「柿衞文庫で講義と特別展の見学」


日時:午後1時〜4時
会場:柿衞文庫(伊丹市宮ノ前)
講師:辻村尚子(柿衞文庫学芸員)
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○前回の復習…芭蕉『奥の細道』を読む 第1回
芭蕉の生涯と旅
・寛永21年(1644):伊賀国(三重県)に生まれる
・寛文12年(1672):29歳 江戸に下る。
・貞享元年(1684):41歳 『野ざらし紀行」の旅に出る。
・貞享4年(1687):44歳 『笈の小文』の旅に出る。
・元禄元年(1688):45歳 『更科紀行』の旅に出る。
・元禄2年(1689):46歳 3月『奥の細道』の旅に出る。(〜9月)。
・元禄6年(1693):50歳 この頃、『奥の細道』を執筆したか。
・元禄7年(1694):51歳 大坂にて没。

『奥の細道』の構成意識(*右上の資料を参照)
(1)漂泊の思い
冒頭に、「月日は百代の過にして、行きかふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず。…(中略)…〈草の戸も 住替る代ぞ ひなの家〉」。
・芭蕉が尊敬した多くの歌人、西行・宗祇・杜甫・李白など、みな旅の途上で客死している。
(2)旅立ち
行く春や 鳥啼き魚の 目は泪
(44)大垣
蛤の ふたみに別れ 行く秋ぞ
・旅立ちの句、「行く春や…」が、遠く巻末の「…行秋ぞ」の句の伏線を為している構想の妙を忘れてはならない。

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芭蕉の『奥の細道』を読む 第2回
漂泊の思い〜草加
・三月もおしつまった27日、深川から船に乗り、『おくのほそ道』に出発した。隅田川を上ったら、千住という所で舟から上がると、同行してきた見送りの人たちと別れ、遠い異郷へ三千里もの長い旅に行くのだなという感慨が胸いっぱい広がる。
行く春や 鳥啼き魚の 目は涙」(芭蕉)
(句意)【春が過ぎ行こうとしていて、名残り惜しいことである。行く春との別れを惜しんで、鳥は悲しげに鳴き、魚の目は涙で曇っていることだ。)
・草加という宿に着きにけり…旅の第一夜は、やっと草加(埼玉県)という宿駅にたどり着いた。痩せて骨ばった私の肩にかかっている荷物に、何よりも最初に苦労した。

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柿衞文庫 特別展「芭蕉の手紙」の見学
・兵庫県伊丹市の博物館「柿衞文庫」で、開催中の特別展−芭蕉の手紙−を、講義の終了後、辻村先生の案内で見学。
・厳選した芭蕉の手紙を中心に、短冊や懐紙・画賛などの名品が紹介され、手紙から芭蕉のさまざまな表情や人間性が伝わってくる展示です。
・女性の弟子・智月に宛てた芭蕉の直筆手紙が、新発見され、女性が読みやすいように平仮名を多用するなど、女性宛の手紙の特徴が現れていた。
・芭蕉の手紙は厳選され約230通保有されているとのこと(芭蕉が早くから有名人で、手紙が大事に保有されていたと思われる)。