行動経済学と老前整理 ⑮

老前整理で、捨てられない心理を行動経済学でみれば次の3つの理由が考えられます。

1つ目は、「損失回避」です。これは得(プラス)と損(マイナス)を比べると、得をするより損をする方がショックが大きいのです。これは洋服を失う時のみじめさは、洋服が手に入った時の幸福感の2倍にあたるともいえます。

 つまりまだ着られる(と思っている)洋服を捨てることは損に結びつくので手放せないのです。そして損をするくらいなら、何も変えないほうがましだというわけです。

2つ目は「保有効果」です。第一の損失回避の感情は保有効果につながります。保有効果は、一度ものを所有したら、それに高い価値を感じどうしても必要なものではなくても手放そうとしなくなるのです。

3つ目は「現状維持バイアス」です。前回も偏りや傾向として「バイアス」ということばが出てきましたが、これは人間がおかすエラーの中でも特定の状況で繰り返し起きやすいなエラーのことで、予測が可能だということです。

捨てられないのは、決断力がないからとか、ケチだからとか、ご自分を責めていませんか。

こうして行動経済学で「捨てられない心理」を知ると、ものの見方が変わりませんか。

「私はこうして損失回避をしようとしている」とか、「手放したくないのは保有効果ね」とか、「現状を変えたくない『現状維持バイアス』がかかっているけれど、本当に現状でよいのかしらとか…」

大切なのはここから自分で考えていくことです。

次回は「片付かない理由」について行動経済学から考えてみます。

お楽しみに!

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