冬鳥の動き(平成22年1月2日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

今日は昨日までとうって変わって、陽光が暖かく感じます。
北寄りの季節風が弱まったおかげで、寒さが和らいだ感じで
す。

昨日同様10時孟子入口到着です。

ツグミの数が増しました。
昨日やはた橋で見かけた個体が、孟子にも入ったのでしょう
か。
シロハラも多くなり、今日は犬飼池のそばに1羽とまっていま
した。

大晦日から元旦にかけての寒波で冬鳥が若干動いたので
しょう。
寒波は冬鳥たちを、西へ、南へと押し下げてくれるものです。

若干冬鳥の数が改善されたので、残っているマンリョウやナ
ンテンたちは、ほっとしていることでしょう。
水路道を歩くのも、昨日よりは少し、面白いです。

ハラハラと褐色の小さなチョウが舞い降り、目の前のシダの
上に止りました。
ムラサキシジミです。
アラカシを幼虫の食餌植物とする南方系のシジミチョウで、
越冬は成虫で行います。

ここ2、3日の寒波で葉裏でひっそりしていたのが、今日は
朝から暖かいので飛んで出たのでしょう。
小春日和の日光を浴び、両翅を大きく開きました。
紫色の模様が煌めきます。
夏にこのチョウに出会ってもハネを閉じてなかなかこの美し
い模様を見せてはくれないものですが、冬に活動していると
きには簡単にハネを開いて見せてくれます。

熊野のイチイガシを食べるルーミスシジミもそうなのだそうで
すが、ただでさえ見つけることの困難なルーミスシジミに冬に
出会うのは至難の業でしょう。

孟子にいっぱいいるムラサキシジミでさえ、この時期に出会う
ことはあまりないので、その美しい煌めきをカメラに焼きつけ
ます。

ルリビタキが気持ちよさそうに囀っています。
ヒュルヒュルヒュルルリ〜・・・
転がるような美声が小春日和の不動谷に響きます。

どうやらこの小鳥は、こういう天気に日によく囀るようです。

キョ キョ・・・
クヌギ林の奥から、アカゲラの声が聞こえます。
孟子ではここ数年普通に越冬するようになりました。
昨年の冬は巣穴まで穿ったので、そのうち繁殖してくれると
よいのにと、思っています。

上空をノスリが舞っています。
寒風吹きすさぶ昨日とは、鳥の出もかなり違います。

昨日全面結氷していたきみひろ池が、今日は解けています。
きみひろ池のまわりに散乱する、倒木をひっくり返すと、その
下に、オスのニホンアカガエルが見つかりました。
産卵のため水場に出てくる♀を待っているのです。
ニホンアカガエルはトノサマガエル等に先駆けて早春(という
か晩冬)に産卵を開始するカエルです。

1月から産卵する地域もありますが、孟子では2月中旬が産
卵のピークで、最速記録は1月31日です。

まだ1ケ月も早いのに、オスガエルたちはもう、水場に降りて
くるのです。
氷河期の生き残りと言われる彼等にとっては、もう十分暖か
いのでしょう。
温暖化が進むと、絶滅するかもしれないと危惧する研究者も
いるこの小さなカエルは、孟子の豊かな里山自然のシンボル
でもあるのです。

今日も天堤池畔にルリビタキが元気です。
昨日とほぼ同じ活動パターンで、ハゼのまわりを飛びまわっ
ています。

池面をカワセミの夫婦がランデブー飛行しています。
チチーチチチ
チッチッチ・・・
下くちばしの黒いオスと、下くちばしの赤いメスが、なかよく
追いかけっこをしています。
もう彼等にとっては、「恋の季節」の幕が開いているのかも
しれません。

今日もルリビタキを観察します。
雑木林の中から出現して、ネザサの藪に入り込み、時折出
てきては、ハゼの実やアオツヅラフジの実をついばみます。
撮影するのをやめてじっくり双眼鏡で観察すると、目の後ろ
の部分に、結構褐色の羽衣が見えます。
来年になれば成熟成鳥になるのでしょう。
来年帰還するのが、楽しみです。

昨年から、犬飼池のほとりの♂がとても見づらくなっている
ので、この愛想の良い♂が成鳥になってくれれば、とても
うれしいのに・・・

そう思いながら観察していると、彼はフイッと雑木林の中に
消えました。
今まで何度もこういう行動をしていたので「しばらくしたら戻
って来るだろう」と思い、しばらく観察していましたが、気配
がありません。

10数本ほどたった頃、ルリビタキの消えた雑木林の中から
アオジを追いかけて小さな褐色のタカが飛びだして来ました。

ツミです。
色目的には幼鳥のようですが、大きさはヒヨドリ大なので♂
のようです。
この日本最小のタカは、雑木林の中を音もなく駆け回り、小
鳥を捕食して暮らす「森の殺し屋」です。

古い鳥仲間が以前、彼のフィールドでコゲラを撮影している
と、フィッとコゲラが消え失せ、あわててカメラのファインダー
から目を話すと、ツミがコゲラを掴んでいたそうです。

ありもとも数年前、海南市野上中の水田でニュウナイスズメ
を観察しているとき、ちょうど双眼鏡に入れてあった個体を、
♂のツミに「さらわれた」ことがあります。

雑木林の小鳥を掴みとることにかけては「スペシャリスト」の
彼にとって、ルリビタキを掴みとることなぞ、造作もないこと
でしょう。

とてもいやな予感がします。

その後1時間・・・
観察を続けましたが、縄張りが隣接する成熟♂が1回と、今
まで見たこともなかったオリーヴ褐色のメスが1回ハゼの実
を食べにきただけでした。
この成熟♂は昨日も一昨日も1どずつ出てきましたが、ハゼ
の枝に止るやいなや、「彼」に追い払われてしまっていました。
それが今日は、ゆっくりとハゼの実を食んでいます。

いやな予感が的中しているのでしょうか?

もしそうでもツミにとっても生きるためにやったこと、責める筋
合いのものではありませんが、愛想の良い個体だった上に、
ルリビタキの換羽についての写真資料をとる恰好の個体だっ
たのでとても残念です。

ただツミが「彼」を掴んだところを見たわけではないので、はっ
きりしないので、数日様子を見たいと思います。

少々「後味の悪さ」は残るものの、昨日より冬鳥の数の増し
た孟子を後にして、わんぱく公園に到着します。

14時を回っています。
今日は北原さんがネコに餌をやってくれたらしく、お皿の中に
いっぱい餌が山もりになっています。
ネコ小屋の湯タンポはもう冷たくなっていたので、湯たんぽを
回収して公園事務所に上がります。

給湯器のスイッチをONにして、水鳥調査を開始します。

マガモが極端に減っています。
55羽しかいません。

1月10日前後は毎年恒例のカモの調査日ですが、いつもこの
頃になると、カモの個体数が減るような気がしていたのです。

今日の大池のマガモの状況が、まさにそれなのでしょう。
つまりカモたちは、1月に入ると「動き」はじめるのではないか?
と思います。

キンクロハジロは82羽、コガモは92羽と多いですが、カルガモ
とハシビロガモの姿は見えず、ヒドリガモは3羽しかいません。

結局5種242羽しかカウントできませんでした。
年末年始カモの個体をこんな形で真剣にとったのはありもとにと
っては初めてのことですが、この結果に「カモの渡り」の謎が隠
れているのかもしれません。

明日もカウントする予定ですが、何にしても楽しみです。

わんぱく公園でも、ツグミの数が一気に増えました。
昨日のやはた橋の現象は「コップの中の嵐」ではなかったようで
す。
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<孟子鳥類>
カイツブリ、ツミ、ノスリ、キジバト、アオバト、カワセミ、アカゲラ
コゲラ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、ルリビタキ、トラツグミ、シロハ
ラ、ツグミ、ウグイス、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ
ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、ベニマシコ、イカル
スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<わんぱく公園鳥類>
カワウ 173
マガモ 55
コガモ 92
ヒドリガモ 3
キンクロハジロ 82
ホシハジロ 10
カイツブリ、アオサギ、ミサゴ、イソシギ、キジバト、コゲラ、キセ
キレイ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ルリビタキ、トラツグミ、ツグミ
シロハラ、ウグイス、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、クロジ
アオジ、カワラヒワ、イカル、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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