未来遺産水田調査〜2回目〜(平成22年7月23日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

6:30 孟子不動谷到着です。
今日は日本ユネスコ未来遺産の水田調査の日です。
7:30には向陽中学の諸君が、やってきます。

朝から小さなプラスチックの水槽を1つ携えて、ありもとは谷
に入ります。
その中には、クロツバメシジミの幼虫が入っています。
今日来る1年生に高橋翠さんに頼まれていたものです。
ありもとは6月から、海南黒江周辺に希少多肉植物・ツメレ
ンゲと、ツメレンゲを幼虫のホスト(食餌植物)とする和歌山
県レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類・クロツバメシジミのモニタリング
を行っています。
わんぱく公園に近い海南高校の諸君が、和歌山県立自然博
物館の協働でツメレンゲの調査をしており、それに便乗しつ
つ、11月にわんぱく公園で写真展を行おうと、撮影取材もか
ねてのものです。
その結果、海南市黒江、日方周辺のクロツバメシジミの動向
が、かなりわかってきました。
それで幼虫もなんとか自力で見つけることができるところまで
来たので、根来山昆虫調査隊のメンバーであり、今年も根来
で採取してオオムラサキを見事自宅で羽化させた高橋さんに
1頭幼虫を進呈しようというわけです。

山案山子の前に荷物を置き、天堤池にむけての道を歩きま
す。
殆どの小鳥は繁殖を終えているせいか、鳴き声もまばらにな
っています。
キビタキ、サンコウチョウ、クロツグミの囀りがかすかに聞こえ
ますが、5月の頃と比較すると、声量が本当に貧弱です。
おそらくこの囀りは、孟子で巣立った幼鳥たちが来春に備えて
歌っている声に違いありません。

天堤池で抱卵中のカイツブリがありもとの気配に気づき巣から
離れます。

上空高くを♀のハチクマが舞っています。
この大型のタカは孟子では数少ないこの時期巣にヒナがいる
野鳥です。

オオヤマトンボが池面を翔けています。
未成熟のウチワヤンマも上空を飛んでいます。
オニヤンマの個体数も、一気に増加しました。

ひととおりのデータをとり、山案山子に戻り、7:30
いよいよ向陽中学の諸君が到着します。
まず高橋さんにクロツバメシジミを渡します。
「ありがとう!ホンマに持ってきてくれるとは思わんかった!」
あまり信用されていなかったみたいです(悲)。。

一同を集め、今日の調査のメニューを説明し8:00
いよいよ田んぼの生き物調査の開始です。
丸嶋水田に隣接した水を張っただけの休耕地と、苗代床に使
用した水田の2ケ所をモデル区として、6月同様1時間掬っても
らいます。
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(苗代床)
トノサマガエル 上陸亜成体 20
 オタマ 36
ニホンアマガエル 上陸亜成体 21
 オタマ 3
ヌマガエル 上陸亜成体 2
 オタマ 2

ドジョウ 3
サワガニ 1
スジエビ 7
アメリカザリガニ 1
サカマキガイ 1
カワニナ 1
マツモムシ 1
ケラ 1
シオカラトンボ 1

(放置水田)
トノサマガエル 成体 1
 上陸亜成体 12
 オタマ 63
ヌマガエル 上陸亜成体 3
 オタマ 65
ニホンアマガエル 上陸亜成体 1
 オタマ 21

キクヅキコモリグモ 1

マツモムシ 36
コマツモムシ 7
ハイイロゲンゴロウ 1
シオカラトンボ 5
ショウジョウトンボ 1
ヒメアメンボ 6
アメンボ 1
コセアカアメンボ 1

ドジョウ 28

スジエビ 6
アメリカザリガニ 3
サワガニ 3

モノアラガイ 10
サカマキガイ 8 
カワニナ 3
ヒメタニシ 1 
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6月に確認されたシュレーゲルアオガエルが、7月上旬に上
陸してしまい、今回上陸亜成体もオタマの確認できなかった
のが残念でしたが、トノサマガエルの上陸時期を押さえること
ができて一応ほっとしました。

今回の和歌山県RDBの改定でニホンアカガエルのランクが
上昇し、ツチガエルも選定されました。

また水田にごく普通であるべき淡水魚・ドジョウが、絶滅危惧
Ⅰ類に指定されてしまいました。
今回孟子の無農薬水田では31匹の確認ができ、昔の田ん
ぼのドジョウの表情が残っていましたが、周辺の水田からこ
の「田んぼの常連さん」が、物凄い勢いで姿を消しているとい
うことなのでしょう。

数十年前には「あたりまえ」であった水田の状況が残っている
ことが、今では「未来遺産」とされるご時世・・・・

泥だらけになって遊んだ子どものままで大人になったありもと
にとってはかなり複雑な心境なのですが、彼らには、この孟子
の状況と今回改訂された和歌山県RDBとを見比べることで、
「何か」を感じ取ってくれると信じたいです。

彼らの採集した水田の生き物を同定分類し、個体数を数え、
彼らがそのデータをかき取ったところで12時・・・

大半の子どもたちはここで解散ですが、弁当持参で来た林君
たちが午後も調査を続けるというので、ありもとも付き合うこと
にします。

12時を契機に、1号池ではイトトンボ類の集団産卵が始まり
ます。
クロイトトンボ、モノサシトンボ、キイトトンボ、ベニイトトンボが
産卵しています。
いずれも♂♀尾つながり状態で、コカナダモの繊維の中に産
卵管を刺しこんでいます。
今年はベニイトトンボが2年ぶりに多いです。
1号池だけで、5番の連結産卵を確認できます。
昨年は産卵を確認することも難しかったので、今年は元に戻
ってひと安心です。

林君も標本作製用にサンプルを数頭採取したあとは、連結産
卵の様子を観察したりデジカメで撮影したりしています。

刺すような陽光のため、気温はどんどん上がります。

「暑いなぁ・・・」
汗をふきふきトンボを観察する彼らの熱心さに、本当に感心
するとともに、頭が下がります。

わからないトンボを取ったら、必ずありもとに聞きに来て、名前
がわかったらすぐに野帳に記録します。
「目的」を自覚した者の行動の素晴らしいまでの整然さに、本当
に気持ち良い爽快感を感じます。

気温が上がると飛び始めるヤマトタマムシを最後にGETして、
彼らも帰途につきました。

そこで時計に目を落とすと14時を回っています。
ありもともわんぱく公園に帰ります。

本当に熱い夏の一日、未来遺産調査の中学生たちで久々に賑
やかな、孟子の一日でした。
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<鳥類>
カイツブリ、ハチクマ、キジバト、カワセミ、コゲラ、アオゲラ
キセキレイ、セグロセキレイ、サンショウクイ、ヒヨドリ、モズ
キビタキ、サンコウチョウ、ウグイス、センダイムシクイ
クロツグミ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジ
ロ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガ
ラス、カワウ、ツバメ
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<両生爬虫類>
ニホンアマガエル、ニホンアカガエル、トノサマガエル、ヌマ
ガエル、ウシガエル、ニホントカゲ、カナヘビ
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<昆虫類>
キイトトンボ、ベニイトトンボ、クロイトトンボ、モノサシトンボ
ハグロトンボ、ウチワヤンマ、オニヤンマ、ギンヤンマ、クロ
スジギンヤンマ、ヤブヤンマ、ハネビロエゾトンボ、オオヤマ
トンボ、ハラビロトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ
ショウジョウトンボ、チョウトンボ、ウスバキトンボ、コシアキト
ンボ、マユタテアカネ、リスアカネ
オオカマキリ幼、ヤブキリ、ヒメギス、ナツノツヅレサセ、シバ
スズ、マダラスズ、オンブバッタ幼、トゲヒシバッタ、ヒシバッタ
フキバッタの一種、コバネイナゴ幼、ショウリョウバッタ幼、ケ
ラ、エダナナフシ
モリチャバネゴキブリ
マルカメムシ、ホソヘリカメムシ、ホソハリカメムシ、マツモム
シ、コマツモムシ、アメンボ、ヒメアメンボ、コセアカアメンボ
クマゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、オオヨコバイ幼
ツマグロオオヨコバイ
ムネアカオオアリ、クロヤマアリ、トビイロケアリ、クマバチ、
セイヨウミツバチ、ニホンミツバチ、コガタスズメバチ、オオス
ズメバチ、ヒメスズメバチ、セグロアシナガバチ、スズバチ、
キオビベッコウ、ベッコウバチ、フタモンベッコウ、オオモンク
ロベッコウ、ヒメベッコウバチ、ジガバチ
コウヤツリアブ、シオヤアブ、ホシアシナガヤセバエ、アメリ
カミズアブ
モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、アオスジアゲ
ハ、アゲハ、モンキアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、キ
アゲハ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、ベニシジミ、
イチモンジセセリ、チャバネセセリ、ゴマダラチョウ、コミスジ
ツマグロヒョウモン、アカタテハ、ヒメアカタテハ、ヒメウラナミ
ジャノメ、コジャノメ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲ、クロコノマチョ
ウ、サトキマダラヒカゲ、キマダラツバメエダシャク、マイマイ
ガ、キンモンガ
キマワリ、コクワガタ、カブトムシ、シロテンハナムグリ、カナ
ブン、アオカナブン、マメコガネ、ハイイロゲンゴロウ、ヒメガ
ムシ、ヤマトタマムシ
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