年の瀬(平成21年12月30日)

ありもと@孟子です。。 みなさんこんばんは。。。

あっという間に年の瀬です。
今年はわんぱく公園園長就任というありもとにとって大
いなるトピックスがあり、1日の時間が3分の1くらいに
なったような気がする一年でした。

孟子にも今日で、74度目の訪問です。
今までは年間80日を越えていたのですが、月曜しか休
めない上に、その月曜も確実に孟子に来れるわけでも
ないので、訪問日数が減少するのは致し方ないのかも
しれません。

生暖かい冬の始まりも、年の瀬を迎えて、ようやくピーン
と凍りつくような「冬」になったようです。

入っては抜け、抜けては入りという、不安定な冬鳥たち
も、ようやく安定してきているように感じます。

炭がま南谷のタマミズキが、真っ赤に色づいています。
昨年は実の数がイマイチでしたが、今年はびっしりと実っ
ています。
今日はまだ、ヒヨドリの群れはついていませんでしたが、
そろそろ鳥たちの胃袋の収まる日を待ちはじめました。

上空をアオバトの群れが飛んでいます。
彼等も、もうすぐ、ヒヨドリと競い合うようにタマミズキに
集まり始めます。

いつものように、きみひろ池に、1羽のトラツグミがついて
います。
池畔のコナラの落ち葉をひっくり返しては、その下の小動
物を捕食しています。
ここは見通しが良いので、時折ハイタカやオオタカに襲わ
れるらしく、1羽分の羽毛が散っていることがあるのですが、
「懲りる」ことなくここにつくのは、きみひろ池周辺が彼(彼女
?)にとって、絶好の餌環境なのでしょう。

天堤池の警戒心の強いカイツブリが、ありもとの気配に早々
に潜水します。

池面を、翡翠色の矢のように、カワセミが飛んで行きます。

池畔のハゼノキで、2羽のルリビタキがバトルを繰り広げてい
ます。
羽衣のオリーヴ褐色の混じる若い♂と、成鳥の♂です。
面白いので、しばらく観察してみます。

ヒッ、ヒッ、グググッ
お互いのそう鳴きかわしながら、おたがいをけん制しあい、
いっぱいの果実を付けたハゼノキをはさんで、対峙していま
す。
渡来当初のように囀り合うこともせず、終始地鳴きでけん制
しあっています。
囀りをしているころは、すぐに空中でもつれあったり、取っ組
み合いに発展したりしていましたが、今日はお互い追いかけ
っこをするのみで、激しい戦闘には発展しません。
冬が深まると、落ち着くためか、それとも無駄なエネルギー
を使わないようにするためか、あまりはげしい動きは避ける
ようです。

天堤池の堤を下り、山案山子に向かいます。

パチ パチパチッ
上空から、果実を割る音がしてきます。
見上げるとシンジュの実をシメが食べています。

シメやイカルの実の食べ方は、他の小鳥とは違うので、野鳥
の「食」をライフワークの一つにしているありもとにとっては、
とても興味深いものです。
立ち止まって双眼鏡で観察します。

シンジュの実は、笹舟のような翼のまん中に、まん丸い種子
が埋まっています。
この翼を使って風に乗り、時として「笹舟」よろしく水面にただ
よい、種子が飛散してゆくのです。
昭和10年代に戦争に使う落下傘の材料にシンジュサンを飼
育するための飼料として、北野上周辺にたくさん植えられた
この樹は、貴志川を介して、どんどん広まった経緯がありま
す。

シメなその太い嘴を利して、翼をもぎ取り、種子だけにしたあ
と、「パチッ」と万力のように嘴で種子を割り、中にあるいわゆ
る「仏様」を食べていました。

ピッポ、ピッポピッポ・・・

ウツギの藪からベニマシコの声が響いてきます。
声のするほうに双眼鏡を向けると、視野の中に数羽の群れが
映し出されます。

殆どは若い個体か♀ですが、1羽だけ鮮やかなイチゴ色の♂
成鳥が混じっています。
今日のような寒い日に、出会うと格別な、雑木林の「サンタクロ
ース」です。

クロオビフユエダシャクの♂が飛んでいます。
コナラを食餌植物とするシャクガの仲間で、成虫の活動期は
冬です。
キチョウやクロコノマチョウのような、越冬するチョウの姿の見
えない寒い日にも、このガだけは元気に飛び回っているのです。
地味な存在ですが、冬の雑木林にはなくてはならぬ「バイプレー
ヤー」です。

今年、紀の国森づくり基金を活用してトレイル整備している炭が
まの南の谷には、大きなエノキの樹が数本あります。
今日と明日で、このエノキの樹下の越冬幼虫の調査をやってし
まおうとしています。
明日は山鷲君が「加勢」してくれる予定なので、今日は一番谷底
の、2本の樹のみ調査します。

根元に溜まった落ち葉を裏返すと、「ナメクジ型幼虫」が次々と姿
を表します。
15頭確認しましたがすべてゴマダラチョウでした。
孟子には非常に少ないものの、時折オオムラサキが出るのです
が、この2本のエノキには、残念ながらオオムラサキの姿はあり
ませんでした。

エノキの樹下には、この時期、必ずといってよいほど、綺麗なツ
ノカメムシを見かけます。
背中のまん中に、黄色いハート型の模様を背負った、エサキモ
ンキツノカメムシです。
ツノカメムシの仲間のメスは、自分で産卵した卵を、幼虫が孵る
まで警護する習性があり、ありもとも何度か卵を警護するお母さ
んに山の中で出会ったことがあります。

それが冬になると、エノキの樹下で、葉の裏に隠れて、冬眠する
のです。
活動中はオナラをして臭い虫ですが、越冬中はまずオナラをする
こともないので、快適に観察することができます。

オオムラサキは出ず残念でしたが、15頭のゴマダラチョウと、エ
サキモンキツノカメムシに出会え、なかなか収穫多い越冬調査で
した。

炭がまのそばの満開のヤブツバキが今、ムササビたちの夜の食
糧のようです。
花芯を齧って、花びらだけを地面に落とす、ムササビ独特の食痕
が、そこここに散っています。
冬に咲く花は、動物たちにとって、数少ない貴重な、糖分補給源な
のです。

時計に目を落とすと12時を回っています。

そろそろわんぱく公園に向かいます。
公園には、カワムツ、オイカワ、アブラボテ等の淡水魚や、2頭の子
ねこを飼育しているので、正月休みも毎日1度は顔を出すことにし
ています。
それと、大池のカモ類の個体数調査も、行おうと思っています。

4月からずっと、出勤日は毎朝6:30に行って鳥のセンサスをしてい
ますが、カモの個体数をゆっくりカウントする時間がなかなかとれない
ので、せめて正月休みの間だけでもきちんと個体数をカウントしてお
こうと思っています。

今日は午後から理事長がネコの餌をやってくれていたので、カモの
調査に専念できます。

大池の最も多いのはマガモです。
今日は150羽カウントしました。

キンクロハジロ(73)、ホシハジロ(28)も多く、2種類あわせて100
羽を越しています。

コガモも92羽で多いです。

ハシビロガモ(6)、カルガモ(8)、ヒドリガモ(2)は常連ですが数は少
ないです。

オシドリも2羽います。
♂1♀1です。
水際を歩きながら、ドングリを食べています。
ドングリの種類は遠くて識別できませんが、背後はオレンジに紅葉
したコナラ林なので、おそらくコナラのドングリでしょう。
カモの仲間なのに殆ど水に降りず、餌の地上でドングリをついばむ・・・
本当に風変わりなカモです。
和歌山では高野山でのみ繁殖が確認されていますが、きちんと調査
すれば、そこここで繁殖しているのかもしれません。
だからといってそれほど多い鳥でもなく、ぶな科植物により構成される
森林と沢目がないと生活できない特殊なカモなので、天然記念物に指
定しようという動きもあるようですが、十分その価値のあるカモだと思
います。
大池では今年、最大18羽確認しているので、大池の環境とともに、保
護してゆきたい鳥の一種でもあります。

それと今日は1種種類が増えました。
カワアイサ(1)です。
それも綺麗な、♂生殖羽です。
河川中流域に冬鳥として渡来する大型の潜水ガモの一種で、和歌山で
は紀の川中流域に定期的に渡来するほかは渡来数はごく少ない種類で
す。
年の瀬を迎えてわんぱく公園野鳥リストが106種になりました。

結局カモ類は9種362羽カウントできました。
少ないながらオシドリが安定して記録されている上に350羽超の個体数
は、大池の貴重さを表しています。

来年はわんぱく公園のメニューに「野鳥観察会」も加えつつ、大池のカモ
の重要性を市民に啓蒙してゆければと思います。

年末年始はこのパターンで動くことがもっぱらになりそうです。

孟子に冬の小鳥と、わんぱく公園大池のカモ・・・
ゆっくりと、しっかりと、見つめて行きます。
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<孟子鳥類>
カイツブリ、キジバト、アオバト、カワセミ、コゲラ、アカゲラ、ヒヨドリ、モズ
ルリビタキ、トラツグミ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、エナガ、ヤマガラ
シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、クロジ、イカル、シメ
カワラヒワ、ベニマシコ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス
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<わんぱく公園鳥類>
カワウ 191
オシドリ 2
マガモ 150
コガモ 92
カルガモ 8
ヒドリガモ 2
ハシビロガモ 6
カワアイサ 1
ホシハジロ 28
キンクロハジロ 73
カイツブリ、アオサギ、ミサゴ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、ヒヨドリ
モズ、ルリビタキ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、エナガ、ヤマガラ、シジュ
ウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、イカル、ハシボソガラス
ハシブトガラス
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