子どもがアダルト情報に惑わされないために 5

大人の性犯罪者や性的加害行為をしている子どものカウンセリングや
招かれて性犯罪をしてしまった少年達を対象に、性被害について話をすることがあります。
それらの経験を通して感じていることですが、
性犯罪や性的加害行為をしている人は、しっかり性教育を受けている人や
中には性について非常に精通している人もいて、
性に関して、一般の人がお持ちの知識かそれ以上を持っている場合がほとんどです。
知識を全く教わっていない人もいるでしょうが、私が出会った人の中では少数です。

ただし、勘違いや誤解をたくさん持っています。
でも、講演会で専門職や一般の親向けにお話する際に参加者に質問してみますと、
やはり勘違いや誤解をお持ちの方は少なくありませんので、
性犯罪や性的加害行為をしてしまっている人たちの勘違いや誤解は、
一般の人のそれと大差ないという印象です。
マスコミで話題になった性犯罪者の中には、とんでもない言葉を言ってのけて
話題になったりしていますが、少なくても私の出会った人たちは、
一般の人の持つ知識とあまり変わりないと感じています。

大きく見た時、性犯罪や性的加害行為をしている人達の大半は、とてもマジメで几帳面です。
中には、非常に暴力的な人もいますが・・・。
そして、ほとんどの人が、対人関係が上手ではない(他者から見て対人関係が上手に見えても、
自分ではとても苦手と思っている)ことと、
育成された環境で、性的なことについては非常にネガティブな印象を植えつけられていたり、
性的なことのトラウマを持っているという特徴があります。
このトラウマに、アダルト情報の影響がある場合が、昨今は増えてきています。

つまり、性的に間違った行動をしてしまう人とそうではない人との差は、
知識ではなく、自分自身が持っている「性」の価値観や対人関係のとり方にあると、
経験上私は感じています。

雑誌やインターネットではたくさんの情報が取れますし、
生活面においてとても便利であることは間違いありません。
性に関しては、知識以上に、性に関する価値観、人間の関係性も学習できる教材となり得ます。
しかし、その情報が暴力的で、人を貶めるものであったなら、
そこから得る正確でない知識の影響もさることながら、
受け取り手の性的なイメージをネガティブなものにし、
相手との暴力的なかかわり方学習してしまう教材となるのです。
この、価値観の刷り込みと行動の学習が、もともとのその人の人とのかかわり方や
過去の経験とあいまって、相手を傷つける行動へと導いてしまうようです。