生きていさえすれば・・・

日 時 2019年11月14日(木)14時〜15時30分
 太宰治の遺作「グッド・バイ」の解説を聴いてきました。
 彼は1909年に青森県の比較的裕福な家庭に生まれ、
東大入学を期に上京して作家になった人です。
 この「グッド・バイ」という作品は彼の遺作であると同時に
未完の作品でもあります。
 すなわち、1948年3月に朝日新聞から連載の依頼が
あり、5月から全80回の予定で書きはじめましたが、6月
に自殺をして未完に終わったものです。
 小説の「内容」は、妻子を実家に預けて東京で単身暮らしている田島周二(雑誌の編集者だが、闇商売で儲けていて愛人が10人いる)は、そろそろ妻子を東京に呼び寄せようと思い、愛人とグッド・バイしようとするもので、闇市で知り合った美人の永井キヌ子を妻と偽って一人ひとり愛人宅を訪問する話しです。
 一人目は戦争未亡人で美容師の青木さんで、「女房をこのとおり呼び寄せたので」と言ってすんなりグッド・バイに成功し、二人目の水原ケイ子(洋画家)を訪問するも、ここでの難点は戦争帰りの兄でした。
 ・・・で、作品はここで途切れます。(自殺したため)
 彼は病気(結核)の自分を支えてくれた山崎富栄と玉川で入水自殺をし、その理由は「書けなくなった」とされていますが、彼の遺体の検視からあまり水を飲んでおらず、自殺前にすでに仮死状態だったのではとの憶測もあって、ある研究者は事故だったとの考えを述べているそうです。さて真実は・・・???