2009(平成20)年度FCCフォーラム 特別講演会 『社会的共通資本と土木』 閉会挨拶

〜豊かな社会づくりにむけて
 金子光宏,FCC副代表幹事(鹿島建設) 閉会ご挨拶

 本日、宇沢弘文先生にはお忙しい中特別講演をいただき、まことにありがとうございました。また、当FCCフォーラムにご参加してくださいました皆様、まことにありがとうございました。御礼申し上げます。

 宇沢先生の特別講演をお聞きして、少しだけ自分の思ったこと、感じたことを述べさせていただきたいと思います。

 まず、社会的共通資本についてのお話がありました。社会的共通資本は、自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本の3点からなっているということで、紹介をしていただきました。これらはすべて人間にとって大事なものであるというふうな定義づけをしていただきました。とりわけ、社会的共通資本の1つである社会的インフラストラクチャーに携わっている我々土木技術者としては、その役割、すなわち、専門的知見に基づき土木技術者の規律に従い、土木技術者としての気概を持ち、インフラ整備に貢献することが重要である、ということを感じました。

 次に、空海と満濃池についてのお話があったと思います。灌漑技術の歴史から、技術的知識、その社会的管理による古き良き土木をご紹介していただき、その管理運営について、いわゆるコモンズの考え方の必要性について改めて認識した次第でございます。

 それと、アメリカのTVAについてのお話があったと思います。フリードマンの市場原理主義という、儲け主義によって100年に一度の大恐慌が起こったというふうなご見解を紹介していただきました。その中で、工学については、金儲けで使うものではないよ、とのアドバイスもいただいきました。まさしくそのとおりだと思います。私たち土木技術者としては、やはり土木工学を学んだ以上、それを社会に還元するというか、貢献していかなければいけないと思っている次第でございます。

 特別講演の感想はこれまでといたしまして、次に、本フォーラムの企画について、FCCのメンバーの熱き想いを紹介したいと思います。

 フォーラムまでの約6カ月間、我々メンバーは土木技術者でありながら、宇沢先生の著書を読んで、月に2回程度みんなで集まって勉強会を行ってきました。土木技術者が経済を学ぶということとなったわけですけれども、宇沢先生の著書は、我々土木技術者にとっても、その本を読んでいるとすっと取り込めるような感じがいたしまして、言うならば取っつきやすかったのかな、というふうなのが感想です。その成果が今回の前座ではありますけども、リレートークという形であらわれたと思っております。

 私が勉強したなかで、宇沢先生の著書「社会的共通資本」の中から、豊かな社会とは何か、の定義について皆様にご紹介したいと思います。

 豊かな社会とは、すべての人がその先天的、後天的資質の能力等を十分に生かし、それぞれの持っている夢とアスピレーション、熱望、抱負ということなんですけども、それを最大限に実現できるような仕事に携わり、その私的、社会的貢献にふさわしい所得を得て、幸せで安定な家庭を営み、できるだけ多様な社会的接触を持ち、文化的水準の高い一生を送ることができるような社会ということです。

 これこそが我々がこれから追求していかなければいけない社会ではないでしょうか。

 最後に、今回のフォーラムを通じて、近年、社会的共通資本の中においてはさまざまな問題がこの日本社会に巻き起こっていると感じます。例えば自然環境では、地球温暖化の問題や森林破壊の問題、社会資本では道路整備の問題、制度資本では医師・病院不足等の医療問題や、学力低下、校内いじめ、暴力の低学年化等の教育問題、それと世界的同時景気減退というふうな金融問題等々があると思います。これらには何か共通するような課題が私はあるように思います。ぜひとも皆様もそれが何かをこれから考えていただきまして、それを解決して、豊かな社会づくりに貢献していっていただきたいなと、私自身思っております。

 以上をもちまして閉会のあいさつとさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

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