大自然の中に生きる人びとの知恵

今年の冬は、例年より1ヶ月早く始まり、11月中旬には、標高約1800メートルのここバーグで、早くも雪が降り始めました。

カシミールは非常に雨が多く、3日に1度は雨か雪が降るため、冬場の学校トイレの建設作業などは大変困難なものとなりました。しかし、住民の積極的な参加で、雪や雨の中でも何とか作業を進めることができ、特に、厳しい寒さのもと、一日の作業を終え住民からそっと差し出される温かいチャイは、格別なものでした。

 それでは、朝の気温がマイナス5度というJEN事業地の住民は、どのように厳しい冬をしのいでいるのでしょうか。実は、ここに地元の知恵が隠されています。住民の大半は、冬用の家と夏用の家を持っており、秋の終わりになると山の麓にある家に下ります。

 まるで優雅な避暑地での生活のように聞こえますが、家は土と藁葺き屋根でできた質素なもので、季節ごとに住処を変えるのも、厳しい夏の暑さと冬の寒さを乗り越えるためのカシミール人の知恵なのです。