今月のレポート 「モンゴルスタディツアーレポート」

「モンゴルスタディツアーレポート」 引地 直哉

 10月11日から17日まで当会事務局長である市川さんのお仕事も少し垣間見ながらの一週間モンゴルに行ってまいりました。モンゴルに行った理由としては現在市川さんを中心に計画中の「ものづくり」のプロジェクトの視察ということであったが、それ以外にも様々な場所をまわったのでそれらを交えながらいくつかご紹介いたします。

 まず、今回特に印象に残ったのは城所特命全権大使とお会いできたことだ。城所大使は休日でもテニスやバレーボールなど運動をするのがお好きとのことで、最新の情報をつかむために日々勉強も怠らないという非常にアクティブな方でお話に引き込まれていたことを今でも覚えている。また城所大使には私たち学生が持つべき意識についていくつかご指導いただいた。
 ・自分の好きな分野で抜群の一番になること
 ・イエスマンになるな、ただし上司とはケンカするな。
 ・人より多く持つべきものは情報である

 今まで会ってきた人の中でとても特質的で刺激的なものになった。自分たちが今回聞いたことを生かしてすべての物事に真剣に手をぬかず、実力、経験を身につけていきたいと思う。これから社会人になるのにこれら三つは自分達がステップアップするのに手伝いをしてくれるし、守っていればどんな状況でさえも乗り切れる可能性があると感じた。
 次に、学校を見に行った。モンゴルの学校は6才から18才、つまり日本で言うと小学生から高校生までが一緒の校舎で勉強している。そんな中、今回は公立学校と日本の資金によって建てられた「新モンゴル高等学校」という私立学校の2校を見に行った。 2校を見ただけで結論付けられないが、公立と私立の差が気になった。もちろん私立学校の方が校舎がよりきれいで、設備も整っているのだがそうした違いが進学先にまで影響を与えるとうことを改めて考えさせられた。やはり公立学校が私立に近づくためには設備投資が重要なのだろうか。そう考えると日本の設備レベルは相当高いものだろう。「新モンゴル高等学校」の生徒は毎年、日本やアメリカの大学に留学生を送り出しているそうだ。「ものづくり」の案件の対象はまずは“日本の資金で作った学校”であるがこの案件により想像力豊かな人々が増え、そうした人々が国を引っ張るようになればモンゴルは今よりも豊かな国になるだろう。

ゲル地区について
 ゲルは円形で、中心の柱(2本)によって支えられた骨組みをもち、屋根部分には中心から放射状に梁が渡される。これに羊の毛でつくったフェルトをかぶせ、屋根・壁に相当する覆いとする。壁の外周部分の骨格は木組みで、菱格子に組んであり接合部はピン構造になっているので蛇腹式に折り畳むことができる。木組みの軸にあたる部分にはラクダの腱が使われる。寒さが厳しいときは、フェルトを二重張りにしたり、オオカミなどの毛皮を張り巡らしたりして防寒とする。30分で解体できるあたり遊牧民ならではである。冷蔵庫、テレビ、タンスなどなど生活に必要なものはそろっていて電力はソーラーパネルやガソリン燃料でまかなう。ゲル自体は新品で5〜10万円であるがモンゴルで働く人の月収からするとかなり厳しいものである。ちなみに中古品もあって新品よりかは安く買うことができる。
 ゲルの扉は例外なく南を向いている。これは中国からの侵略をいちはやく察知するためで古来よりゲルを建てる際はドアを南向きにする。海がないモンゴルにとってやはり敏感にならざるを得ないのかと感じた。
 今日、モンゴルでアパートやマンションが暮らすものがいるなか比較的裕福な家庭でも住まわれている。

 初めての見たものや文化や考え方に驚きながらもその独特の文化と合理性に納得する。
 遊牧民の名残なのか我慢弱く、短期決戦の性格が多い。日本人とは反対の性格のように感じた。
 新空港予定地にも足を運んだ。現在の空港では風向きの影響から着陸する方向が大幅に限られているため、便数が一向に増えない。そこで新空港を建設することによってアクセスを良くするということだ。実際に向かってみると何も手を加えていない草原だった。まさに1からの出発だった。2015年に竣工するということであるが完成すればさらなる利用客を望める。
 冬には−30℃以下にまでになるというモンゴル、環境は厳しいが資源、人間性などまだまだ発展する要素が多分にあると感じた。日本とモンゴルはお互いに利益になりうる案件があるだろう。
 今回のスタディーツアーを通じて得たものの一つに人とのつながりがある。そのつながりを大切にし、これから行われるものづくりの案件に活かしていきたいと思う。

【画像1】
ゲルの内部:意外と物が溢れています 。

【画像2】
ゲルの外側:大きさは様々

【画像3】
新モンゴル高校:日本の学校!?

理科準備室:簡単な道具しかない