もとまちアート・シンポジウム(2)

(1)よりつづく

金藤:
ありがとうございました。今回、展示会場はこちらの建物(※「くるくるアートセンター」 と呼ばれる旧徳陽シティ銀行)とストリートということで、ふたつに分かれているのですが、美術館に行ってアートを楽しむ、というのはわかりやすいですが、今日、本町に来て、どこから見たらいいんだろうかと思っている方もいらっしゃるかもしれないんですけど、そのあたり、どのように鑑賞すればよろしいのでしょうか。

門脇:
今回のコンセプトは、みなさんにお配りしておりますマップ、チラシにも書いてありますが、「街にはすでにアートがあふれている」。
今回、現代アートという分野のアーティストを何人か連れて下見を行ったのですが、各人各様に「ここはおもしろい」とか「自分のアートではとても太刀打ちできない」というような感想をもらしていました。これはアート作品で街を埋め尽くしてしまうよりも、アート作品をポツリポツリと置くことで、街そのものを見せた方がずっとおもしろいんじゃないかと、そんな風に思いました。
そこで今回は街の中出自分なりの「アート」をさがしてもらうという見方。ただそれだけですと、どうしてもアートを期待して来た方をがっかりさせてしまうかもしれないと思いましたので、「美術計画」のみなさんのお力をお借りして、この旧徳陽シティ銀行——「くるくるアートセンター」という新しい名前をいただきました——ここで、「美術計画」さんたち30人をこえるみなさんの意欲作を見られる。
街から現代アートまで、すべて見られる。こういう企画になっております。

金藤:
今度は街のみなさんにおうかがいしたいのですが、現代アートだとか、この街にどんなものがやって来るんだろうと不安もあったのではと思うのですが、そのあたり、率直に感想をいただけますか。

伊勢:
はじめに芸術ということを聞いた時には、美術館とかの立派な額に入っている絵であったり、そういったものが浮かんだんですけども、いろいろな話の中で聞いたり見たりしているうちに、今回やって来た芸術は、そういったものとは絶対に違うものなんだなぁと。でも参加して誰でも気軽に楽しめそうな、この建物(「くるくるアートセンター」)や街中にも、無造作にポンポンと置いてあったり、何かおもしろいことになっていくのかなと思っています。

高梨:
アートという言葉から受けるイメージというのは、完成されたもの、というものですね。しかし身近なもので、自分の心にあったもの、これから癒しというものを重視した時代をすごしていくために、今回のようなものも必要なんだなぁというようなことを、自分の中で感じました。

只野:
ぼくはですね、話を聞いたときもよくわからなかったし、今もよくわかんないですね。ですから、ぼくにとってアートは「えーと」みたいな。「アート」じゃないくて「エート」。門脇さんに、「ただのさんのところもアートですよ」と言われたんですけれども、よくわかんないですね。
よくわかんないまま40日間、過ごしていって、最後に41日目に、「あ、ぼくもアートだったのかな」と思えればいいのかなと。41日間、精進して、アートの仲間入りしようと。
今はわかりません。

金藤:
ありがとうございました。みなさんそれぞれ、よくわからなかったというお話ですとか、美術館で見るようなアートだと思っていたけれども、実際、街にやって来たアートは自分たちにとって身近なものだったというようなお話だったのではないかと思うのですが、会場の他の方にもお聞きしたいと思います。
今回、本町にアートが来るということで、何か不安に思っていたことなどありますか。

阿部平太郎:
非常によかったなと思います。

金藤:
だいたいここに来た時、(作家の)みなさんは塩竈出身なんですかというような質問を受けたのですが、塩竈出身ということではなく、それどころかほとんど塩竈からすればよそ者の方達が来て盛り上げていく感があるんですが、公共の公園とか、広場とかしか使わせてもらえないのかなと思っていたのですが、そうではなくて、商店街の中にどんどんアートが入り込むことができたというのが、逆にこの街のふところの深さに驚きました。このあたり、門脇さん、去年から塩竈に入り込んでいらっしゃったんですよね。

門脇:
去年の12月に「大漁旗ツリー・プロジェクト」ということで、みなさんが座っているこの「くるくる広場」に、大漁旗を使った18メートルのツリー状のアート作品をつくり、その内側にイルミネーションを光らせる——イルミネーションは本町通りまちづくり研究会の方がたが、以前から取り組まれていたものなのですが——といったことを昨年、まず手始めにというか、やりました。
どうしても街の中でアートをやっていると、公園ひとつ使う場合にも、個人の力でどうにかなるものでは全くなく、人と人とがひとつの目的をもって、同じ方向に向かないと動きになっていかないし、どんな素晴らしいものを作ったとしても、それをいいと思う人がいなければ——いいものに結果的には「なる」んでしょうけど——実際に活きている人の幸せにはなっていかない。そういう意味で「大漁旗ツリー」ということで、「まち研」のみなさんに「なかなかおもしろいんじゃないか」と言ってもらい、そうした積み重ねの上に今回のアート・ウォークもあるのなかと思います。
突然人の家に上がり込むようなことは、アートに限らず失礼なことで、信頼関係というのが、今回の企画を始める上でも、非常に重要でした。

(つづく)