夏休みを前に子どもの自殺について

いじめや人間関係、家族、進路などの悩みで子どもが自殺するニュースが
繰り返されています。

当会は数十年前にいじめられた子どもたちの自殺が全国で多発したことに
衝撃を受け、一人の母親として何かできないかと考えて団体を発足しました。
あれから20年経ちましたが、残念ながら相変わらず子どもの自殺が続いています。

自殺の原因は1つだけとは限りません。
日頃から悩みや孤立感を抱えた上で何かのきっかけが引き金になったり
うつ状態になって冷静な判断ができなくなったり、一人ひとり事情は違うはずです。
だから遺書にはっきり表現できるほど単純ではないと思います。

中高生は思春期真っ只中で、人生で最も困難な時期だといわれています。
まだまだ人生経験も少なく、自分自身も人間のことも世の中のことも分からないこと
だらけです。
自分一人で生き抜く力もないのに、つらいことを相談できる大人がいなかったら
どこまでも追い詰められたり、深みにはまってしまっても不思議はありません。

ただ、ほとんどの人が一生に何度か死にたいと思ったり、うつ状態になったりする
そうです。
それでもほとんどの人がそれらの危機を乗り越えたり、何とかやり過ごしたりして
生きているのが現実の世の中です。

そしてその人たちの中には、後になって「あの時死ななくて良かった!」とか、
「なんであんなに悩んだんだろう?」などと言っている人もいます。

つまりその時は、「もうどうにもならない」と思い込んだけど、意外とどうにかなって
いる人が少なくないとも言えます。

「親からもらったら命だから大事にしなくちゃいけない」とか「命の大切さ」とか
建前で考えなくてもいい、
もし親や友達に大事にされたことがなかったら説得力ないと思います。

でも、何年後に自分がどうなっているのかなんて自分にも誰にも分らないから、
今の時点で人生に結論出さなくてもいいんじゃないかな?

私たち大人だって、子どものときに今の自分を全然想像できなかったし、
これから先だって想像できないんだから、お互いにとりあえず生きていよう。
死んだらそこで人生終わりだけど、生きていれば人生はまだまだ続き、やり直しも
できる。

つらさや苦しさからいろんな方法を使って逃げたり、ごまかしたりしてもいいから、
自分で死ぬのだけはやめよう。
苦しんだ人はどんな小さな幸せでも敏感に感じることができるかもしれない。

生きていても嫌なことばかり、この先もいいことなんかない
ニュースを見ても世の中嫌なことばかり!嫌な人間ばかり!と思うかもしれない。
でも時々だけどいいニュースもあります。

例えば、昨日のネットの情報では
マレーシアの20歳、エヴィータ・デルマンドさんの顔や身体には、生まれつき、
大小のホクロがたくさんある。
手術でとることも考えたけど多すぎて健康にリスクがあると言われあきらめたそうです。

容貌のせいでいじめに遭うなど辛い過去もある彼女が、6月17日、Instagram上で、
ミスユニバースのマレーシア代表選考への挑戦を発表した。
「私の個性と、新しく発見した自信を見せたい」と話し、多くの人々に勇気を与えて
いるそうです。

彼女をいじめたのも友だちだけど、仲良く接してくれて自信を持たせてくれたのも
友だちだそうです。

「私はただ、ジロジロ見たり余計なことを言ってくる人を無視して、自分らしく生きて
いるだけ。別に、私は後ろ向きな考えと必ずしも闘うべきではないと思う。
そんな人たちは気にするに値しないのです。」

私たちはこんな強い人のまねなんかできないけど、でも素直に感動することはできる。

また、今日の新聞のニュースではアメリカのフロリダビーチで家族9人が沖に
流されたら、近くにいた海水浴客80人が浅瀬から沖合に向けて手をつないで
100メートルの人間の鎖を作って1時間かけて救助したそうです。
訓練された専門家でもヒーローでもない普通の人たちがとっさにこんな素晴らしい
ことができるんだということを教えてくれました。

嫌なニュースばかりだけど、中にはこんな風に読んだ人を幸せにしたり、
人間を好きになるようないいニュースを見つけることもできます。生きていれば。