体の一部(特に性器)の身体反応をクローズアップし、誇張的に描いている表現は、
性的な交わりとは、性器への刺激だけというメッセージを投げかけます。
人と人とが、身体のふれあいを通した行為であることや気持ちの表現としての行為からは
ほど遠いものとなります。
実際に、「AVみたいにならない」と相談してくる中高生も少なくありません。

それは男性向けの商品だけではなく、女性向けの雑誌にも描かれています。
女性向けの雑誌では、昔から変わらず、「愛があれば」「愛しているから」というセリフが並びます。
愛していれば、相手の意に沿うのは当然という意味です。
時には、主人公の女性が相手に「いきなり押し倒されて」レイプまがいの行為を
受けているのに、相手から「愛情」に刷り返られ、最終的には女性にも愛情が芽生え、
Happy end という、なんとも単純なストーリーもあります。
「無理やり押し倒す=理性を抑えきれないほどの性衝動」つまりは、
「性衝動の強さ=愛情の強さ」として描かれてしまっています。
中学生〜大学生の女の子が「カレシががまんできないって言うからしちゃった。
あたしは本当はしたくなかったんだけど・・・ウワキされてもイヤだし。どうしたらいい?」
と相談してきています。

「性」に関する価値観が固定されていない子どもが
これらのアダルト情報に触れた場合、性に関しての歪んだ認知を植えつけられることになります。
その結果、自分でも自覚のないままに性加害行為をしてしまうことにもなりますし、
また反対に、被害に遭っていても、被害に遭っていることにすら気づいていない、
ということも起こっています。
本当は大切にしたい相手なのに、結果的に、相手もそして自分も、
傷つけてしまっている子どもに接すると、とても胸を痛め、また大人の責任を痛感しています。
子ども達だって、はじめから、相手を、そして自分も、傷つけようとは思っていないのですから。

大人として、今私たちが子ども達にできることとは何でしょう?