「私にも写せます、満天の星」 <円を描く星を撮りたくて>

(写真は長野県北アルプス燕岳の星空)—–>
2012年5月5日
「私にも写せます、満天の星」
<円を描く星を撮りたくて>

 太陽が月と重なって、リングのように見える金環日食。5月21日、関東地方や近畿地方南部など広い範囲で観測できる。金環日食が起きない地域でも、部分日食を楽しめる。金環日食が起きるのは、午前7時半前後のわずか数分間。太陽の高度は低く、地上から観察する時は、東の空が開けた場所がよい。

 ところで、昨年1月末、岡山県備前市の青少年教育センター・閑谷学校に宿泊した。深夜外に出てみると、真冬の夜空に星が輝いていた。満天の星、凍る夜気。久々に見る夜空の星に感激した。その星空を見たくて、今年の2月、再び同センターに宿泊した。午後10時過ぎ、外に出て空を見上げたが、あいにくの曇り空。願いは叶わなかった。

 さて、5月5日は子どもの日、そして立夏。爽やかな季節となった。そろそろ一、二枚重ね着をすれば夜中の数時間、何とか寒さは凌げるだろう。ならば、北極星を中心に円を描く星の写真を撮りたくなった。ところが、デジカメを触り始めてまだ半年余り。なにぶん夜空の星の撮り方がまったく分からない。

 はたと困っていたが、満天の星を撮るために夜空の暗い地方まで出かけなくても、明るい街中で星の写真が撮れると知った。短い露出時間でたくさんの写真を撮りためておき、撮影後にその多くの画像をパソコンで一枚の天体写真にまとめ上げる。そこで、ご参考までにと思い、街中で星を撮る手法を次に紹介させていただきたい。

(写真は千光寺の夜景・尾道市東土堂町)—–>
『<Do科学> 都会の夜空で星を撮ろう』
「デジカメ写真を合成」
2010年8月5日付け朝日新聞より引用

 熱い夏、青空が広がる季節になりました。夜に空を見上げれば、都会でも明るい星が二つ三つと見えます。満天の星を見るには、夜空の暗い地方まで出かけなければなりませんが、デジタルカメラとパソコンの進化で、明るい都会でも星の写真が撮れるようになってきました。この夏休み、明るい夜空での星の撮影に挑んでみませんか。(東山正宜)

◆「比較明」PCで編集
 北極星を中心にして、星が円を描くような天体写真はこれまで、暗い山の中などでないと撮れなかった。ゆっくりとした星の動きを捕らえるには、数十分から数時間という長い時間、カメラのシャッターを開けっ放しにしておかないとならないが、明るい都会でこの長時間露光をすると、画面が明るくなりすぎて、真っ白くなってしまうからだ。

 しかし近年、短い露出時間でたくさんの写真を撮りためておき、撮影後にその多くの画像をパソコンで重ね、一枚の天体写真にまとめ上げる手法が登場した。この方法によって明るい都会でも、星の写真が撮れるようになった。

 写真の合成には、画像処理ソフト「フォトショップ」などにもある手法の一つ「比較(ひかく)明(めい)」を使う。この方法は、画像を単純に重ねるのではない。1画素ごとにその明るさを、撮影したすべての画像にわたって比較する。そしてそれぞれの画素について、一番明るかった画素の光度だけを採用する。

 こうすると、動いていく星の光だけが暗い夜空に上書きされていき、一方で動かず明るさも変わらないビルの部分などの画像はそのままで、明るくなりすぎない。

 自動で処理してくれるソフトもある。代表例が、「LightenComposite(ライトンコンポジット)で、サイト(http://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se484827.html)から無料で手に入る(ウィンドウズ専用)。撮った画像が入っているフォルダを指定すれば、その中のすべての画像が自動で比較明合成され、星が夜空を動いていく写真ができあがる。

写真:宇宙ステーションから見た大阪湾—->
◆事前準備・練習が大事
 用意するのは、マニュアルで露出やピントを決められるデジカメと三脚。シャッターを押しっ放しにできるレリーズもあると便利だ。コンパクトデジカメでも撮れるが、一眼レフの方がやりやすい。レリーズを持っていない場合は、シャッターを消しゴムや輪ゴムで押さえるといった工夫で代用できる。

 三脚にカメラをしっかりと固定し、星や、遠くにある街灯などを目標にして、無限遠にピントを合わせる。オートフォーカス(AF)でピントを合わせてから、マニュアル(MF)に切り替えたり、液晶で画像を確認できるライブビューを使ったりするとピントを合わせやすい。

 露出は、絞りがF5.6、感度がISO400を基本にする。そして、その場所の明るさによって露出時間を決める。都会なら4〜20秒程度。また、シャッターは「連写モード」にしておく。

 構図を決めたら、いよいよ撮影開始だ。レリーズを押しっ放しにして、ひたすら撮り続ける。露出時間10秒で1時間撮ると、360枚の画像が撮影されているはずだ。(実際には、シャッターごとにタイムラグがあるため、多少少なくなる)。この間、三脚が動かないよう注意が必要だ。

 撮影が終わったら、次はパソコンの出番だ。画像をパソコンに移して、「LightenComposite」などで写真を合成する。パソコンの能力により、処理には数十分から数時間かかる。

 こうした固定撮影の場合、撮影を始めてから三脚が落ち着くまでの数分間はどうしてもカメラがずれてしまいがちだ。合成してみたら、星の軌跡の初めの部分がブレていたということは多い。そんな時は、初めの数十枚を取り除いて改めて合成するとよい。

 星が途切れ途切れになってしまうこともある。画面をシャープにするカメラ内の処理が原因だ。設定でこうした処理を無効にしたり(キヤノン製カメラなら、「ピクチャースタイル」でシャープネスをゼロに)、露出時間を8秒以下にしたりすると改善する。

 事前に星座の位置を確かめ、ビルなどがきれいに写る場所を探しておくと狙い通りの写真が撮りやすくなる。だが、夏でも夜は意外と冷えるし危険もあるので、大人の人と必ず一緒に行動しよう。星の写真は失敗がつきもの。まずは、自宅から撮って何度も練習してみよう。(了)