ラスト「統合保育戦略」

「統合保育戦略」その5
(%王冠%)イラストライターの大枝桂子です(%王冠%)

今、サンフランシスコ空港にいます。
1年間の滞米生活も今日で終わり、いよいよ帰国となりました。

ここで最後の戦略について
アップしておきますね。

(%赤点%)6>予防的方策

小さいお子さんには多いのですが、
とくに障碍を持った子の中には、
注意力が散漫だったり、
ほかの子にちょっかいを出したり、
環境からの刺激過剰で騒いだり部屋から飛び出したりという
いわゆる「問題行動」と言われてしまう状態を引き起こすケースが
あるようです。

幼稚園や保育園に入ってそういう状態が続くと、
クラスになじむのが難しくなることがあるため、
園の先生(あるいはご両親、支援センターのスタッフ)は、
そういう状態になる前に手を尽くしましょうというのが、
この6>予防的方策の意図です。

いくつかある中から、整理してここに書き留めておきます。

(%青点%)1… スケジュールに一貫性をもたせる
できうる限り曜日などによってアクティビティを決めておき、
それを前もって知らせておきます。
絵やシンボルマークでカレンダーのように貼っておくといい。

>>>例
「今日は月曜日だね。月曜日の午前中は散歩だね」と絵を見せながら
確認します。

(%青点%)2… 言語以外のコミュニケーションツールを利用する
こちらの統合保育では、
耳の聞こえない子や小児まひの子も当然対象となりますから、
手話やコンピュータデバイスも園の中で使われることが推奨されています。
でも、そういう子どもたちの参加はやはり多いわけではないので、
やはり言語以外のコミュニケーションツールで一番利用度が高いのは絵やシンボルといったものになります。
とくにPECS( Picture Exchange Communication System)
絵カード交換式コミュニケーション
というのが、よく使われているようです。
具体的には2日間の研修が必要なほど深い内容のようですが、
(参考 http://www.pecs-japan.com/)
クラスの中で学んだのは、マジックテープの上に
 私(の絵) 飲みたい(の絵) ミルク(の絵)
を貼って、お互いの考えを伝え合うというもの。
クラスで先生に見せてもらったのは先生の手作り?みたいな
簡単なものでした。
普段の遊びの中でも使えそうです。

(%青点%)3…環境の刺激が過剰にならないように配慮する
クラスで習ってこれは面白いなと思ったのは
「Space Buffer」スペースバッファの利用。(Bufferは「緩衝装置」の意味)
接触障碍などがあり、
多くの子の中で遊ぶのが苦手な子のために
その子専用のバスタオルやマットを敷いて
その子専用のエリアとして遊んでもらうという工夫です。
もちろん、他の子どもたちにはあらかじめ
「ここは◎ちゃんの場所だから、◎ちゃんがいいよって
言わなかったら入っちゃだめなのね」と伝えておきます。

たとえば、「◎ちゃんはお友達が近くにいるとダメなんだって。
だから近くに行かないでね」
と伝えると、なんか誤解を招きそうですよね。
でも、目に見える「Space Buffer」を用いれば、
子どもは難しい説明がなくても理解しやすい。
ちょっとしたお家ごっこみたいですし、
他にやりたい子がいたらもちろん、まねっこすればいいですし。

まだまだお伝えしたいことはあるのですが、
最後にひとつだけ。

クラスの中で先生が紹介した本の中の一節。

「私たち(障碍のある子とその子を連れた親)を見たら、
目をそらさないでください。
私たちを見つめて、
そしてにっこり微笑みかけてください」

障碍のあるお子さんを連れて街に出たとき、
日本人のお母さん、お父さんはどう感じられるのでしょうか。
見つめられで微笑みかけられたら、いやですか?
むしろ、目をそらしてほしいと思うのでしょうか。
アメリカと日本は文化が違うから私には分からないのですが、
私は微笑みかけたいなと思うのだけど…。

さて、そろそろ飛行機に向かわなくては!
また機会があったら、ご一緒させてくださいね。
ありがとうございました!

(%王冠%)イラストライターの大枝桂子(%王冠%)