平成30年の振り返り (髙林)

① 
 NPO法人認知症予防ネットを立ちあげた15年前に書いた設立趣意書には、「スリーA方式による痴呆(当時)予防教室が、うねりとなる兆候をみるまで、社会に訴えていきたい」と書いたのでした。
 今では「認知症を持つ人も持たない人も、共に明るく暮らせる共生社会の構築」を目指すように、ゲームの目的のみならず、進行方法まで深く変わってきています。認知症専用のグループホームや、デイサービス訪問で、活動の巾が拡がった結果です。
 初期の思いを礎石として、共感者が全国に増えはじめ、各地での小さなうねりが其処此処に生まれてきました。それぞれの個性の上に、それぞれの枝や葉が茂りはじめ、寒風や酷暑に耐えながら、それぞれ異なる形・色の蕾がふくらんでくるのが目に見えるようです。全山同じ木の植林方式でなく、自ずと茂る雑木林のような様相です。1歩離れて見渡すと、深い感動と感嘆で胸がいっぱいになる平成30年でした。感謝!


 認知症専用のグループホームでの、月一回の定期訪問、4月から12月までの教室のあらましの報告です。
 スタッフ共で約10人前後の輪になって行っています。 
 その中の1人の女性入居者さんです。いつもにこやかな方なのですが、ゲームのルール説明は理解ができなくて、皆と一緒に揃える気が全くありません。できないことが自分で分かられるので、泣きそうになられます。たまたま良い具合に、私と隣り合わせになりました。ながら族のように、皆と一緒に手を動かしながら歌を歌うという、二つの異なる脳の働きをしますが、的確なタイミングで合いの手を入れ「ホイ」とか言われたので、リズム感だけはすばらしく確かなことがわかりました。そこで私は、
 「合いの手をいれるのは難しいのに上手に入れられますね〜。次は合いの手係をお願い しますね。」
と言いましたところ、調子に合わせることがとてもうまく「ホイ、ホイ」と言うだけでなく、手拍子まで入れられました。「上手ですねえ」とお顔を見て褒めましたところ、本人が満足げな笑顔になられただけでなく、他の迷惑そうな顔つきだった参加者さん皆々が、我が子がほめられたかのような、とても良い雰囲気になられたのでした。自分たちは仲間同士、私は外来者という関係が皆さんにハッキリ認識されていると感じました。それを如実に感じた年末の教室でした。9回目に到達した結果と言えるでしょうか。