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FTSN(FairTrade Student Network)関西
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2005/11/04のBlog
[ 00:02 ] [ Fair Tradeとは? ]
Fair Trade(フェアトレード)とは?


「公平な貿易」と訳され途上国の自立に協力する活動の一つです。

先進国に暮らす世界人口のたった2割の人々が、世界の貿易システムにより世界の富の8割を独占している現状(いわゆる南北問題)があります。
フェアトレードでは、途上国において地主や企業などから不当な搾取を受けている生産者や、賃金を稼ぐ手段を持たない生産者が作ったモノに、適正な賃金・価格を支払い、また、長期的な関係の下で直接的な取引をすることにより、彼らの経済的自立に協力する、お互いの「顔が見える」貿易を行います。
さらに、環境に配慮された生産を行うことによって、持続可能な社会創りを目指しています。


<フェアトレードのはじまり>
貧困にさいなまれる発展途上国。
例えば換金作物をコーヒーに頼っている、コーヒー生産国では、市場価格の暴落・低迷などで生産者は大きな被害を受けています。
グローバル至上主義の時代においての支配的経路とは別の、新しい流通経路を創出し、生産価格の引き上げ、暴落・低迷防止策にフェアトレードという理念が始まりました。

貧困な発展途上国の生産者から、手工芸品や食品(1次産品、加工品)をできるかぎり直接的に、そしてできる限り高く購入することで、彼らの生活水準の改善を支援するフェアトレード(「公正貿易」、あるいはオルターナティブトレード「もう一つの貿易」)は、オックスフォード飢餓救済委員会(OXFAM・イギリスのNGO)の「ブリッジ計画」(1964年開始)が始まりとされています。

1989年には国際オルターナティブ・トレード連盟(IFAT)]が設立され、現在では生産国を含めて46カ国、142のフェアトレード組織(FTOs)が会員になっています。


<フェアトレードの原則>
1999年IFAT総会において合意されたフェアトレードの定義、目標は、以下の通りです。

フェアトレードは支配的な国際貿易に対抗する、オルターナティブなアプローチである。それは排除された不利な状況にある生産者の持続的発展をめざす、貿易パートナーシップである。よりよい貿易条件の提供、知識の向上、キャンペーン活動を通じて、その発展を探求するのである。
フェアトレードの目標は以下の通りである。
①市場アクセスの改善、生産者組織の強化、買付価格の引上、貿易関係の持続化を通じて、生産者の生計と福祉を改善する。
②不利な状況にある生産者、特に女性と先住民にとっての発展機会を促進する。そして生産過程における搾取から、子供を守る。
③国際貿易が生産者に与える悪い影響に関して、消費者の知識を高めることで、消費者の購買力を良い方向に向ける。
④対話、透明性、尊敬を基礎とした、貿易のパートナーシップの1つの手本を確立する。
⑤支配的な国際貿易のルールと実践を変えるために、キャンペーン活動を行う。
⑥社会正義、環境保全、経済的保障の促進により、人権を擁護する。


参考文献:辻村英之『コーヒーと南北問題ーキリマンジャロのフードシステム』(2004年、日本経済論社)「第10章オルタナティブな価格形成制度の探究」より
2005/10/30のBlog
[ 15:27 ] [ FTSNコラム ]
もっとブログという気軽に情報発信できるメリットを活かして、FTSNの活動報告はもちろん、FTSN所属の団体やメンバーによる活動報告や、FTSNの柱となる人とのつながりの大切さをもっと伝えていけたらな、と思っています。

というわけで、少しずつですが、FTSNコラムという新メニューを加えまして、ブログの充実を目指していきたいと思います★★

第1回目は、FTSN関西代表・山根が、コラムをお届けしたいと思います!!
『九州上陸!!~大分編』


10月13日の夜フェリーで12時間かけて、大分そして福岡に訪問してきました!
3日間という短い時間でしたが、ステキな出会いや充実した時間を過ごして参りましたので、ご報告します。

まず、なぜ大分と福岡!?ってことなんですが、これもまた近々報告する予定ですが、FTSN-Japanの京都合宿がありまして、九州の仲間と再会してむしょうに九州に行きたくなったのです。
FTSN関西が設立されてから約1年という歳月が経ちますが、私はまだ関西代表として九州に行っていませんでした。
というのも、春までは龍大JITの活動で精一杯だったということ、それ以後はFTSN関西を主にしていたものの自分の進路で忙しかったということ、それだけでなく、きっとまだまだ視野が狭く、自分に自信がなかったのかもしれません。

やっと今回3回目の合宿で、今まで以上に、大分のAPU(立命館アジア太平洋大学)の子や宮崎の仲間と話すことが出来て、やっぱりちゃんと自らの足で彼らの地域の足を運び、彼らが取り巻く環境に触れて活動を見てみたい!合宿で会っていない仲間と話してみたい!と思いました。

そしてそこからの行動がすばやかったです!
すぐにフェリーのチケットを予約しました。
時間の関係上、今回は熊本と宮崎には行けませんでしたが、大分で1泊、福岡で1泊してきました。

*写真は、フェリーから写した神戸の夜景。

フェリーで大分に着いた1日目は、大分・別府は温泉の町!ということで、むし風呂に連れていってもらいました。
別府はあちらこちらに温泉が沸いていて、APUの学生さんは毎日のように温泉を満喫しています。羨ましい★★
むし風呂のおばちゃんに、傘をちゃんと傘立てに直しなさいと怒られたもですが、そういう他人であるおばちゃんがよその子を怒るという、温かいコミュニティが残っているのが何ともいい!
むし風呂で、体中の老廃物を出し切って、その後、別府名物の温玉うどんとむしプリンをいただきました。
その後、髪の毛も濡れたまま、APUへ訪問!(APUでは温泉行って大学、なんて当たり前だそうです)

*写真は、かごさえ借りれば、何でも蒸すことが出来る釜。温野菜や温泉卵などなど。


その日、異常に霧が発生しており、半径10メートル以内しか前が見えません!
それなのに、バスも車もみんな慣れていて運転はお茶の子さいさい。
怖かったです。
APUは山のほうにあるので、もっと霧は強いのです。。

APUの校門に入って、人がやっと見えてきたのは、生協がある建物に着いてから。
さすが、国際学生が全校生徒の半分ってこともあって、色んな国の言葉飛び交っていました。
生協見学もさせていただき、生協にあるフェアトレード商品コーナーでは、カレーやカレーの作り方、PEPUPのマンゴーやネパリバザーロのクッキーが設置されていましたよ。
APUの団体Ones’1のみんなが手がけているのですが、手作りのポスターに感動しました。


「微力だけれど、無力じゃない、少しずつ世界を変えていこう」


なんて勇気の湧く言葉なんだろう、と感動していました。
みんなのフェアトレードに対する想いが、この言葉からひしひしと伝わってきたような気がします!

その後は、読売新聞の特派員の方が講師に来られている授業に、もぐらせていただきました!
結構大教室で、受講生も溢れていました。
授業の内容は、まあまあ、、だったのですが、APUの学生さんはメディア関係を目指している人も多いらしく、授業を受ける姿勢は真剣です。
1時間弱の講演後、学生からの質問タイム。
うちの大学(龍谷大学)に比べて、積極的に質問する姿に驚きました!!
みんな問題意識を強く持っていて、質問内容も、講師の方を困らせるくらい鋭いもの。
すばらしい!!

授業終了後は、Ones’1の仲間と一緒にお鍋パーティーをしました★
みんな私を気持ちよく歓迎してくれて、本当に嬉しかったです!
みんなフェアトレードだけの活動しているわけではないので、忙しくてこれない子もいたのですが、時間を作ってきてくれた子もいたりして、感激しました!
今年初のお鍋だったので、とーっても美味しかったです♪

お鍋後は、色んなことについて語り合いました。
お酒飲んであまり覚えていませんが。。
自分の夢について語ったり、グローバル経済について議論したり・・・
とっても濃い話をしたような気がします。
そして、夜中に大分テレビ(フジテレビ)で、ap bankフェスの特集がやっていて、みんなで鑑賞。感動。
来年はブース出店したいねーと盛り上がりました★


APUの学生さんは、Ones’s1に限らず、みんな熱いです!
フェアトレードに限らず、多様な活動をされているし、環境や地域活性化などなど、学生全体が何かしらの活動されています!
まだまだ新しい大学なので、みんなで大学や地域を創っていこうという思いもあるし、町を少しあるけば誰か友人に会うという小さい町なので、結束力もあるだなと思います!
情報も少ないはずなので、自分たちで積極的に外に出て行くというフットワークの軽さもあります。
自分たちで主体的に何かを創ろうという問題意識の高さは、もっと私にも必要であるなと思いました。


そして、寝たのは4時くらい。
2時間だけ寝て、福岡へ。。


続きは、福岡編で。
お楽しみに!!


文責:山根 実紀
2005/04/25のBlog
[ 15:24 ] [ FTSNニュース!! ]
関西周辺で聴くことができるFM COCOLOの「on the movie」という番組に、FTSN関西がゲスト出演しました。
金曜日に代表の山根とスタッフの兵藤が出向き、収録をしてきました。

国際フェアトレードに向けてのフェアトレードの特集で、学生の取り組みを紹介したいと言ってくださって、今回の出演のお話が決まりました。
FTSN関西に参加している学生団体がどんな活動をしているのか>FTSN関西としての活動や、フェアトレードを広げるにはどうしていくのか?などをお話してきました。

放送日は、
5月8日の朝8時からです!


朝が早いのですが、是非皆さんお聞きくださいね。

放送日から1ヶ月くらいたてば、ネットでも聴けるようになるそうです☆
2005/02/21のBlog
遅ればせながら、2月18日におこなわれたFTSN関西のイベント「Com~ともに」で、参加者とともに、スリランカの被災者のために折った折鶴の報告をFTSN東京代表の内田さんからさせていただきます。

この折鶴は、熊本の「日本フェアトレード委員会」からスリランカのNGO団体(OSEEDVG)を通して、被災者の方に届けられます。
OSEEDVG(Organization for Socio-Economic and Education Development of the Vulnerable Groups)は日本&スリランカフェアトレードプロジェクトのスリランカ側プロジェクト組織です。

今月頭の合宿の後、私が熊本に出向き、関西のメンバーによるメッセージカードをつけて代表の清田さんに直接手渡しました。

あと、募金に関しては、全体で25142円で、その半分をフェアトレード委員会、半分をアジア太平洋資料センター(PARC)に寄付しました。
・・・・・・・・・・・・・・
PARCの支援活動
①津波の直後には、スリランカ首都コロンボで医薬品を調達し、北部の都市ジャフナに届けました。また、ジャフナ県の被災者キャンプで生活している人びとに、食事や日用品の提供をしました。
②現在は、仮設住宅を建設するための資材(ヤシの葉)を提供し、主に女性が中心とな ってヤシの葉を編む作業が行えるよう支援をしています。また、今回の津波で最も被害を受けた漁民を支援するため、漁民が一日でも早く仕事を再開し、家族を養うことができるよう、船や魚網の提供をする準備を進めています。
・・・・・・・・・・・・・・

折鶴の件では色々ありました。
あるスリランカ緊急支援をしているNPOに、この折鶴を被災地に届けてもらえないかとの申し込みに対して、「本当に必要なのは、水や医療品。千羽鶴は日本人の自己満足に過ぎない」ということで、受け取っていただけませんでした。

関西のメンバーは、そういうことも熟考した上で、「ともに」というテーマに沿い、イベントの参加者が単に募金するだけではなくて、イベントの場でなんらかの行動を起こすことで、参加者にともにつながっていることを感じてほしいということだと、とういう旨を伝えたのですが、了承を得られませんでした。

そこで、フェアトレードに関わる団体で、津波の緊急支援を行っている団体ということで、「日本フェアトレード委員会」へ打診したわけです。

折鶴を渡すときに、これまでの経緯をお話したところ、その場に清田さんと同席したスリランカ人留学生のラヴィさんによれば
「確かに必要なのは水や医療品だが、それ以前に、被災者たちは何よりも大切な家族や友人を多く失い、失意のどん底にある。遠く日本からのこのような祈りのこもった千羽鶴は、彼らを少しでも元気付けられる素敵な贈り物だと思います」
とおっしゃってくださいました。

以前に日本フェアトレード委員会は、熊本の子供たちとともに、文房具や、子供たちの書いた絵を被災地にとどけています。そうしたところ、被災地の子供たちからお礼の手紙が届きました。その子供の手書きの手紙と、それをラヴィさんが日本語に訳したものを見せていただきました。中身は、「すてきなおくりものをありがとう。私たちのおとうさんやおかあさん、たくさんの人がなくなってつらいけど、がんばります。またおくってください。」という内容でした。

きっと折鶴も、よろこんでいただけると信じています。

大きな災害が起こったときは、世界中の関心が集まって大きなお金が集まるものですが、すぐに忘れ去れるものです。しかし、被災者の方々の大変な生活はこれからも続いていきます。今後も継続して支援をしていきたいと考えています。

被災地の現状については アジア太平洋資料センター(PARC)のホームページをご覧ください。
http://www.parc-jp.org/home/contents_home.html

FTSN東京 内田陽子


************************

内田さんお疲れ様でした。

イベント当日ほとんどのお客様が鶴を折って下さり、折り方が分からなかった方も一生懸命にメッセージを添えて作ってくださいました。
ご協力心から感謝申し上げます。
熊本のラヴィさんのおしゃったように現地の方は、家族を失ったり精神的にも癒されない状況があると思います。
私自身も神戸の震災を小学生のときに経験したので、その不安や心細さは身にしてみて予想できます。
確かに折鶴は自己満足ではないかと企画段階から議論になりましたが、ただお金を寄付するだけでなく、鶴を参加者やスタッフとともに折り、現地に想いを馳せながら現地に届けたいと考えました。
私が神戸の震災当時、久しぶりに行った学校に各地の小学校から手紙が送られており、とても嬉しかった記憶があります。
イベント時皆様が一生懸命折って下さって、私たちの想いが伝わったのかなと嬉しく思いました。
改めてお礼を言わせていただきます。
ありがとうございました。

FTSN関西 山根実紀

2005/02/20のBlog
[ 15:19 ] [ FTSNレポート ]
2月18日に開催されたイベント『Com~ともに』で出演してくださったパネリストの方々から感想いただきました。
それぞれの思い思いの感想を語っていただいていますので、是非イベントに参加できなかった人もお読みください♪
そしてパネリストの皆様本当にありがとうございました。


■小吹岳志氏 (フェアトレード・サマサマ 事務局長)
<シンポジウムを終えての感想>
「フェアトレードのあるべき姿」を論ずるだけなら、いくらでも言えると思います。
難しいのは、実践しながら「あるべき姿」に少しでも近づけて行くこと。
金曜日の雨の夜という悪条件にもかかわらず、150人を超える若い人達が集まったことに感動しています。
その人達が、新しい、自分達ができることに、まず一歩踏み出してくれることを期待します。


■辻隆夫氏 (共和食品株式会社)
<コーヒーを取り扱う民間企業のフェアートレードに対する思い>
発展途上国であるコーヒー生豆生産国を実際に訪問して、その中から「産地の人々に対する思いやり」を構築し、企業の理念として取り組んできました。
特にその思いはコーヒー生豆生産国が対象であり、かつ特定の国や地域に思い入れすること無く、平等に取り組みが重要であると企業人としては認識しています。
その一つの取り組みがフェアートレードの商品化であり、そのPRです。
したがって、企業にとっては、それが全てでは有りませんし、それしか無いと言うことも有りません。
皆さんはどうお感じになられたかは、分かりませんが、民間企業のフェアートレードに対する取り組みは、一つのカテゴリーとして取り組む場合が多くその事を一般消費者がどう理解されるかが我々の一番知りたいところです。
つまりフェアートレード運動の中でラベル運動や、その他の活動に対する分かりやすさを追求していきたいのです。
こういった活動を紹介できる機会は少ない中で、民間企業として紹介いただけた事は感謝申し上げます。
内容的には、紹介、PRあるいは、質問に留めていただきたかったのが正直な感想です。
FTSNさんの今後のご活躍を期待いたします。


■ウスビ・サコ氏(マリ共和国出身)
Comともにーのシンポジウムでは、「フェア」トレード商品の生産国出身者という立場で意見を述べさせて頂きました。
私が生活している消費社会、日本の子どもたちの「モノ②」に対する態度、生活保障あるいは「特権」を見るたびに、この地球の将来を不安に感じてしまいます。
もう一方で、マリに戻るたびに、生産している「もの①」がどこに行ってどのように消費されるのかも分からずに一生懸命働く人たち、自分たちのさらなる発展(経済的)をさえあきらめている人たちの姿を見ると胸が熱くなります。
今回のシンポジウムでは、オーディエンス・パネリスト・主催者共に上記のジレンマに対して、意識の高さを感じさせられました。
現代社会の様々な「矛盾=齟齬」を変える方法論は見つかっていなくても、何らかの道筋が見えてきているのではないか。
皆で、今後も、「フェア」ということに疑問を持ちながらもトレードの面のみならず、社会のあり方についても様々な形で活動を続けて頂きたく思います。
一緒にアクションを起こしたいですね!
「流行の毒に気を付けましょう」。


■鶴田格氏 (近畿大学農学部教員)
<フェアトレードと人類の未来>
今回フェアトレードのイベントに参加させていただき、思いのほか多くの若い人が興味をもっていることを知って、驚き、また大変心強く思った。
ただ、イベントのなかで強調されていたように、フェアトレードが「お金持ちの先進国の消費者が、貧しい途上国の人々を助ける」ための手段としてだけ考えられているとすれば、それには少し異論がある。
今のフェアトレードの運動に文句をつけ、冷水を浴びせたいがために、そんなことを言っているのではない。
逆である。むしろ、私の考えでは、フェアトレードはもっと大きな可能性と人類史的な意義をもっている。
 
上記の規定は、その可能性を少し狭くとらえすぎているのではないか、と思われるのである。
その大風呂敷な話に進む前に、まず、多くの人がフェアトレードの主たる目的ととらえているであろう「先進国の消費者による途上国の生産者の支援」という一般的な図式について検討するところから始めたい。
私は、この目的それ自体は全く正しいと思う。
ただ気になるのは、この目的の背後に暗黙にひそんでいるかもしれない諸前提のことである。つまり、この図式は、南北関係を固定的なものとみて「私たち(日本人や欧米人)はこれからも先進国という安泰な地位を保ち続けるだろう」とする仮定の上に成り立っているのではないだろうか。
もし、私たち先進国の消費者が、自分の身は安全な場所においといて、恵まれない劣位の者に救いの手を差しのべる、という慈善的な態度に終始しているとするならば、そこに一抹のウサンくささを感じとる人がいてもおかしくない。
おそらく、パネリストの一人サコさん(西アフリカ出身)が苦言を呈したのも、「公正」の名のもとになにか偽善的な行為が行われる可能性を指摘したかったのだろうと思う。
 
 しかし私は、サコさんとはまた違った理由から、上記の図式に少し疑問を持っている。
それは、私たち先進国の消費者は、本当に(治安や経済の面からみて)安全、安泰なのだろうか、ということである。
2001年にアメリカでおきた無差別テロ事件や、2004年のスペインの列車爆破事件は、ますます拡大する貧富の差が、どのような形で突発的な暴力に結びつくのかを世界に示した。
経済大国日本に暮らす私たちにとって、これまでは知らんふりを決めこむことができた南北問題も、他人事ではすまされなくなった。
それを放置しておけば、次は私たちが標的になるかもしれないのである。
フェアトレードは、だから、貧しい途上国を救うためだけにあるのではない。
私たちの身の安全を保障するためにも、必要なのである。
フェアトレードで取引される農産物には無農薬のものが多いことも、この私たち自身の安全の確保、ということにかかわっている。

 また、そもそも私たちの住む日本が、いつまでも先進国のままであり続けるという保障はどこにもない。
経済的余裕がなくなれば、通常よりかなり高い値段で商品を販売することを前提としているフェアトレードの運動などは、急速にしぼんでいくことも予測される。
お金があるときは、フェアトレードをやるけれど、なくなったらやめる、というのでは、何のための運動なのか。
フェアトレードは単なる慈善事業ではなく、「先進国―途上国」という関係や、環境負荷の大きい既存の生産・消費のシステム、さらにはそれらを生み出してきた資本制経済そのものを問い直す運動でなければならない所以である。

 資本制経済とは、簡単にいえば、金儲け(利潤獲得)以外のすべての考慮を二次的なものにするようなシステムに、誰もが否応なしに巻き込まれていく運動である。
この経済システムのゆえに、私たちはとても豊かになった。
ところが一方で、大量生産大量消費のしくみが世界規模で形作られ、それがどんどん地球環境の悪化を招いてしまった。
同時に、グローバル化する経済に巻き込まれていく過程で一部途上国での労働条件は劣悪化し、南北の経済格差はますます広がりつつあると言われている。
私たちの物質的に豊かな生活は、こうした世界規模での(環境および人間への)収奪システムの上に成り立っている。

 こうしたシステムをこれ以上続けていくことができない理由、テロリズムよりもっと深刻な理由は、もちろん地球環境の悪化である。
このイベントが行われる2日前に地球温暖化に関する京都議定書が発効した。
しかし、今のところ二酸化炭素排出量は増えこそすれ、減る見込みは少しもなく、温室効果ガス抑制にかかわる、その控えめな数値目標でさえ、達成することは難しいと言われている。
科学者たちの予測が正しければ、近い将来、天候の異変とそれに伴う食料危機が起こる可能性が高い。
そうなれば、もう開発援助どころではない。
主権国家は、いざとなれば武力を用いてでも、希少な資源を確保し、自国民の利益を守ろうとするだろう。
テロリズムよりもっとひどい事態、戦争が起こるかもしれない。
たとえ深刻な環境の悪化が起こらなくても、資本制経済のグローバル化そのものが、戦争につながりかねない要素を持っている。
それは、世界恐慌に対する反動としてファシズム国家が台頭し、第二次世界大戦を引き起こした経緯をみればよくわかる。
世界恐慌の直前の時代というのは、ちょうど今のように経済自由化が世界規模で急激に進み各地域の経済を混乱に陥れた時代だったのである。

 「いったい公正とは何なのか」というサコさんの問いかけは、重く受け止めなければならないし、私もこれからじっくりと考えていくつもりではある。
しかし、率直にいって、「もうそんなことを言っている場合ではないのではないか」という気も一方でする。
私たちが、生産者への報奨金を100円にするのと150円にするのとではどちらが公正かを議論している間にも、地球の温暖化は刻々と進み、テロリズムを格好の口実として諸国家は戦争への準備を着々と進めつつある。

 冒頭で、私は、フェアトレードは、単なる開発援助という域を越えた、もっと大きな可能性と人類史的意義を持っている、と述べた。
それは、一言で言えば、今世界を席巻している資本制経済に代わる、別の経済システム(英語風に言えばオルタナティブalternativeな経済システム)を生み出す可能性である。
貧困はもちろんのこと、環境悪化、戦争など全ての問題の根本には経済の問題がある。
それを解決したければ、経済のシステムを変えるしかない。
これまでは(そして今でも)、資本制経済がもたらす諸矛盾は国家が解決できる、とする考え方が支配的だった。
しかし社会主義国家の壮大な実験は失敗におわり、また日本や欧米の「福祉国家」も巨額の財政赤字を抱えて、普通なら破産していてもおかしくない状態である。
これ以上国家に頼ることができないのは明白であり、また国家に過剰な期待をすることは、戦争へ向けての第一歩でもある。

 先進国と途上国の市民が協力して草の根で行うフェアトレードは、国家の力に頼ることなしに、経済システムを変革していくための、唯一ではないにしても、もっとも有力な方法のひとつである。
原理的に考えて、広い意味でフェアトレード的なやり方を広めていくしか、環境の悪化と戦争を防ぐ道、つまり人類が生きのびていく道はないであろう。
だから、フェアトレードは、単に途上国の貧困問題を解決したり私たちの消費生活のあり方を反省したりするための手段ではなく、そこには人類の存亡がかかっていると言っていいのである。「人類の存亡」というのがウサンくさく聞こえるなら、「この私やあなたの存亡」と言いかえてもよい。
今後環境の危機や戦争が起こるとすれば、それが局地的な現象にとどまることは決してありえず、むしろ地球規模の破局につながるだろうから、この二つは同じことである。
 以上、たぶん多くの人にとっては既に当たり前のことを、長々と書き連ねてきた。
こうしたイベントを通して、一人でも多くの人がフェアトレードに興味を持ち、実践してくれることを望む。