地域で起業家の裾野は如何に拡がるか・・・

本日は,「宝塚市協働のまちづくり公募補助金」の公開プレゼン日でした.

ご縁あって制度創設時からの委員でして.

毎年,この公開プレゼンが終わると,こう,あらためてSDFのポジショニングを考えさせられます.

昨年くらいからかな・・・,違和感を感じるようになったのは...

経産省の仕事で全国の中間支援NPO的ポジションの人と話す機会も増えたし,
TVなどで社会起業家が特集されることも増え,
関西圏の中間支援NPO系の経営難の話も増え,
関西学院大学の社会起業学科の学生たちが出たビジネスプランコンテストの話とか,
同1期生が3回生になって進路という現実が見えてきて,
もちろん,宝塚市の総合計画委員や協働のまちづくり公募補助金の委員を通じて,

そう,違和感があります.

『地域で起業家の裾野は如何に拡がるか・・・』
今さらながらに(%痛い男%)

これは,NPOって存在が,日本の社会では根付かないんじゃないか,って感覚に近く.

僕自身がNPOを経営し,運&縁よく10年くらい仕事とできていて,まあ,これからもそれなりの見通しが立ちつつあり.
2010年度もいくつか新規事業を立ち上げられそうだし.
と,必然的に,”NPOの起業とか経営に必要なこと”って整理されるし,自分なりにかみくだいて理解できるようになりますよね.

5年前は頭の中でのイメージ中心だった事業が,5年間で現実の中身が詰まってきて,いまだと,現実の中身から現状や今後の展望が描けるようになる,という感じで.

どうも今の日本における,NPOや社会起業家の起業支援系サービスって,「頭の中のイメージを如何に整理するか」の方へ傾いていっている気がして.

学生や20代の起業希望者と話をすると,年々,この傾向が顕著になっていっているのではないかと.

さらに,ビジネスって言葉が,すごい狭い意味で先走ってしまっていて,とにかく採算とか損益分岐点が強調されるようになっている気がして.

社会的課題解決の大義の旗が,簡単に損益分岐点の風に折られる.
これは笑えない(%痛い男%)
さらに笑えないのは,言っている本人が真顔で本気なので・・・笑えない(%ショボ男%)

損益分岐点を計算できる社会的課題解決サービスって・・・
それは,単なるニッチ市場で,極めてプライベートな課題に近くなってしまうわけで.
特に日本はNPOを支える社会基盤が弱いので,必然的に損益分岐点が上がっていくわけです.
つまり,顧客が支払う対価をより多くの求めざるを得ない.
つまり,お金を払える人しかサービスが手に入らない.

と,ホームレス問題はもっと深刻化&若年化するし,親・家族の所得水準と子供の学力格差はもっと比例関係が顕著になるだろうし,1人で亡くなり白骨化して発見される人ももっと増える.

先進国共通の対応策は,NPOや社会起業家の裾野を拡げる,ということのはずが・・・
単純に他に選択肢がない.特に日本は選択肢がない.

NPOや社会起業を希望する人たちが,初期の段階で視野の狭いビジネスプランとか損益分岐点の話を身につけてしまうと・・・
頭の中のイメージに中身を詰めることはできなくなる.

と,ごく一部のビジネスと社会的課題のバランス感覚に優れた起業家しか,次のステップに進むことができない(これはこれで正しい論理だと思うけど(%ニヤ男%)).
しかも・・・狭いビジネスの論理に傾く可能性が大きい.
仮に,上手くバランス感覚を維持できたとしても,サービス供給量の絶対量が足りない.

というこは・・・裾野は拡がらないし,社会的課題を抱え放置される人は減らない.

裾野が拡がらないということは,県・市レベルの協働系補助金に申請する人が減っていく.
最近は,2次募集がかかる補助金も増えてきたし...
5年前だと,ありえなかった状況.

現状維持と普通に話すNPO経営者も増えた感じ.
世界のトヨタでさえ改善&新規開発を精一杯続けても,次の電気自動車市場でアブナイ感じなのに・・・

なぜNPOだと現状維持できるのか?? 
現状維持できるわけがない(%笑う男%)

当面は・・・
上手くバランス感覚を維持できている人たちと連携を強化していく」っていうのが,SDF的優先順位が高そうです.

で,その連携基盤を活用して,並行して,裾野を拡げていけそうな社会的事業の起業希望者をパートナー的にサポートしていく.