目白台の月の湯はすごくて、やさしくて、楽しくて

今回は目白台の月の湯さんの記事だけで街のお話はありません。それくらい月の湯はお話したいことがいっぱい。

文京区目白台はかつて明治の元勲のお屋敷があったりして、高級住宅街に属するエリアかと思いますが、月の湯、豊川浴泉と、伝統の和風銭湯が2軒あります。月の湯は以前一時営業をやめたこともあったようで、現在は週3日の営業で再開されています。最寄りは都電鬼子母神前か副都心線の雑司ヶ谷、目白駅からはちょっと歩きます。成瀬記念講堂の素敵な建物を塀の向こうに見ながら日本女子大の前を通りすぎ、月の湯へ曲がる道は、和敬塾の門の前が目印です。有楽町線の護国寺が近そうですがそっちはすごい上り坂。

月の湯は昭和8年建築という立派な木造建築、戦前の銭湯建築は貴重な存在です。よく見かける破風が漆喰の和風銭湯は戦後の建築で、月の湯のように大屋根の破風が木を格子に組んだものとなっているのが古い構造ということです。
傘入れは他でもたまに見ますが、水平に差し込むタイプで、緩くカーブした優雅なもの。
入口が引き戸ではなく、開き戸なのは、初めてです。戸の上の、男、女と書かれた磨りガラスにきれいな縦横の模様があります。ついでに脱衣場と浴室の境も開き戸です。

脱衣場は脱衣箱ではなく、脱衣籠を使います。脱衣箱もあるのですが、普通の鍵穴のあるもので使っていないようです。天井は格天井ですが、隅の部分がよく見かけるのと異なっています。浴室は音止めの滝、早川師の富士山のペンキ絵、浴槽との間は鯉のタイル画、こちらも定番九谷鈴栄堂です。

おしゃべりを楽しみに来られる常連の方だけでなく、毎回意外に子供連れの家族が多いです。その秘密はお店の方が家族のように子供に接しておられて、よちよち歩きの子も安心して連れて来られることでしょうか。番台に登る練習をしたり、子供同士顔見知りで○○ちゃんに会えるのを楽しみにしていたり。お湯の温度は小さな子供さんにはちょっと熱いかも。
お店の方はとても親切で、寒い時期に外で写真を撮っていると、開店時間に暖簾を掛けに出てこられて、寒いのでどうぞ入っていってくださいといわれて感激したこともあります。木張りの床は冷たいのでホットカーペットが敷いてあったのも気遣いです。

東日本大震災で煙突が折れて休業を余儀なくされた山の湯の記事が張ってありました。月の湯さんも足場を組んで補修中に見うけられ、ひょっとして地震で被害を受けられたのかしら。
月の湯 文京区目白台3−15−7 17:00〜22:00(日曜は16時〜23時) 月、水、金、土曜はお休み 副都心線雑司が谷、荒川線鬼子母神から10分