「碍」の字を常用漢字に! キャンペーン実施中

(%王冠%)イラストライターの大枝桂子です。(%王冠%)

今、こちら(カリフォルニア)のコミュニティカレッジで、
障害者保育の授業に出ています。
本当はあと数回、発達性協調運動障碍の記事をアップするつもりでしたが、
予定を変更して、
これからしばらく、大学の授業やそのテキストから、
障害児保育についてお伝えすることにしました。
すみません。
おつきあいください!

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さて、本日のテーマは、
「ショウガイ」の表記についてです。

カレッジのテキスト(1万円!)のオプションとして
小冊子を購入させられましたが、
それに、
「IT’S THE “PERSON FIRST” ── THEN THE DISABILITY 」
(初めに人ありき。障碍はそのあとに語るべし)
というページがありました。

その中では、たとえば、

●disabled 、 handicapped child 
(能力を奪われた子、不利を負わされている子)
 の代わりに
◎child with a disability
(障碍を持った子)

●deaf
 の代わりに
◎person who is deaf or hard of hearing
(難聴の人、耳の聞こえが悪い人)

●crippled
(不具のある者)
 の代わりに
◎has a physical disability
(身体的障碍のある人)

というふうに表現しましょう、と訴えられております。
(発信元は、シカゴにあるPACER Center。障碍を持った子の家族への情報提供などを行っている組織)

日本語に訳してしまうと、ニュアンスが伝わりにくいのですが、
要は、障碍を言う前に「人」であることを意識しよう、というものですね。

書き言葉では、意味を明確に伝えるために、
disabled child、handicapped child 
と表記されることもあるようですが、
話し言葉ではとくに注意されるようです。
そうそう、
日本語でも、難聴者、身体障碍者とは言わず、
耳の不自由な方、とか、体の不自由な方、と
表現することがありますよね。
それとたぶん同じです。

さらに、normal child, healthy child (普通の子、健常児)と言わず、
nondisabled(障碍のない子)と表現することも薦められています。
これらは、障碍のある子やその親が、
できるだけストレスを感じないための、ささやかな努力ですね。

日本でも、先に触れたように、表現上の配慮は進んできていますが、
しかし、
肝心な、おそらく最も肝心な、「ショウガイシャ」の公的表記が
いまだに障「害」者。

理由は、常用漢字でそう定められているからです。
(厚労省のホームページももちろん、障「害」者です。
ちなみに、アメリカの健康保健省では、
handicapped childではなく、
child with a disability と記載されています)。

実は「障害者」っていうのは、戦前は「障碍者」だったんですよ。
それが戦後、「碍」という文字が当用漢字から漏れたため、
適当に「害」の字を当てたそうなんです。

で、「害」を和英辞典で調べてみましたが、
injury, harm, evil influence, damage。…
こんな感じでした。

こちらに来て知ったのですが、
アメリカ人って、日本人が考えている以上に、
日本人や日本の文化が好きな人がたっくさんいます。
他国の話になるとなぜかまず、日本が筆頭に語られるんですよ。
(これはちょっとうれしいですよね(笑))

だから「漢字」のこともよく知っていて、
「一文字一文字に意味があるんだよね。
あなたの名前の文字はどういう意味なの?」って
よく聞かれます。

じゃあ、もし私が
「障害」の文字の説明を求められたら?

──障 means ‘ barrier, difficulty ‘ (バリアや困難)
──害means ‘ injury, harm, evil influence’(傷害や危害や邪悪な影響)

こんなふうに答えることになるかな。(°д°;;)

「障碍を一個性として」という観点から言えば、
「障」さしさわる、という文字もどうかと思うけど、
でも、英語ですら、今はまだ、
with a disability (障碍を持った)という表現は残さざるを得なかった。
(さらに進化して、
Challenging Gifted child
──挑戦する能力を与えられた子ども──
なんて素敵な表現も出てきてはいますが)。

実は「碍」の字も、さしさわるという意味なんです。
だから、「障碍」は似た意味の漢字を組み合わせてできた
二字熟語なんですね。
つまり、「障碍者」はひとえに
「(体に)差し障りのある人」という意味で使われてきたと思われます。

じゃあ、そこの一文字が「害」の字に差し変わったら?
「(体に)害のある人」という意味になってしまいますよね。

できるだけ、障碍のある人、子どもたちに配慮するという立場からすれば、
ここではやはり、「害」の字は使うべきではないと私は思います。

では、「(生活に)差し障り・害のある者」と解釈したらどうか。
確かに、現実問題、害はあるかもしれません。
障碍者にとっては、まだまだ物理的にも、精神的にもキツイ社会ですから、

でも、そう言う意味で国家機関が「障害者」と書かせるとしたら、
それはおかしい(笑)。
そう言う状態を容認し、放置していることになりかねかせんから。

じゃ、どうしたらいいのかって言ったら、
至極簡単。
「碍」の字を現在の文科省認定常用漢字に入れてしまえばいい
たったそれだけです。
「石」と言う字は小学校1年生で習います。
「害」は4年生ですが、「得」も4年生で習います。
「障」は6年生ですから、そのときに「碍」の字も習いましょう。
碍の字は障碍でしか使わない漢字かも知れませんが、
それでも、入れるだけの価値はあると私は思います。
れから先、何の「さしさわり」もない日が来たら、
そのときはまた、別の言葉に変えたらいいですね。

とりあえず、それまでは、「障碍者」で。
「碍」の字を常用漢字に!キャンペーン に賛同される方は、
コメントをお願いしまーす(笑)。