アメリカ的「発達目標達成のための戦略」

(%王冠%)イラストライター 大枝桂子です。(%王冠%)

本日は今所属している「統合保育」のクラスで学んだことを
紹介したいと思います(%晴れ%)

こちらの教育現場では、なんですが、
●明確に目標設定をすること
●目標にどの程度近づいたか評価すること
この二つが大変重要視されてます。

今まで取ったクラスでもすべて、学期の初めに
「あなたのGoal(ゴール・目標)はなんですか?」
を調査書に記入させられ、
クラスによっては学期の最後に「自己評価」させられました。

障碍児保育でもまたしかり。
先生と親、時に専門家も交えて、
「今のこの子の目標は?」というのを明確に設定し、
評価していく。

日本の保育現場と比較して、
面白いなあと思うのはそこなんですが、
たとえば、ある園に軽度発達障碍が疑われる
やんちゃな子がいたとしますね。
日本でその子についてミーティングが職員間で
開かれた場合、おそらくその会議のタイトルは、

「A君の事例」。

会議はたぶん各先生が、
「A君はこんなことをした。そこが心配」
「こんなこともした。そこも心配」ということを
あげてく。
そして会議がドンヨリ暗くなってきたあたりで、
「どうしたらいいでしょうねえ」という話になってくる。

一方、こちらの場合は、
(授業でロールプレイはしますが、
本当の会議には出たことがないので
実際の現場はわからないのだけれど)、
おそらく会議のタイトルは、

「A君の目標達成のための戦略会議」。

もちろん、こんな心配事がある、
こんなこともやらかした、という気になる点は
同じようにあげていくんですが、

心配な状態→→→→心配でない状態(目標)

というように、「心配でない状態が彼のゴールなのだ」と
はっきり意識化、言語化される。

(日本の会議の場合は、
「言わなくても当たり前」的に意識されていないでしょうか?)

さらに授業では、
その目標(Gaol)に向かうまでに
幾つかの小目標(Objectives)を設定するよう指導されました。

たとえば、ひどいカミツキ癖のある子がいたとします。
1日に10回くらいかみついてしまう子。
この場合、「カミツキ0」が最終目標になると思いますが、
いきなりそこに目標を置かず、

「明日は5回くらいになるようにする」(小目標)
 ・引き金になりやすいB君の行動をマーク(C職員担当)
 ・多発する時間帯にマンツーマンで付く(Dアシスタント担当)
 ・背後の要因を調べる(E職員担当)

というふうに、各々の職員の目標も決めていく。
そしてまた会議をやって、
戦果を報告し、評価し合い、

「じゃ、明日は目標値を2回に設定しましょう。
C職員はターゲットにFちゃんも加えて」

とか、それぞれの職員の目標も調整し直す。

プラス、記録を取るときに、
その目標がどのくらい達成できたかを「常に」意識できるよう、
記録紙に初めからその小目標値を書き込んでおくという
方法も教えてもらいました。

たとえば、簡略化して書くとこんな感じ。↓
──────────────────────────────
 発達段階エピソード記録紙 C職員

対象児 A 日付2008.1.31
──────────────────────────────
<A君の小目標>
 カミツキを5回に減らす 

<C職員の目標> 
 ─B君との関わり 
 ・トラブルを回避 
 ・A君との関係向上
 
────────────────────────────── <コメント>
B君がA君のおもちゃに興味を持った。すかさず、同じ物がある
事を伝え、トラブルを回避。A君とそれで一緒に遊ぶことを提案するが、
それは却下される。

──────────────────────────────
(アンダーライン以外の部分は、仕事が始まる前に記入されている)。

こんな風にシステマチックにする最大の理由は、
アメリカの保育界もまた人材不足の問題があるからだそうです。
フォーマットを決めて動けば、時間を節約できるからですね。
つい、日本人の私は、
「そんな子どもを物のようにマニュアルで管理するような方法はちょっと…」とか頭をかすめてしまうのですが、
理想と現実をきっちり分けて考えろ、と。(笑)
どこまでも合理理的なアメリカ。
でも、学ぶものはあるんじゃないかな?