■We Need Nurse! 東京都東部療育センターの取り組み

ユニ育ライター こがにです♪

東京都立東部療育センターで、最近配布されているのが
カラフルでかわいらしい、この花模様のシール。
なんだか春の訪れを感じさせる、ワクワクするもののようにも思えます。
けれども、ここに描かれているこのシールの中には
「We Need Nurse」
「最も弱いものを、ひとりももれなく守る」

そう・・・療育センターの悲鳴ともとれるような
そんなメッセージが書かれているシールです。

『看護師不足』

全国的にも問題視されているこの看護師不足。
原因の発端は、医療費を削減させようと厚生労働省が考えた
「診療報酬の改定」と、「手厚い看護体制」の新基準にあります。

実はこの「診療報酬の改定」というのは、入院病棟の看護師配置によって
病院が受けられる入院基本料が増減するというもの。
特に診療報酬がアップする、いわゆる「7対1」という手厚い看護を推奨することで
病院側も診療報酬がアップし、患者にとっても、メリットの大きいものだと
当初、厚生労働省は考えていたようですが・・・

蓋を開けてみると、とんでもない!
診療報酬をアップさせようと、大学病院を初め、大きな病院が躍起になるありさま。
現場では、主任クラスの看護師が何人も引き抜かれ、次々とやめていくという顛末に。
そのため、実は、全国の中小病院が悲鳴を上げ・・・次々に閉鎖に追い込まれる始末。
しかも、なんとか診療報酬を確保した大病院も、悠々自適とはいかず。
ベテランスタッフが離職してもなんとかやりくりするものの、
現場は悲鳴を上げるほど忙しい毎日。
そのハードな仕事のためか、離職者は後を絶たず、また看護師の確保に躍起になる。
そんな悪循環が起きています。

そして、この悪循環の連鎖は・・・
我が家のユニ育事情でさえ、脅かしています。

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◆療育センターの場合

大学病院や大きな病院でさえ不足している看護師ということもあり
療育センターなどでも、慢性的に不足している状態が続いています。

特に、療育センターなどの場合。
すでに施設入所している人たちの看護師数を削減するわけにもいかないため、
仕方なく看護師を調整できるのは、「短期入所」を受け入れる数。
このため、「在宅」で生活する我が家のようなタイプの家庭が、思うように短期入所できず
24時間365日休む間もなく介護を継続的に強いられる状態が続いています。
また、都内のある施設では短期入所などに利用していた病棟を
まるごと1つ閉鎖した事例も起きています。

◆訪問看護

医療的ケアのある障害児者を支えるのは、なんといっても訪問看護。
けれども、訪問看護師をかかえる訪問看護ステーションが、
肝心の親病院の病棟に看護師をとられ、看護師不足に!

「募集をかけてもかけても、こないのよ」と
こちらも、悲鳴を上げています。

在宅の生命線でもある訪問看護のサービスがうけられず、
しかも介護者が疲労困憊しても、短期入所がうけられないという現実。
痰の吸引や栄養剤の注入といった医療的ケアがあるために、
家族は24時間休む間もなく、介護を強いられるのに・・
これでは、医療的ケアのある障害児者や家族の命を縮めることにもつながる緊急事態!!
このままだと、せっかく築いてきた在宅で暮らすという道さえ、
閉ざされてしまうことにもなりかねません。

「読売新聞ONLINE」2007年1月14日の記事によると、厚労省の発表では、
2005年の看護職員(看護師、保健師、助産師、准看護師)の
就業者数は130万8409人。
06年から5年間の需給見通しでは、需要に対し97〜99%の供給が可能とされているようです。
けれども、過酷な労働実態であるためか、毎年約5万人が看護学校などを卒業し、
新たに看護職員になっているものの!!!!!
1年以内の離職率(病院間の移動も含む)は、9・3%(04年)に上るとされています。
しかも、資格を持ちながら現在は働いていない看護職員は、全国で約55万人

この実態こそ、なんとかしなければ・・・

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東部療育センターで配布されているこのシールには
「共にあゆむ看護を実践」という言葉も書かれています。

重症心身障害児者という、重度の身体障害と知的障害をあわせもつ我が家のユニ育ちゃんも含め
社会的にも「最も弱い」立場である人たちの生命が守られない現状は、
もしかしたら、大切な何かを置き去りにしているのではないでしょうか。

医療によって救われ、医療によって生きる喜びとチャンスを得られたからこそ
医療に携わる人たちの現実をなんとかしたい。。
そう感じている毎日です。

『We Need Nurse』
東部療育センターからの叫びを、どうぞ皆様ご理解いただき
看護師の確保に向けて、ご協力いただけたら幸いです。

重症心身障害児と呼ばれる子どもを持つ、1人の親のつぶやきでした。

★お読みいただき、ありがとうございました