「そぎ落とし」と「想い」を伝えること

今や被告となってしまった小室哲哉氏がtrfのデビュー盤「EZ DO DANCE」のライナーノーツでの対談で、「如何に音をそぎ落とせるか、考えるんです」と述べていたやに記憶しています。もう15年も前の事なので詳細は忘れましたが、突き詰めればトラック数をもっと削ってもそれなりに“ノレる”音は作れるはず、と。

その時はへへぇ、そうなんだーとしか思ってなかったのですが、数年後「企画書ってのはA4用紙1枚に収まるくらいでいいんだよ」って話を聞くにつけて、「伝えたいことはもっと少ない言葉数で伝えられるはず」ということがストンと自分のなかに落ちてきたんです。

今の職に就いてから幾度となく企画書を書いてきました。そのなかで褒められたもの、一蹴されたもの、いろいろありましたが、そのたびに、「この文字数で想いは伝わっているはず!」というある種独りよがりな決めつけ・自信と、「これだけの文字数じゃ絶対足りないよなぁ」という弱音がぶつかり合うわけです。

そんなときは他人の声を助けにするんですが、他人に説明しようと思ってもおぼつかない、まだまだ自分の言葉は無駄が多すぎて(ダジャレも多すぎるけど)、端的に人に伝えられるようにはなっていない、そう思うのです。まだまだ修行は足りません。はい。

そんな折、かつてご依頼を受けて企画書作成の段階で少しだけお手伝いをさせていただいたNPOさんが見事プレゼンを通って事業を獲得したというお電話を代表の方から直々にいただきました。

これまでもほかのスタッフがお手伝いして事業を獲得された団体さんは多数ありますが、今回の事業はとても大きなもので、その場にいた、わかやまNPOセンタースタッフ一同「やった!」の歓声。

NPOさんには失礼ですが、決してスマートな企画書ではありませんでした。しかし、企画書の随所にちりばめられている、そのNPOさんの事業への想いはわたしが拝見した段階でも十分伝わってくるものでした。その想いが通じたのだと思います。

そのNPOさんが取り組む事業は県内でもあまり例がない大きなものですが、「たまちゃん、今後も頼むよ!」という言葉に、身が引き締まる思いがした、氷雨降る夕方でした。