子どもたちの歓声(平成22年8月28日29日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんにちは。。。

28日(土)と29日(日)連続で孟子で子どもたちを迎えました。
28日はわんぱく公園が主催している「わんぱくクラブ」の子ど
もたち12名、29日はわんぱくクラブ員の魚海圭秀君のお母
さんが世話役をされている海南親子クラブの子どもたちです。

両日とも6:30に、ありもとは孟子に入りました。

数週間前に入江さんが巣立ち雛のものと思われる執拗な鳴き
声を聞いて以来、音信普通になっていたサシバの幼鳥を漸く
確認しました。

アカショウビンの谷の上空を3羽で飛んでいます。

ハシボソガラスと追いかけっこをしたり、アカマツの立ち枯れの
樹上で休んだり、3羽がめいめいに元気そうです。

サシバで3羽巣立ちというのはかなり優秀な繁殖結果です。

ありもとが少年時代は、春から夏にかけて最も普通のタカであ
ったこの中型の褐色のタカも、最近は環境省や和歌山県のレ
ッドデータのランクがどんどん上昇する状況です。

サシバが巣を乗せることのできる樹をもつ森林と隣接する水
田(棚田)が耕作放棄されることで、餌資源が少なくなり、各地
で数を減らしています。

日本ユネスコ未来遺産の地として、100年後の未来に向けて
里山の維持する使命を得た孟子不動谷の、豊かさのシンボル
ともいえるタカの巣立ちにありもともほっとします。

今元気で孟子の谷上を翔けるこの3羽のヒナも、もう数週間
後には、亜熱帯の島々に向けて長い旅の途につきます。
健やかに亜熱帯の島に到着し、来春には元気に日本に帰還
してほしいものです。

28日29日両日、犬飼池に若いミサゴが来ています。
29日朝、孟子近くの農協学園の前の道に、30cm強の色ゴ
イが落ちていましたが、おそらくこの子が落としたものでしょう。
今年巣立ったというほどの若さではないものの、かなり幼羽を
残した若い個体で、かなり近くで撮影もさせてくれました。

子どもたちを迎えるまでの数時間、孟子の谷を歩きまわりま
したが、さまざまな出会いがありました。

水路道に♂若2羽、天堤池下に♀若1羽、天堤池北に不明1
羽、合計4羽のコルリが入っていました。
今年護摩壇山に春〜初夏に訪れた数人の仲間から、今年
コルリがよく目立つとの知らせを受けました。
初夏の低温でブナの芽吹きが遅れ、林内を見渡すことがで
きたのと、普段が樹の葉に隠されてお互いに出会うことので
きない隣接個体が、森の中に葉が少ないおかげで良く出会う
ために余計に囀り行動が盛んであったなどの要因も考えられ
ますが、例年よりも孟子で確認される個体が多いということは
やはり例年よりも個体数が多いことが考えられます。

コルリたちは、26日27日に和歌山大学システム工学部の中
島教室の学生たちが実習で草刈りをした道沿いに降りて、盛
んに小昆虫をついばんでいました。

愛想の良い♀のコルリを撮影させてもらって、歩を進めると、
道沿いに果実を実らせたイヌビワの果実に、キビタキ夫婦が
来ていました。
暗い林の中に♂の黄色の鮮やかなお腹が、灯のようにともっ
ています。
彼らにとっては少し大き目の果実ですが、丈夫な嘴でむしりと
っては、サクリ・サクリと呑みこんでいます。
7月には巣立ったばかりのヒナを連れて、忙しそうにしていた
この夫婦も、子どもたちが巣立ち、漸く夫婦水入らずになって
いました。
でももうすぐにこの谷を離れる旅に出る前の、束の間のやす
らぎのひとときなのです。

ヒリリ ヒリリ・・・
サンショウクイの飛びまわる声がします。
2日間かなりの個体数を確認しましたが、成鳥は1羽の確認
できませんでした。
巣立ったヒナを連れていた家族が忽然と姿を消して、しばらく
してからまた個体数が増えているので、これらの幼鳥たちは
孟子で巣立った個体ではなく、渡り途中に立ち寄った個体で
あることが予想できます。
白色の羽縁で縁取られた幼羽を残す幼い鳥たちは、ネムノキ
、ヤマザクラ、シンジュ等の葉が食べられた樹の枝先を飛び
歩き、イモムシ毛虫を見つけては、飛びかかって食べていま
した。

賑やかに鳴きながら枝移りするので、すぐにその存在のわか
るサンショウクイとちがって、春先には良く鳴くツツドリは、この
時期は全く声を出しません。
ふと気付くと、サクラの横枝にポツンと止まっています。
この時期のサクラには、多量の毛虫がつくので、それを目当て
に飛来するのです。

宝塚に住む友人の知り合いが管理する公園では、森の中の藪
を刈らずに、渡り鳥の個体数を増やし、必要以上の消毒をする
ことなく、渡り鳥の「捕食」による毛虫の増殖の抑制に成功して
いるそうです。

孟子でこの時期の渡り鳥や、ムシクイ類のたくさん混じるエナガ
の大群の行動を観察していると、その管理施策がどれだけ的を
射たものかがわかります。

葉の先に毛虫が出した糸がいっぱい見えたり、樹の下に黒いウ
ンコが散らばる樹の下で待っているとかならず、エナガの大群が
飛来したり、音もなくツツドリがやってきたりします。

エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ、メジロといった定住して
いる小鳥たちに「加勢」するようにセンダイムシクイ、エゾムシクイ
、キビタキ、コサメビタキ、サンコウチョウ、コルリ、サンショウクイ
といった渡り鳥が通過してそれぞれが渡りのエネルギー源として
イモムシや毛虫を食べてくれるのですから、樹がイモムシ毛虫に
枯らされることがないのが頷けます。

未来遺産の森の小鳥たちは、観察するものに、「エコシステムの
妙」をたくまず教えてくれるのです。

このすばらしい里山のエコシステムを、つぶさに観察し、次世代に
伝達できる若い力をはぐくむことも、孟子里山公園の大きな役割
のひとつです。

28日にはわんぱくクラブの面々が孟子にやってきました。
昨日までの実習に続き和歌山大学の元安君&鍵岡さんにお手伝
いをしてもらいます。
二人に作ってもらった里遊びのテーマは「昆虫観察とメダカ観察」
「昆虫観察」を担当する元安君チームと、「メダカ観察」を担当する
鍵岡さんチームに別れた子どもたちが、元気いっぱいに孟子の谷
を駆け巡ります。

幼い子の多いわんぱくクラブにとって一番大切なのは「捕えること」。
まず手で掴んでみて、「実感」してもらうことが重要なのです。

29日に来場された親子クラブは、ご父兄同伴の家族単位の方々
でした。
犬飼池に行きます。
ここの堤は本当に「気持良い」場所です。
池への傾斜が急なのに、柵が一切ないのです。
たくさんの人が観察に来ることを「想定」していない場所です。
「遊ぶ時は気をつけて遊べよ」というメッセージのように見えます。

子どもたちの野外活動が、し辛い世の中になっています。
これは自分がした怪我の責任を人のせいにする現代人文化が招い
た結果だと思います。

わんぱく公園は「入園無料」ということで、ムチャクチャな要求をした
り、怪我をしたといって怒鳴りこんでくるお客様が皆無ですが、もし
100円でも入園料をいただいていたら、こうはいかないだろうと思い
ます。

池に落ちたのは柵が無いのが悪い
ハチに刺されたのは巣を撤去しなかったのが悪い・・・・

自分がちょっと注意していれば防げた自分がしでかした怪我の責
任を、全部「他人」のせいにすることで、昔はとても魅力的であった
里山が、どんどん魅力のない世界に変わりつつあります。

ハチやヘビのいない里山
綺麗に舗装された道のある里山・・
そんな里山のどこに魅力があるのでしょう?

里山はある程度危険だからこそ魅力があり、楽しいのです。
そしてその危険を察知する「力」こそが自然を「見る目」であり、そ
の力を持つことが本来の「自然を保護し慈しむ心」になるのだと思
います。

昨年あるホームセンターに立ち寄ったとき、「トゲ無し栗の苗販売
中」という表示を見て、愕然としました。

トゲの無い栗を、いったいどこに植栽するのでしょうか?
栗のトゲは、里山の鳥獣から種子を守るためにクリという樹木が
持つ「戦略」なのです。
人間を含め、あのトゲを「こじあける」限られた動物にのみ利用で
きることで、子孫を繋ぐように進化した樹木です。

他のドングリ類と違って、種子に毒をもたないクリの種子が、トゲ
にまもられずに里山に実ったらどんな結果になるのか?
ちょっと自然を見る「目」のある人なら、すぐにわかるはずです。

クリのトゲからクリの実をとる「手間」
厚底の靴か、火箸があれば簡単に取れるのに、それさえも面倒
がってトゲの無い栗を作るという発想は、農業という産業を、完全
に自然と「隔離」させる結果を招くということに、気づく子どもたちで
いてほしいと思います。

そのために、柵の無い犬飼池で、「注意しながら」トンボ採りをして
もらいます。

最初はかったるがっていた子どもたちが、どんどん「ハンターの顔」
になっていきます。
最初は採りやすいリスアカネやナニワトンボを取っていた子たちも
みんな池縁に立ち、オオヤマトンボやタイワンウチワヤンマを狙い
はじめます。

池面を高速で飛び回るオオヤマトンボやタイワンウチワヤンマをと
らえるためには、彼らの飛行習性を観察する「注意力」と、網の届く
一瞬のチャンスをものにする「集中力」が必要です。

「ここで待ってたら飛んでくるで!」
「網を後に隠して待っとかんと、飛んで来ぇへんで!」
同伴のお父さん&お母さんたちが童心にかえり子どもたちに「知恵」
を授けます。

苦労して網にトンボを入れた子どもたちの歓声が響きます。

残り少ない夏休み
来る日も来る日も池のふちに立ち、オオヤマトンボと「決闘」していた
自分の少年時代をダブらせるように、子どもたちを見ていました。
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<鳥類>
カイツブリ、ミサゴ、サシバ、キジバト、ツツドリ、カワセミ、コゲラ
アオゲラ、キセキレイ、セグロセキレイ、サンショウクイ、ヒヨドリ
モズ、コサメビタキ、キビタキ、サンコウチョウ、コルリ、ヤブサメ
ウグイス、エゾムシクイ、センダイムシクイ、エナガ、ヤマガラ、シジ
ュウカラ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<両生爬虫類>
ニホンアマガエル、ニホンアカガエル、トノサマガエル、ツチガエル
ヌマガエル、ウシガエル
ニホントカゲ、ニホンカナヘビ
ヤマカガシ、ニホンマムシ
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<昆虫類>
キイトトンボ、ベニイトトンボ、クロイトトンボ、モノサシトンボ、ハグロ
トンボ、ウチワヤンマ、タイワンウチワヤンマ、オニヤンマ、ネアカヨ
シヤンマ、カトリヤンマ、ヤブヤンマ、ギンヤンマ、タカネトンボ、オオ
ヤマトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ
マユタテアカネ、ヒメアカネ、リスアカネ、ナニワトンボ、ネキトンボ、
コシアキトンボ、ウスバキトンボ、チョウトンボ
オオカマキリ、コカマキリ、ハラビロカマキリ、ハヤシノウマオイ、ヤ
マクダマキモドキ、サトクダマキモドキ、ヒメギス、ササキリ、クサヒバ
リ、カネタタキ、エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、シバスズ、マ
ダラスズ、カマドウマ、オンブバッタ、トゲヒシバッタ、ヒシバッタ、クル
マバッタ、イボバッタ、コバネイナゴ、ショウリョウバッタ
スカシヒメヘリカメムシ、マルカメムシ、ホソヘリカメムシ、クモヘリカ
メムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、マツ
モムシ、アメンボ、シマアメンボ、オオアメンボ、ヒメアメンボ、ヤスマ
ツアメンボ、クマゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、チッチゼミ、ミンミン
ゼミ、ツクツクボウシ、ツマグロオオヨコバイ、アオバハゴロモ
ムネアカオオアリ、トビイロケアリ、クロヤマアリ、クマバチ、サキグロ
ホシアメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、
オオスズメバチ、ホソアシナガバチの一種、セグロアシナガバチ、コ
アシナガバチ、キアシナガバチ、キボシトックリバチ、オオフタオビド
ロバチ、スズバチ、ベッコウバチ、ヒメベッコウバチ
ヤマトアブ、マガリケムシヒキ、ホシアシナガヤセバエ、アメリカミズ
アブ、ベッコウシリアゲ
モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、アゲハ
モンキアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、キアゲハ、ムラサキシ
ジミ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、ベニシ
ジミ、ダイミョウセセリ、キマダラセセリ、イチモンジセセリ、チャバネ
セセリ、コチャバネセセリ、コムラサキ、アサマイチモンジ、コミスジ
ツマグロヒョウモン、キタテハ、ルリタテハ、アカタテハ、ヒメアカタテ
ハ、イシガケチョウ、ヒメウラナミジャノメ、コジャノメ、ヒカゲチョウ、
クロヒカゲ、コロコノマチョウ、サトキマダラヒカゲ、ナカグロクチバ
オオトモエ、キマダラツバメエダシャク、キンモンガ
クロウリハムシ、ウリハムシ、ハイイロチョッキリ、キマワリ、ゴマダラ
カミキリ、シロテンハナムグリ、カナブン、コクワガタ、カブトムシ、ヤ
マトタマムシ、ウバタマムシ
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<花>
ガマ、コガマ、ヒメガマ、メヒシバ、オヒシバ、エノコログサ、キシュウ
スズメノヒエ、チヂミザサ、タマガヤツリ、ヒデリコ、ホタルイ、イヌホ
タルイ、カヤツリグサ、ツユクサ、トチカガミ、ツルボ、ヤマノイモ
ヒメドコロ、オニドコロ、カエデドコロ、ヤブマオ、スイバ、ギシギシ
ヒナタイノコヅチ、ヒカゲイノコヅチ、アメリカヤマゴボウ、センニンソ
ウ、キツネノボタン、ボタンヅル、イヌガラシ、キンミズヒキ、ワレモコ
ウ、コマツナギ、ノアズキ、ドヨウフジ、セリ、ヒメノダケ、ガガイモ
スズサイコ、クサギ、トウバナ、アキノタムラソウ、ヘクソカズラ、オニ
タビラコ、カンサイタンポポ、セイヨウタンポポ、タカサブロウ、アメリ
カタカサブロウ、ハルノノゲシ、ノアザミ、ガンクビソウ
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