中学校美術教育のこれから

中平です。先日、美術教育への興味を持ってくださっている方から書き込みがあり、大変嬉しく感じました。将来なくなってしまうかもしれないと言われる弱小教科ですので、こうやっていろいろな方に、まずは興味を持っていただくことが大事だと感じています。
今日は、日頃感じている中学校美術教育のこれからについて書いてみたいと思います。

将来、中学校で美術教育がなくなってしまうのか? そもそもなぜ美術教育が必要ないという議論になっているのかというと、美術は特別な人達、興味のある人達だけのものなので、公教育として生徒全員に行う必要はない、将来やりたい人は趣味でやればいいという論理があるからです。
また、最近始まった「総合的な学習の時間」により、美術教育的な内容も代用可能なのではないか、また、感性教育や表現学習も、音楽や国語などその他の教科で代用して教育することが可能であるという考え方があるからです。
過去の美術教育を振り返ると、確かに美術教師は、授業中、自分の絵を描いていたり、好きなことをやっていて、学校内でお荷物的存在の教師もおられたと思います。そういう点はこれからも改善していかなければならないと思いますし、変わっていかないと本当に学校から消えてしまうと思います。
そこで私は、中学校において、数学や国語、英語などにはできず、美術科しかできないことって何かと考えました。それは、「生徒が自分で答えを考え、問題を考え、解いていく」という学習の仕方であると思いました。数学や国語などは、極端に言えば結局、先生か誰かが考えた答えに向けて、誰かが作った方法で解いていくことしかできないのではないかと思います。この点、美術は違います。自分で問題も答えも、やり方も考える教科なのです。ここが学校教育として、美術に興味のない生徒に対しても美術が有意義な価値をもちうる点であると思います。こういう考えや目的で行われる美術教育は、必要だと思います。しかし、生徒が何も生み出せない美術教育は必要ないと思います。
今、美術教育の現場で、美術を何でもかんでも残すべきという雑多な議論が繰り広げられていますが、必要な美術教育と必要ではない美術教育をはっきりさせ、これからの方向性を見いだしていくことが大切だと感じています。

写真は、平成14年度2学年選択美術で行われた暗闇美術館での、トイレを使った生徒作品「手部屋」です。