女性美の発見・谷崎文学

日 時 平成29年5月18日(木)10時〜11時30分
 阪神間ゆかりの作家たちの中から谷崎潤一郎の解説でした。
 谷崎は37才のときに関東大震災にあって関西に移住し、
そのまま関西各地に住んだ作家です。
 彼の代表作のほとんどが関西で書かれ、テーマは女性です。
 彼は3度結婚しており第一夫人は千代、第二夫人は丁未子
そして第三夫人が生涯を共にすることになる松子です。
 松子は元々船場商家の跡取り息子の嫁で、すでに子供も
いたのですが、谷崎が41歳、松子が24才の時に出会い、愛をはぐくんでいったのだとか。
 最初の妻・千代は佐藤春夫とのスキャンダル(妻譲渡事件)が発生し、2番目の妻・丁未子も役不足ということもあって、松子とは出会って8年後に正式に結婚します。
 代表作の「細雪」は、この松子とその姉妹の日常をもとに書かれた作品で、船場の旧家の美しい姉妹の話しで、未婚の三女・雪子の結婚話を軸に展開するものです。
 時期は戦争前夜ながら、古き良き上方の美意識を地でいくはなやかな生活を描いており、二女・幸子のモデルが松子であると言われています。
 谷崎は転宅魔で、79年の生涯で実に42回も転居しており、〜37才までを関東時代、〜57才までを関西時代、〜65才までを京都時代、〜79才までを熱海時代と分けられますが、「痴人の愛」や「春琴抄」等の名作は関西時代に書かれています。