暮らしに思いを馳せる

静岡県浜松市、川名。川名に人が住み始めた記録は15世紀までさかのぼることができ、嫁に出すなら川名へと言われる程、裕福な地だったそうです。前嶋さんを訪ねた時に奥様が話してくださったお話のひとつひとつが、面白く時の経つのを忘れそうになりました。

「妹が5才くらいの頃、あのあたりから牛を引いて帰ってきたのよ」といいながら山の途中、段段畑のあたりを指さします。それほどまでに大人しかった牛が、愛おしく大切にしていたことを懐かしそうにお話されます。暮らしが著しく変化していく中で、前嶋家は、今もそこにあり、大切に手入れされ、時代を経たことにより威厳さえ感じます。「豊かさ」とは、なんだろうと考えずにはいられませんでした。(よ)