「夢十夜」の第三夜

日 時 平成29年10月12日(木)14時〜15時30分
 夏目漱石の作品である「夢十夜」の中から第三夜をピック
アップしてのお話しでした。
 漱石は1867年に父50才・母42才の時に生まれましたが
両親が高齢で子育てが難しいことから、古道具屋へ里子に出
され、その後夏目家で書生をしていた人へ養子に出されます。
 ただ養父母が女性問題で離婚したことから再び夏目家に
戻ってくるという経歴があります。
 今回取り上げられた「夢十夜」の第三夜は必ずしも全てが漱石の創作ではなく、かなり民話に影響されたものでした。
 その民話とは、先輩である小泉八雲の出雲民話である「子捨ての話」です。
 漱石の作品の内容は、自分の盲目の息子を森へ捨てに行く話しで、森に着いた時、背中の息子が「おまえが人を殺したのは今から丁度百年前だね」と言われ、おれは人殺しだったんだと気づき、急に背中の息子が石地蔵のように重くなった。・・・というものです。
 八雲の作品は、ある百姓夫婦に子供が出来ますが貧しくて育てられないので川へ捨てにいきます、やがて百姓も少し豊かになり七人目に生まれた息子だけは育てることにします、その息子がある月の夜に「あんたが私を捨てたのは今夜のような月の夜だったね」と言われ、百姓は直ちに僧になりました。・・・です。
 漱石は薄気味の悪い雰囲気を作り出し、八雲は怪談ながら解決(僧になる)しておりその差は明解です。