スティーヴィー

ポレポレ東中野で「スティーヴィー」を観る。

8歳の従妹を性的虐待をした男のドキュメンタリーです。
最後は懲役10年の判決を受け、服役するのですが、
彼の人生が凄まじい・・・
まさしく加害者は被害者である。

彼は母親にとって「望まれぬ子」でした。
そして、母親と義理の父親から身体的虐待を受けた挙句
祖母の下に置いていかれるという養育拒否(ネグレクト)に遭います。
祖母が引き取ったときにはかなりの発達遅滞があったようです。

その後、11歳まで施設に預けられますが、
そこで、彼はレイプに遭います。
それから、施設を転々とし措置入院まで経験します。
病院が治療を放棄したあと、犯罪を繰り返します。
彼は従妹だけではなく、妹にも性的虐待をしていました。

母親も児童虐待の被害者でした。
ドキュメンタリー中で母親は絶対に話しませんでしたが、
おそらく彼はレイプ被害により生まれた子どもです。
まさしく虐待の連鎖です。

でも、被害者の母親も姉、すなわち彼の母親同様虐待に
遭っていたのですが、彼女は子ども達を決して虐待しないことを
誓い、彼を最も理解していながら、告訴に踏み切ります。
妹も彼の性的虐待を受けながらも、精一杯生きています。
だから、必ずしも虐待の被害者が全て加害者になる訳ではありません。
だからと言って、彼を責めることが出来るのでしょうか?
私にはわかりません。

それでも、なお彼を決して見捨てない人々・・・
見捨てはしないけれども、しかし、決して彼に子どもを近づけない人々・・・
父親の性的虐待に遭い、しかも父親の暴力によって障害を負わされた女性・・・
そして彼女は実の父親を訴え、8年の服役をさせます。
彼女のベッドサイドでの言葉には重みがありました。
彼女の言葉だけでも観る価値があります。