「更生相談所って、何?」

福祉ジャーナリストの安藤です

 障がいのある子どもたちは高校を卒業したらどのような進路を歩んでいるのでしょうか? 知的障がいや肢体不自由といった身体による差はありますが、「大学、専門学校、職業訓練校、更生相談所、授産施設、在宅」のいずれかに進むケースがほとんどです。

 大学や専門学校はわかりますよね。筑波技術大・短大は視覚障がい者の専門大で、バリアフリーやユニバーサルデザインの専門家を多数輩出しています。障がいのある学生は国公立よりも私立に多いようです。それは建物バリアフリーで私立が選ばれているということ。国立大は東大などが中心となり障がいのある学生をどのように支援したらよいか研究会をするなど、少しずつ就学環境は改善してきています。

 職業訓練校と呼ばれているのは、正式名「障害者職業能力開発校」。全国各地にありますね。一般企業で働く障がい者にここの卒業生はとても多いです。情報システム、CAD、DTP、機械加工・・・・などと職にダイレクトな学科がある障がい者向けの専門学校と言えば分かりやすいでしょうか。

 障害者職業能力開発校へ入校するための窓口はハローワークです。えっ! そうです職業安定所で願書を出すんです。どうしてって、ここは就業支援施設だから。福祉施設じゃないんですよ。ハローワークに求職登録して、「手に職ですよ」と入校を勧められるという流れです。入校審査はあります。で、その基準は就職できるひと。障がいのことも含めて企業社会で働くことが難しい人は入校できないのです。

 「更生相談所」は自立生活に向けて訓練する福祉施設です。地域で生活するための日常生活を訓練します。あと授産施設や作業所といった福祉施設で働くための訓練もありますね。一般企業での就業が難しい人の自立訓練施設です。

 「授産施設、作業所」は障がい者のデイサービスです。自宅などから通ってパン作りや印刷といった作業をしながら生活訓練をする福祉施設です。数千円から数万円/月の収入を得ることができますが“仕事”ではなく訓練なので労働関係の法律ではカバーされていません。また出勤の義務などもありませんし、労働時間も自由です。そして授産施設などを利用しながら施設ではなく自宅で生活する人も多くいます。かつては入所型施設に授産施設が併設されていましたが、現在では暮らし(施設)とデイサービスは分離されるようになりました。これは施設ではなく在宅で自立生活を目指す福祉施策によるものです。

 障がいのある子どもの将来を考えたとき、「親がいなくなれば、この子の暮らしはどうなるのか」という不安がつのります。しかし多くの福祉と就業支援があり自立への進路はバリエーションが多くなっています。学校の先生や親の会などの豊富なノウハウや経験から進路を考えることができるようになっています。

 10月3〜5日は東京・台場で国際福祉機器展が開催されます。次回は会場から最新の話題をレポートする予定です。更新は金曜日の予定! よろしく