第4回 FCCサロン 自転車ツーキニストから見た土木

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自転車ツーキニストから見た土木

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タグ:交通

[話題提供] : 自転車ツーキニスト(TBSディレクター) 疋田 智 
[コーディネーター] : 兵庫県加古川土木事務所 藤田 宜久
[日時] : 平成15年12月1日(金)18:30〜20:00
[場所] : エル大阪(大阪府立労働センター) 5階研修室(1)
[参加費] : 無料

【企画の趣旨】
疋田氏から、スライドやホワイトボードを用いながら非常に分かり易く、次のような話題提供が
されました。

・私は、6年前から片道12kmを自転車通勤しているが、非常にいいことばかりなので
皆さんにも是非お薦めしたい。

・自転車の効用としては次の4つが挙げられる。
 ・ダイエット(健康)効果…半年で体重が17kg減った。
 ・経済的効果…定期券代が浮くこと及び車を手放すことで年間約72万円浮いた。
 ・満員電車に乗る必要が無くなる。
 ・街及び季節を敏感に感じることができる。

・日本に自転車は約8,000万台あるが、その8割はママチャリであり、これは1978年の
道路交通法改正とともに生まれた日本オリジナルのものである。

・この道交法改正に伴い、自転車は歩道に上げられ、ママチャリは歩道を走るために
作られたもので、スピードが出ず、長い距離が走れないなど本来の自転車から逸脱し
ている。

・ミュンスター(ドイツ)は、人口約30万人の半径5km位の城壁で囲まれた都市で、
城壁の中は徒歩か自転車かバスしか通れない(車は入れない)ようになっている。

・1980年代初頭より自転車化を進めた結果、
・渋滞が減り、ビジネス効率が良くなった、
・空気が綺麗になった、
・交通事故が減った、という効果が現れた。

・駅前には地下式の駐輪場(3,500台収容可)が整備され、中には修理工場があり、
サイクルステーションとなっている。

・アムステルダム(オランダ)は、人口70万人強の都市で、街の中を自転車道と
トラムが縦横無尽に走っている(自転車化は代替交通機関を用意して初めて可能と
なる)。

・トランジットモールには歩道と自転車道しかなく、裏通りには必ずトラムが通っている。

・移動効率グラフによると、自転車は馬や他の交通機関などと比べても0.15cal/kg
で一番いいので、皆さんも自転車に乗ろう。そうすれば地球の未来は明るい。

・日本もドイツやオランダを見習い、なるだけCO2の排出量を減らすために、我々の
すべきことは何かを真剣に考えるべき時に来ている。

7.質疑応答
会場の参加者と次のような活発な質疑応答がされました。
Q:
自転車は事故の危険性が付きまとう。これを防ぐためにはどうすればよいか?
A:
次のような自衛手段を取るしかない。・ヘルメットをかぶる。・バックミラーを付ける。
・手信号を出す。・グローブをはめる。

Q:
自転車が強者となる状況を改善するためにはどうすればよいか?
A:
自転車が歩道を通るのを禁止すべきである(これを認めているのは日本だけである)。
車道部に自転車道を分離して設置すべきである。とは言っても、日本ではそう簡単には
できないので、2車線道路であれば1車線を自転車道にすべきである。
自転車が増えることによって車が減らないとエコにはならない。

Q:
車道の端を走ると、排水溝などがあって走りにくいと思うが、ヨーロッパでは
路面排水をどう処理しているのか?
A:
自転車道と車道が完全に分かれている場合は路面排水は車道部で処理しているが、
車道を白線で区切ったような場合は日本と同じ状況である。

Q:
・自転車に乗れない交通弱者対策はどうするのか?
・自転車化で果たして本当にどれだけエコに寄与するか疑問である(バス等の
公共交通機関の利用者が転換するだけで、マイカー利用者は転換しないのでは
ないか?)。
・自転車に対するハード面の対策は既に出尽くしているので、今後はマナー等の
ソフト面の対策が問題ではないか?
A:
・代替交通手段としてトラムと組み合わせることが必要である。
・自転車に乗ること=車に乗らないこと、という意識改革を図る必要がある。
・マナーのことを言われると耳が痛い。やはり教育(特に子供に対する交通道徳)が
必要である。ミュンスターの小学校では週1回交通の時間がある。

Q:
都市間移動のためには高速道路が必要であるとのことであるが、高速道路の
位置付けについてはどうお考えか?
A:
原則として、都市内は自転車・公共交通機関、都市間は車・電車と考えている。
例えば、東名高速道路に自転車道を付けるなんてことはナンセンスと思う。
ただし、首都高速道路には自転車道(自転車高速道路)がほしいと思う。

【当日の内容】
参加者数: 33名
当日の内容はPDFで参照出来ます。

移動効率グラフ(出典:自転車博物館サイクルセンター)