■2012年10月16日 第5回 講義「精神疾患等の患者を支援するNPO」

■第5回 講義「精神疾患等の患者を支援するNPO」

第5回「精神疾患等の患者を支援するNPO
イギリス・オックスフォードの事例 意見交換会」

講義出席者:高木・山田・富田@ねおす、富永・伊藤@ボランティア

■背景
イギリス・オックスフォードには、精神疾患等の患者を支援するNPOが200以上も存在する。
オックスフォードでは、精神疾患等の病気で苦しんでいる方が多く、
その方々をコミュニティで支えようとする考え方があり、啓発運動が盛んに行われている。
精神疾患等の病気が社会的課題と捉えられている。
精神疾患等の患者を支援するNPOを支援(寄付・ボランティア・情報を提供する)する方々・団体も多く、
両者をつなぎ・コーディネートする側の体制も整っている。
しかし、経済情勢の悪化で、寄付金等が減少しており、経営が厳しいNPOが増えている。
また、精神疾患等の病気に偏見を持つ方やNPOの存在を知らない人もまだまだ多く、
啓発活動を活性化して、支援者・資金を増やしていく必要もあるのが現状である。

■事例紹介
精神疾患等の病気の方とボランティアさんとともに、施設(ガーデニングや森づくり等)を運営しながら、
患者の就労支援を行っているNPOの3つ事例の紹介がありました。
1つ目はrestoreという都市部に近いところで、木工・ガーデニング・畑・カフェを運営。
2つ目は、田舎でガーデニングを運営。
3つ目はぶどう園の運営。
特に、1つ目のrestoreのについての説明が主でした。

*restore
・大きな敷地内にケアハウスを持ち、専従スタッフが2名の体制で、
70人のボランティアと400人の通院患者とともに木工、ガーデニング、畑、カフェの運営を行っている。
施設内環境整備(掃除・食事等)もシフトを組んで、全員で取り組んでいる。
・木工は専門的な道具も揃っており、患者が作った作品は、同施設内のカフェにて販売を行っているほか、
子どもの施設のおもちゃとして寄贈、結婚式のカードとして外に販売もしている。
・ガーデニングの手入れをも行き届いていて、ところどころにはオブジェや柳のシェルターもあり、遊び心もある。
・畑は支援する人が提供してくださったもので、区画にどういったものを育てていくかの企画から患者とともに考えている。
・カフェは施設内にあり、施設内の関係者が利用している。提供時間はかかるが、有機野菜にこだわり、
患者自身がメニューを考え、他の店よりも3割程度価格は安い。しかし、地域の人たちが利用するには少し垣根がある。
・専従スタッフはボランティアとの調整・やり取りも上手にこなしていて、週3回のゆるやかなつながりから、
ボランティアのみのミーティング(活動の運営から振り返りまで)の実施、プロジェクトのすべてを自由に任せるなどの
自主性が高いところまで、ボランティアとしての関わり方はさまざまである。
また、ボランティアに参加してくれる方々は、活動に社会的意義を感じてくれている主婦の方や、
リタイヤされた方が多い。一方で、ボランティア活動に対して、社会的経験を積む場として社会的に認められていて、
ボランティアの証明書の発行なども行い、若者の就労支援や就職活動支援にもつながっている。