認知症予防スリーA方式 舞鶴市にもリーダーが誕生

(認知症対応型通所介護 グループデイ 副主任生活相談員 介護福祉士 認知症ケア専門員
 松尾奈緒美さんが寄稿して下さいました。)

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舞鶴市の大浦地区でスリーA方式認知症予防のお話をしました。

 舞鶴市の大浦地区では地域支援事業の一環で、65歳以上の高齢者に対して、23年11月から24年3月に掛けて、高齢者の体力及び筋力低下を予防すると共に、認知症、鬱、閉じこもりを予防すると言う目的で、「お達者大学」が2週間に一回実施されています。今回自分がスリーAを題材として認知症予防についてお話をさせて頂きました。

 このお話の中で私が一番伝えたいと思っていたことは「優しさのシャワー」です。

なぜなら、福知山市の認知症予防の会でスリーA方式を学んで以来、日々のケアの中で、例え認知症になってもこれまで「解らない・出来ない」と諦めてしまっていた趣味や希望を時間を掛けゆっくり少しずつ思い出されたり、得意とされていたことは体で覚えていらっしゃるのでしょうか、何度も粘り強く繰り返しチャレンジすることで、達成出来た場面に見せて頂いたあの輝くような笑顔に至る過程には「優しさのシャワー」があり、その笑顔こそが「優しさのシャワー」の真髄を物語っているのではないか、と感じずにはいられないからなのです。

そうして今日の皆さんにもゲームの中から「優しさのシャワー」を感じ取って頂けたら、と願っていました。

 ゲームに入って自己紹介を始めた段階では、私も含めて、どこかまだ緊張感があり、約20人の参加者さん達は「認知症」というフレーズには少し抵抗感をもたれているという印象を受け、現在の生活の維持、そして認知症にならないためには、どうしたらいいのかという点に興味を持たれているように感じられました。

 始め、指を使って数えるのは「簡単、簡単」とニンマリされていましたが、右手の親指を一つずらして数えていくと、「あれ?こんな単純なことが意外と出来ない」とみんなで一杯間違えては笑い、「もう一回、もう一回」と何度も繰り返して練習しました。

 ゆっくり聞き手のペースに合わせて、フォローする場面と、褒める場面のタイミングが重要で、ゲームを盛り上げていく鍵になることを感じました。

 グーチョキパー、グッパー体操、でんでん虫、リズム(机と椅子が固定されているので輪にはなれませんでしたが)、とゲームを進めて行くにつれて、だんだん皆さんペースに乗ってこられて、間違えては笑い、成功すれば拍手をして褒め合い、ゲームが終わる頃には皆さんの緊張も解け表情も和やかになられ、周囲の方との会話も増えてきました。

 言葉集めでは“あ”のつくもの、花の名前、とすすみ最後のお節料理の名前の時には、ここは、漁師町やからお節料理も魚を沢山使うんやで、あんたは知らんやろけど、とちょっと得意げで盛り上がって大笑いでした。ちょうど昼食のみそ汁のいい匂いが漂って来たこともあり、「あーお腹空いた」という声も聞こえてきましたので、にこやかな表情に包まれて終了し、皆さんと一緒に昼食を頂きました。

 優しさのシャワーの効果は、指先を使って脳を刺激すると共に、間違えてしまったことも「よーし、やってみよう」と言う気持ちになられ、その背景には、一人が笑えばみんながつられて笑い、和やかになっていく雰囲気の中で、みんなが安堵し、心が交流し始めたのではないか、と感じました。笑いはもちろん、掛ける言葉一つにも心を動かされる時があり、その暖かさの中に優しさのシャワーがあると実感しました。

 一回でスリーAのすばらしさを伝えるには、時間が足りませんでしたがこれから回数を重ねていく毎に優しさのシャワーの効果が少しずつ出てくれば、春先には、皆さんが家業の漁業や農業で、明るく元気に活躍されたり、諦め掛けていたことを、またチャレンジして取り返してみようという気持ちになって頂くきっかけになれば幸いです。

施設職員 松尾奈緒美