徳島のある男子大学生を考察。

四国遍路してますと、余計なもの

(たまってる本やおシゴトとか?)を持って行かないので、

食事をしている時とか駅とか電車の中とかで

私が観るのは、『人』になります。

損得感情のない、永久に会うこともないであろう、

様々な人を観るのは、先入観もなし、

我が『欲』もなし…純粋でスナオかつ客観的冷静に

観ることが出来るので、

思いこみや先入観などで間違った情報を仕入れることが少ないので、

結構楽しい。

今回ご紹介するのは、ある徳島のレストランでの人間観察。

観察ターゲットは、そこでバイトする男子大学生。

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私がお客として席に座り、注目するべくボタンを押すと

彼が厨房からまっすぐ歩いてきた。

その姿を何かに例えるならば、イカの姿を残し、

お酢をつけた味が珍味な『スルメイカ』。

レストラン特有のマニュアル通りの言葉をボソッとしゃべる雰囲気は

まさに『やらされ感200%』。

ただ、女子高生や女子高大生には比較的彼女たちに目をやり、

気持ちトーンが高い接客をしている。

さすが大学生男子とあって、

身体と生殖機能だけはいっちょ前であるが(笑)、

心(精神)は限りなく子供である。

いくらやりたくない事だったとしても、お金を貰ってるんだし、

背筋をピンと伸ばし、精一杯やるべきである。

ホンマ、かわいいかわいいで育てられた、

スウィートな『箱入り息子』である。

彼が注文を取りに来たにも関わらず、なんと30分も来ない。

周りは新たに入るお客も新たな注文もないのに。

ボタンを押して催促したら、5分くらいで来た。

持って来たのは、やはり彼である。

さあ食べようと思って料理を見て驚いた。

サラダのレタスが一枚、お盆に落ちていて、スープがこぼれ、お盆がぬれていた…。

思わず、クレームつけようとも考えたが、お遍路の身なので、

遠慮してそのままありがたく頂いた。

厨房担当からこんな状態の物を渡されたら、担当に直してもらうか、

自分でなおすやろう…というのが一般常識。

だけど、時期750円(推測)のバイトで働く彼にとっては、

お盆の状態や自らの働く姿がどう見られ、評価されているには関心がなく、

関心があるのは、バイト代だけである。

私は、彼と彼みたいな人間を雇い続けている店長に対して、

腹が立って来た。

そんな時、ふっと隣の席を見ると、女子高生が4人、

誰かの文句を言っていた。

そこでハッ☆と我に帰る。

『せっかくのかわいい女子高生の顔が、

人に対する不平不満を言うことにより、見にくい(醜い)顔になってしまっている。

今の私もめちゃくちゃ醜い顔をしている。』

そんなこと教えてくれた、女子高生たちに感謝である。

それから私は、何故、その彼が、そんなんになってしまったか?

その『根本原因』について、考察を試みた。

いかにも、普通レベルの家庭(兄弟は一人っ子か、姉か妹がいる)に育ち、

母親に可愛がられ育つ。

最近の若者同様、未来の夢や志よりも、

今の幸せだけに執着している、刹那主義。

視野の狭い傾向にあり、

なんとなくまわりや親のすすめで大学に行き、

ぼちぼち就職を考えないといけない…と、

漠然とした不安や、自信のなさが漂い、

それを打ち消したいが為に、余計今の幸せにしがみつくという悪循環状態。

稼いだバイト代はゲームソフトや携帯代に消えそうな感じ。

また、今までの20年間の人生のように

『誰か(親)が何とかしてくれるだろう』という、完全なる妄想に囚われている。

彼のフニャフニャした動きは明らかに『自信のなさ』、

人生のバックボーンを形成されて来なかった

『積み(罪)』の顕れである。

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ここまで考察したら、何だか彼がめちゃくちゃ可哀相になりました…。

そんな彼を作ったのは誰か?

間違いなく『親(保護者)』であり、社会(大人)なんですよね。

彼みたいな、背骨のない無脊椎動物的若い男性は、

大阪にも…いや、日本各地に増殖中です。

彼らは大人になるごとに『被害者』から『加害者』に化け、

社会に対して復讐をふっかけています。

『最近の若い者は』

と大人は若者を卑下しますが、実はそんな人間を再生産しているのは、

正に大人自身な訳です。

そんなこと分からずに、そんな発言を繰り返している

(そんな精神を持っている)大人が多いから、おかしな子供が増殖しています。

彼には必ず『両親』がいて『祖父母』がいて、

ずーと命のバトンで繋がった先人たちが、今は見えませんが、

確実に存在した訳です。

最近は、ヘンな親も出てきてしまいましたが、

自分の子供や孫に、人様から卑下され、不幸になって欲しいと願う親はいません。

私は、彼の自宅にいるであろう母親が、今晩も我が息子の為にと

作る夕ご飯の風景が見えました。

彼も到底完璧な人間ではないし、その彼を育てた母も父も完璧でない訳です。

完璧でない中も、もがきつつ、愛する我が子のために、

彼が産まれてからずっと続けているように、

今日もせっせとご飯を作る訳です。

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ここまで、私自身、えらそうに大学生の彼を考察して来ましたが、

私も彼と同じ、完璧でない人間であり、人生修業の真っ最中である身であり、

両親や祖父母から引き継いだ『命』を持った人間なんです。

自分の命、そして人様の命を傷つけることなく、

学びあい、磨きあいたいです。

最後に、その大学生の彼、

よーく見れば、なかなかハンサムボーイでした。

持っている「もの」(DNA)はとてもよさげです。

後は、成人した彼の自己努力で

なんにでも・どうにでもなれると思いました。

・・・もしかしたら、その彼、

私が明らかに怒ってて(しかも大阪弁でまくしたてるし・笑)、

未熟な彼なりに考え、焦って、スープがこぼれるのも気づかずに

ダッシュで私のところに運んでくれた、

シャイで、心のやさしいボーイかも知れませんネ。

その彼とは、二度と会うことはない、一期一会のご縁ですが、

彼の幸せを、この遍路道でお祈りしています(%笑う女%)(%王冠%)