認知症専門のデイサービスセンター訪問

去る6月17日、認知症専門のデイサービスに8回目の訪問に行った。
もうすっかりお顔なじみになっているので、皆さん笑顔で迎え入れてくださる。最初の時に強い情緒不安定で話しかけるなどとても出来なかった方が、今日は軽い症状のようにお見受けした。
しかしうろうろと動かれるので、ゲームに誘うのを控えて、他の方たち数人と一緒に、日付の確認を初めて実施した。1から10、数え歌と順番に進めた。
皆さん最初から一緒に歌を歌える方たちばかりだったので、グッパーも、でんでん虫も、ユックリと、超特急と言いながら少し早めたりして、速度変換を楽しみながら、お手玉回しまで進むことができた。
情緒不安定な方がゲームを尻目に、ぶつぶつ言いながら部屋を出たり入ったりされる内に、フト目が合って、お互い微笑の交換ができた。デイの他の利用者さんたちは、日常的にこの方の症状をよく知っておられるので、部外者の私が重点的に扱うと、部屋全体のムードに陰をさすことになる。だからあまり目立たぬようにと静かな声で「鞄の中にないのですかぁ」とか、「おうちに用事が一杯あるのですねぇ」とか心を籠めた共感を表しながら、「ここに如何ですか?」とイスを勧めるお誘いを、時間を空けて数回くり返して言ううちに、何か不機嫌な独白をぷりぷり言いながらも、イスに座られた。
「歌はうたわなくて良いので、手だけ一緒に、できたらお願いしますね」
と言って3拍子、4拍子のゲームをゆっくりめに進めていると、手を動かすようになられた。そのうちに、ユックリばかりであったがリズムに乗るように変化された。ああ矢張り、と私は波打つ気持ちを抑えて、今日のところはスピードアップを入れないまま、静かに二つ、三つとゲームを一緒にして終わった。
ここでのゲームは終始イスに掛けたままであるが、指や腕を動かし、同時に歌を歌うそれだけの運動量で、全身運動のように汗ばんでくるので、お顔色も良くなられ暑そうでもあったので、疲れられないようにと1時間そこそこで早めに切り上げた。
たまたまの成功だが、ゲームに誘うことができて、険しかった表情がやわらかな笑顔に変わられる時間をもてるのは、私自身の元氣の源である。
有り難い経験を積ませていただいている。