ストレスや疲労には食生活の見直しが有効? 「食」と「こころ」の関係

ストレスや疲労には食生活の見直しが有効? 「食」と「こころ」の関係

食習慣の改善でこころ元気に!

あなたの周りにはすぐキレる人はいませんか?

あるいはあなた自身、どうも最近イライラしやすいとかやる気が出ない、と思うことはありませんか?原因はその人の性格や、抱えているストレス、疲労などいろいろと考えられますが、実は「食べ物」が大きく関係しているかもしれません。

メンタル不調という言葉が身近になり、ストレス対処などメンタルケアの方法も少しずつ浸透してきました。よく休養をとる、うまく気分転換や発散をする、自分を癒すなど、意識して取り組む人が増えています。

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いずれも有効な方法ですが、意外に見落とされがちなのが「食生活の見直し」です。

こころは食べ物でできている?

私たちの“心”、すなわち“脳”は、胃腸や心臓のように身体の臓器のひとつです。一般成人の脳は、全体重の2%ほどの重さしかないのですが、全身で使うエネルギーの約20%を消費しているそうです。

脳細胞というのは、身体と同様に食べ物の影響を受けやすく、栄養バランスが悪いとこころの健康維持が難しくなります。脳の神経伝達物質の変化が、うつ病の原因のひとつであることは知られるようになりましたが、このような精神疾患を栄養療法で治療する方法があります。

では、どのような食生活を心掛けたらよいのでしょうか。

できるだけ添加物を避け、多くの食材をバランスよく食べることが第一ですが、ほかにも特に注意しておきたいポイントをご紹介します。

甘いものにご用心

疲れたとき、特に頭を使ったなというとき、甘いものが欲しくなる人が多いのではないでしょうか。確かに脳の主なエネルギー源は糖質=血液中のブドウ糖です。血糖値を一定に保つことが脳のエネルギーを維持することにつながります。

ところが、急激に血糖値が上昇すると血糖値を下げるインスリンが多量に分泌されます。すると急激な低血糖状態となり、今度は血糖値を上げるアドレナリン・ノルアドレナリンが分泌されるのです。

このアドレナリン等が分泌されるときは動悸やイライラを伴いやすく、このような血糖値のアップダウンが精神的な不安定を招きます。

血糖値の調節に障害が起きると、疲労感、脱力感、不安感、憂鬱気分などにつながることがあるので、甘いものの摂取の仕方には要注意が必要です。

特に、精製された糖質=白砂糖、白米などは吸収が早く急激に血糖値を上げます。

もしスイーツを食べたいときは、食後にとること。朝食に菓子パンを食べるなど、空腹時の糖質摂取は避けましょう。

たんぱく質をしっかり摂ろう

たんぱく質は身体をつくる主原料であると同時に、脳の神経伝達物質の合成にも欠かせない、重要な栄養素です。

また、血糖値の急激な上昇、下降を防ぎます。ダイエット中の人はたんぱく質というと植物性たんぱく質を摂取する傾向がありますが、吸収効率のよい動物性たんぱく質が不足しないように注意しましょう。

このほか、ビタミンやミネラルも脳にとって重要な栄養素です。ストレスにさらされるとたんぱく質やビタミンは大量に消費されますので、常に摂取を心掛けましょう。

「食べる」ことは単に栄養素を補給するだけではありません。人と語りあう、料理を通じて家族への愛情を表現する、感謝するなど、「食べる」ことは様々なかたちでこころの豊かさにつながります。

あまりの忙しさで、ついおろそかになってしまう食生活。ちょっと見直してみませんか?

参考文献:
・溝口 徹著『「脳の栄養不足」が老化を早める』青春出版社、2009年
・笠井奈津子著『〜子供の「できない」を「できる」に変える〜子育て食事セラピー』河出書房新社、2010年