ダンスの時間 Summer Festival

この夏3つのフェスティバルに出演するというありがたい機会を得た。

7月6日「第29回現代舞踊フェスティバル」(新国立劇場 中劇場)〜地域文化の華、一同に競う〜全国から舞踊家が集い「現代へのメッセージ」という1つのテーマで発信するというものと、8月10日「ダンスの時間 Summer Festival」(LOXODONTA BLACK 大阪・阿倍野)と8月24日「四国洋舞合同公演 ブルーフェスティバル2008 in 愛媛」(愛媛県民文化会館 メインホール)の3つだ。

東京・大阪・松山と場所も規模も違い、それぞれに思い出深い貴重な経験だったが、特に「ダンスの時間 Summer Festival」は印象に残るものであった。

「ダンスの時間」は批評家の上念省三氏、ダンサーのサイトウマコト氏、演劇人の中立公平氏という異なるバックグラウンドを持った3人のプロデュースによるもので、2002年9月の第1回公演から今回で20回目となる。私は2年前に「ダンスの時間11」に出演させていただいた縁で今回の出演となった。

今年の「ダンスの時間 Summer Festival」は8日間・17公演・30組というビッグなイベントになったが、一時は大阪府の「財政非常事態宣言」のあおりで昨年もらっていた助成金が白紙になるなど危機的状況もあったようだ。しかし関西を中心とする一線のダンサー達が集結し、実りのある企画となった。

8月8日夜リハーサルのためLOXODNTA BLACKに入る。
大阪・阿倍野の商店街をちょっとはいったところにその小さな劇場はある。
観客は60名もはいったら満杯。床も壁もBLACKで暗転になれば本当に何も見えなくなる。
その小さな劇場は小さいことが決して悪いことではないと教えてくれる。アイディア次第で作品のイメージを自由に追及できる。それにはしっかりサポートしてくれるスタッフが必要だが、担当は伏屋さん。2年前にもお世話になってとても信頼がおける。とにかく出演者の多様な注文を叶えようとしてくれる。仕事が出来る。
映像、音響、照明をチェックをする。チェックをしているとプロデュースの上念さん登場。作品を観てもらう。久しぶりにお会いしたので、関西のダンス事情など聞いてみる。
財政難のあおりで大変なこと(ダンスの拠点の1つだったフェスティバルゲートの閉鎖など)もあったようだが、それでもぼつぼつ若い表現者のグループも生まれているようだ。結局急にダンスを取り巻く状況が好転するとは思えないが、こつこつ小さなことでも続けていくしかないとおっしゃる。本当に同感。その続けていく意味をしっかり後日感じることになる。

8月9日昼夜2公演6作品を観る。
即興ライブで何回かご一緒したことのある安川晶子さん、岡登志子さん率いるアンサンブル・ゾネ、H・アール・カオス出身で今回関西デビューの関典子さん、松山にも来た事のあるモノクロームサーカスの双子の未亡人、FUPRO-jectのトリオ、森美香代さんの6作品。
贅沢な時間だった。それぞれが自分の世界をきちんと描ききり一歩も引かない感じ。
熟練の味から新鮮な感性。 
ショーケースの醍醐味だ。
もともと「ダンスの時間」は1つの公演の中で4組のダンサーの作品を提示し、その「多様性」に直面することで観客も出演者も何らかの刺激を受け(与え)ることを目指している。

公演後興奮も冷めないまま打ち上げに誘われる。
出演者の方達や上念さんとの語らいに時間を忘れる。
お互いを認めあった空気感。貴重な時間だ。
本当は明日は自分の番だと思うと気が気ではなかったのだが・・・

10日朝リハーサル後、昼夜公演を踊る。
今日のメンバーは京都のディニオス(8人のグループ)、最近改名されたザビエル守之助さん、近大出身の若手4人のグループO九、私と尼崎のダンサー村上和司さんとのデュオの4作品。
今日もアプローチの仕方が全然違う作品がそろった。
アンケートにも多数そのような声が上がる。

以下公演内容について詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
上念さん レビュー 
http://jonen.txt-nifty.com/dnp/

今年は「ダンスのお話の時間」「ダンスのビデオの時間」「ダンスのワークショップの時間」が加わった。

この大阪3日間で得たものは多い。
自由で温かい気持ちになる。

松山でもこのような刺激的な企画をと思う。
まずは上念さんの「ダンスのお話&ビデオの時間」などはどうだろうと考える。
実現する日を夢見て・・・・・

(nao)