カンカン森とは神神森、銭湯美術の粋、帝国湯

明けましておめでとうございます。本年も銭湯文化サポーター’sのブログをごひいきに、お願いいたします。

年の初めはやはり伝統的な銭湯を、ということで、東日暮里の帝国湯を選びました。街歩きの話題も神社のお話です。

三ノ輪から日暮里の地図を見ていると、「カンカン森通り」という地名が気になります。カンカン森通りを歩いてみると、途中の猿田彦神社のところで意味が分かりました。神社の境内に碑があって漢字で「神々森」と書いてありましたよ。江戸時代からの古い地名だそうです。
すぐ前にはかんかん森の名前のついたコレクティブハウジングもあります。コレクティブハウジングというのは、食事などを共同で生活する住宅のことです。主に高齢者向きの集合住宅で、最近民間賃貸住宅で増えてきました。阪神淡路大震災の時には高齢者のコミュニティ維持を目的に、神戸市内などの公共住宅として取り組まれました。
が、実は関東大震災後の復興住宅である同潤会住宅にも、共同の浴場、洗濯場などが設けられていました。コレクティブハウジングの思想がそのころから芽生えていたように思います。

同潤会住宅に共同浴場が設けられたように、銭湯も立派な高齢者向きコミュニティの場ですね。というわけで
猿田彦神社のすぐ近くにあるのが帝国湯です。素晴らしい和風建築が有名です。カンカン森通りのうち並木のある部分は震災復興区画整理地区内で、どの道路もある程度の幅はあるのですが、帝国湯の付近は区画整理事業の範囲の西外側になります。もう少し道幅があれば、建物の素晴らしさが際立つのになあと思わずにはいられません。
脱衣場に入ると、格天井の見事さ、格子の木が立ちあがる部分の装飾などに、見とれてしまいます。庭も広くて趣があります。浴槽背景は早川師の西伊豆からの富士山、水上機が飛んでいるのがちょっと変わっていますが、女湯の方は人参に乗って兎が飛んでいるようで、もっと不思議です。ペンキ絵の下から側面にかけては、これも定番「章仙」の鯉、かなり広く、大きなタイル絵です。男女の境は湖のモザイクタイルと、東京銭湯の美術の教科書のようになっています。
ところでお湯のほうですが、カランのお湯がぬるく、一方浴槽の方はかなり熱いです。上がると全身真っ赤でした。お客さんが皆、体洗った後お湯につからずに上がるので、覚悟はしてましたが。
帝国湯 荒川区東日暮里3−22−3 15:00〜24:00 月曜お休み 常磐線三河島駅から徒歩7分